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GPIFの資産構成変更(日本)【キーワード】

2014年11月4日

<今日のキーワード>
「GPIF(Government Pension Investment Fund)」は、国民年金などの公的年金の積立金を管理・運用する組織で、正式名称は「年金積立金管理運用独立行政法人」です。今年6月末の運用資産は約127兆円と、世界最大級の年金基金です。6月末の運用資産のうち国内債券が53%、国内株式が17%を占めます。運用改善を目指し、基本となる資産構成を見直す作業が進められていました。

【ポイント1】国内株式は従来の12%を25%に、国内債券は60%を35%に

外国株式は12%を25%に、外国債券は11%を15%に、短期資産は5%をゼロに
■GPIFは10月31日、検討が進められていた年金積立金の管理・運用に関する「中期計画の変更」について、厚生労働大臣の認可を受けたと発表しました。公表資料の中で、この中期計画における基本となる資産構成(「基本ポートフォリオ」)が新たに示されました。

■新しい「基本ポートフォリオ」では国内債券の割合が従来の60%から35%に大きく減り、内外株式と外国債券の割合が合計で30%増えます。リスク性資産の割合が大きく上昇することになります。その結果、国内資産と外国資産の割合は60%対40%、内外債券と内外株式の割合は50%対50%になります。

【ポイント2】日銀の追加緩和と同日発表

GPIF採用の「JPX日経400」を日銀も採用
■GPIFの発表と同日、日銀は、国債年間購入額の30兆円増額などの追加緩和を決めました。GPIFの「基本ポートフォリオ」における国内債券の減少額は、6月末の資産総額を基に計算すると約32兆円です。これは、6月末の実際の保有ウェイト53%(旧基準の60%より7%少なめ)を、28%(新基準の35%より7%少なめ)にする場合の売却額に相当します。日銀による国債購入の増額はGPIFによる売りの一部を吸収し、国債利回りの上昇を抑える効果があると見られます。

■今回の日銀の決定では「JPX日経400」指数に連動するETFが買い入れ資産の対象に追加されました。GPIFは今年すでに同指数をベンチマークとする運用を採用しており、この点でも政策の方向性が合致します。

【今後の展開】資産構成の変更は日本株を支える要因、政府の景気対策にも注目

■日本株の増額は完了していない?
6月末の国内株式の保有割合17%を、新基準の25%に増やす場合、買い入れ額は約10兆円に相当します。東証によると、公的年金資金が多くを占める「信託銀行」の株式買い越し額は、7月から10月までの累計で1兆円未満です。日本株の増額はまだ完了していないとの見方もできそうです。

■補正予算による景気対策にも期待
消費税増税後の消費の回復が弱く、物価の見通しが下振れています。日銀の追加緩和を受け、消費税率再引き上げ決定の可能性が高まっていることから、補正予算などによる景気対策の必要性が増していると見られます。日銀、GPIFの決定に続く政府の対応に注目が集まります。

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