ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見る日本経済(2014年10月)  増税後の回復は予想外に弱い【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見る日本経済(2014年10月)  増税後の回復は予想外に弱い【デイリー】

2014年10月9日

【ポイント1】消費回復に力強さが欠ける

在庫増で生産調整が強まる
■8月の小売業販売額指数は前年同月比+1.2%と2カ月連続でプラスとなり7月の同+0.6%から伸びは加速したものの、力強さは見られませんでした。織物・衣服・身の回り品や飲食料品の伸びは加速しましたが、自動車や機械器具は5カ月連続で前年同月比マイナスになるなど、消費税増税の影響が長引いています。

■8月の鉱工業生産指数は前年同月比▲2.9%と7月の同▲0.7%からマイナス幅が拡大しました。生産は消費や輸出の回復が弱いこともあり、5月以降、在庫が増えたことから、足元で生産調整が強まった形です。

【ポイント2】大企業・製造業の業況判断DIは小幅改善

円安は企業業績にプラス
■9月調査分の「日銀短観」では、大企業・製造業の「業況判断DI」(最近)は前回6月調査から+1ポイントの改善となりました。3カ月先の状況を示す「先行きDI」(先行き)は(最近)と同じ水準です。また、今年度の設備投資額は大企業、中小企業ともに上方修正されました。

■8月後半以降、円安が進行したことで、輸出関連を中心に企業業績の上振れ期待が高まり、企業の景況感は底堅い状況です。

【今後の展開】企業景況感の底堅さを背景に設備投資、雇用、賃金が拡大へ

■日銀は、6日、7日に行われた金融政策決定会合で景気の基調判断について、2013年9月以降続けている「緩やかな回復」との判断を据え置きました。ただし、鉱工業生産指数の悪化などを受けて「生産面を中心に弱めの動きがみられている」との表現を追加し、見方をやや弱めました。

■7日に発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでも、日本の2014年GDP成長率は前年比+0.9%と7月予想の同+1.6%から下方修正されました。

■今後は、底堅い企業景況感が設備投資や雇用、賃金の拡大につながる見込みです。また、こうした好循環を後押しする財政、金融面での追加策への期待が高まります。

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