大詰めを迎える「TPP」交渉(グローバル)【キーワード】
2015年3月30日
<今日のキーワード>
「環太平洋経済連携協定(TPP)」の妥結と発効は、アベノミクス第三の矢である成長戦略のひとつでもあり、経済効果が期待される重要な施策です。「TPP」が妥結に向かうには歩み寄りが確認された日米協議がさらに進展することがカギとされています。日米協議が決着すれば、「TPP」の妥結を目指す交渉が加速すると考えられます。
【ポイント1】成長戦略における重要政策のひとつ
2015年中の妥結を目指す
■「TPP」は太平洋を囲む12カ国の間で、ヒト、モノ、サービス、カネなどができるだけ自由に行き来できるよう、貿易・投資の自由化や共通のルール作りを進めるための経済協定です。日本は2013年7月から交渉に参加しており、アベノミクスでも経済効果が期待される重要な施策と位置付けられています。2014年は知的財産権や国営企業改革などの分野で進展が見られず、また、日米協議も難航したことから妥結に至りませんでした。TPP参加国は2015年中の妥結を目指しています。
【ポイント2】日米協議が進展
3月以降はやや足踏み
■2015年に入り日米に歩み寄りの動きが見られました。1月28日からワシントンで日米事務レベル協議が再開され、コメの特別輸入枠の新設や牛・豚肉の関税引き下げなどについて話し合われ、日米双方に歩み寄りの姿勢が見られました。ただ、3月の日米事務レベル協議では、大きな進展はなかった模様です。
■こうした中、米国ではTPA(Trade Promotion Authority、貿易促進権限)法案の提出・成立に向けた動きが見られ、期待が高まっています。

【今後の展開】カギを握る日米交渉
■TPA法案の協議進展に期待
米国では、TPA法案が協議される見通しです。これは大統領に通商交渉の権限を一任する法律で、「TPP」の合意に不可欠とされています。協議開始は早くても4月上旬と見られ、早期に進展・成立することが期待されます。
■日米協議が決着すれば「TPP」交渉加速
安倍首相は4月26日から5月3日の予定で訪米のスケジュールが組まれています。歴代首相で初となる米上下両院合同会議での演説や首脳会談が予定されています。それまでにTPA法案が可決しているかは不透明ですが、日米首脳会談までに、日米協議が決着するかどうかに注目が集まります。日米協議が決着すれば、「TPP」妥結を目指す交渉が加速すると考えられます。