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今年を振り返るキーワード① 「Brexit」(欧州) 【キーワード】

2016年12月26日

<今日のキーワード>
「Brexit(ブレグジット)」とは、Britain(英国)とExit(離脱)を組み合わせた造語です。今年6月23日に、英国で欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が行われました。事前の見込みに反して離脱派が多数となったため、世界が驚きました。EU残留を訴えていたキャメロン首相(当時)は辞任、新たにテリーザ・メイ氏が新首相となり、現在は来年3月までのEUに対する離脱通告に向けて準備が進められています。

【ポイント1】移民の増加などを背景に、英国でEU離脱論が高まる

国民投票では離脱派が多数となり、英国はEU離脱へ

■英国では、EU域内からの移民の増加やユーロ危機に非ユーロ加盟国の英国が巻き込まれたことなどを理由に、EU離脱論が高まりました。キャメロン首相は、勝利した2015年5月の総選挙に国民投票実施を公約のひとつとして臨み、今年6月23日にEU離脱の是非を問う国民投票を実施することを決定しました。

■事前の世論調査では、当初は残留派が優勢と見られていましたが、投票日が迫るにつれて残留派と離脱派が拮抗するようになり、国民投票では離脱派が多数となりました。

【ポイント2】英国のEU離脱選択は欧州各国に影響

欧州でポピュリズムが拡大

■EU発足以降その恩恵を受けてきた若年層では残留派が多かった一方、中高年層やロンドンなどの大都市以外の地域での離脱派が多く、事前の予想に反して国民投票では離脱が選択され、世界はこの結果に驚きました。一方で、英国で離脱派が支持を集める背景となった移民問題などを抱える欧州各国では反EU派の勢いが増し、ポピュリズムの広まりが見られています。

■また、米国では既存政治を批判するトランプ氏の支持が拡大し、現状への不満を抱く支持者によって、「Brexit」と同様、事前の見込みに反してトランプ氏が次期大統領に選出されました。

【今後の展開】移民を規制しつつ、どの程度EUへのアクセスを確保できるかが鍵

■国民投票後、キャメロン首相は辞任し、新たに保守党党首となったテリーザ・メイ新首相は、2017年3月までにEUに対して離脱通告を行う方針を示しています。英国は、移民規制を優先しつつ、国境を越えるモノの移動には関税がかからないようにするなど、EUの単一市場へのアクセスやEUとの貿易関係を最大限確保する道を模索しています。しかし、移民規制とEUとの貿易関係等の完全な両立は困難と見られ、国民投票後から英国ポンド安が続くなど金融市場にも影響が出ています。英国がどのような形でEUを離脱することになるかにより、英国やEUの今後の成長率の下振れ度合いが異なってくることからも、来年もその行方に注目です。

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