欧州の企業景況感指数(欧州)【キーワード】
2014年10月30日
<今日のキーワード>
欧州の企業景況感を示す指標のなかで、市場関係者に最も注目されている指標の一つがIfo経済研究所グループが公表する「Ifo企業景況感指数」です。約7,000社のドイツ企業に景気の現況と今後6カ月先予想のアンケートを行い、集計、加工して指数を作成します。10月の調査で、同指数は▲1.5ポイント下落し、6カ月連続の悪化でした。
【ポイント1】Ifo企業景況感指数は景気減速シグナルを7月に発信
ドイツの株価指数の7月の最高値からの下落傾向にも沿った動き
■27日に公表された10月のIfo企業景況感は103.2と前月比▲1.5ポイント悪化し、4月をピークに6カ月連続して低下しました。3カ月連続して低下することが景気転換のシグナルとみられており、7月に既に欧州景気転換のサインが出ていたことになります。ドイツの代表的な株価指数であるDAX指数は7月3日に10,029.43ポイントの最高値をつけて以降、下落傾向にあることに沿った動きです。
【ポイント2】欧州の企業景況感指数は複数存在
ユーロ圏を先導するドイツのIfoは注目度が高い
■欧州の企業景況感を示す指標は他にも、マークイット製造業・サービス業購買担当者指数(PMI)、欧州委員会の企業景況感指数、欧州経済研究センター(ZEW)景況感指数などがあります。ユーロ圏の各国毎に作成した指数を、再度加工してユーロ圏全体を示す指数としているものもあります。
■各指標毎に、アンケート対象者、内容にそれぞれ特色があります。Ifo企業景況感指数は、ユーロ圏を先導する多くのドイツ企業を調査対象としていること、歴史があり何度も景気の転換点を示した実績などから、ユーロ圏金融業界のみならず、一般企業、官公庁などに幅広く支持、利用されています。

【今後の展開】欧州企業景況感悪化の歯止めの鍵は金融緩和策の拡充か
■ドイツの輸出失速からユーロ圏の内需低迷へ
ドイツの企業景況感の悪化は、ユーロ圏の生産や消費などの内需の低迷のきっかけとなることが過去には度々みられました。今回はドイツの輸出環境の悪化がその主な理由と見られ、影響が拡大する前に、迅速な景気刺激策を求める声が高まっています。先行きへの期待が好転すると、Ifo企業景況感は下げ止まる可能性があります。
■金融政策が景況感改善のきっかけか
財政拡大による景気刺激にはドイツが消極的な立場をとっており、期待は金融政策にかかりやすい状況です。10月のECB理事会では、民間資産の購入拡大のスケジュールを決めたばかりですが、購入対象資産を社債や国債に拡大するなど金融緩和策の拡充への期待が高まりつつあります。
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