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中国の「外貨準備」(中国) 【キーワード】

2016年9月13日

<今日のキーワード>
「外貨準備」は、通貨当局(政府および中央銀行)が、公的な対外支払いに備えたり、為替相場の安定を図る目的で外国為替市場に介入するために保有している準備資産のことをいいます。「外貨準備」の内訳は、外貨資産(預金、証券等)が、その多くを占めます。現在、「外貨準備」が世界で一番多いのは中国です。中国が輸出によって稼いだ外貨が積み上がった結果ですが、最近は減少傾向にあります。

【ポイント1】8月の外貨準備は4年8か月ぶりの低水準

■中国人民銀行が発表した8月末の「外貨準備」は3兆1,851億ドル(約320兆円)でした。2カ月連続で減少し、残高は2011年12月末以来、4年8カ月ぶりの低い水準となりました。

■8月は米国が追加利上げに近く踏み切るとの観測が強まり、円は対ドルで下落しましたが、人民元は対ドルでほとんど動きませんでした。中国当局が手元のドルを売って元を買う為替介入を実施したと見られます。

【ポイント2】外貨準備の減少ペース鈍化

■中国の「外貨準備」はピークの14年6月に4兆ドル弱まで積み上がりましたが、その後2年あまりで約8千億ドル減少しています。中国の景気減速に加え、米国の利上げで海外への資本流出が加速し、急激な元安を食い止めるため、中国当局が、大規模な元買い・ドル売り介入を実施したことが背景です。今年2月にかけ「外貨準備」の減少が加速しました。

■ただし、3月以降は「外貨準備」の減少ペースは鈍化しています。中国当局も、相場変動が急激でない限り介入を小幅にとどめている模様です。

【今後の展開】外貨準備の減少ペースは歯止めがかかった状態が続く

■最近の「外貨準備」の推移は落ち着いており、中国当局は資本流出の管理に成功しているようです。資本流出ペース加速の懸念があるとすれば、中国景気の下振れリスクが強く認識される場合ですが、今後積極的な財政政策により景気は安定化へ向かうと見込んでいるため、「外貨準備」の減少ペースは歯止めがかかった状態が続くと見られます。

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