ホームマーケット日々のマーケットレポート「AIIB」第1回年次総会(中国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

「AIIB」第1回年次総会(中国) 【キーワード】

2016年6月28日

<今日のキーワード>
「アジアインフラ投資銀行(AIIB )」は、2015年12月に中国主導で設立された国際金融機関で、主な業務は、アジア新興国などのインフラ開発のための融資を行うことです。加盟国は中国の他、インド、ロシア、英国、ドイツ、フランスなど57カ国ですが、同様な役割のアジア開発銀行(ADB)を主導する日本や米国は加盟していません。「AIIB」の第1回の年次総会が6月25日、26日に北京で開催されました。

【ポイント1】加盟57カ国の財務相らが参加

新たに24カ国が参加の意向

■2016年1月に開業した「AIIB」は、6月25日、26日に初めての年次総会を北京で開きました。中国の楼継偉財政相ら加盟57カ国の財務相やADBなど他の国際金融機関の幹部らが参加しました。

■開幕式で金立群総裁は2017年初めに新たな加盟国を迎える方針を表明し、24カ国が参加の意向を「AIIB」に伝えていると明らかにしました。すべてが加われば、81カ国となり、先行するADBの67カ国・地域を大きく上回ります。参加を見送っている米国や日本にも引き続き参加を呼びかけるとみられます。

【ポイント2】第1号融資案件は4件

融資姿勢は慎重

■年次総会で報告された第1号融資案件(4件、5億900万ドル)のうち、単独融資はバングラデシュの送配電事業1件だけで、残り3件はそれぞれ世界銀行、ADB、欧州復興開発銀行(EBRD)との協調融資でした。融資の内容もリスクの低い政府案件だけで、民間案件はありませんでした。今のところ、「AIIB」の融資姿勢は手堅いようです。

【今後の展開】日本の協力でアジアのインフラ活発化を期待

■中国の習近平指導部は「一帯一路」構想を看板政策に掲げており、中国から欧州へと至る地域でインフラ整備を主導することを目指しています。「AIIB」は、「一帯一路」政策にとって重要な位置づけです。一方、日本はインフラ輸出を成長戦略の柱の一つに掲げています。アジアでの影響力を高めたい中国の思惑がのぞくものの、「AIIB」が実務に徹するなら、協力関係は日本にとっても利点が多いと考えられます。日本が主導するADBと上手に協力できれば、アジアのインフラ投資が活性化する可能性があり、アジア全体の発展に大きく寄与することが期待されます。

関連マーケットレポート