ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見る中国経済(2016年6月) 構造改革強化で投資鈍化も先行き安定成長へ/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見る中国経済(2016年6月)
構造改革強化で投資鈍化も先行き安定成長へ 【デイリー】

2016年6月14日

【ポイント1】5月の固定資産投資が減速

民間投資が低調

■中国国家統計局が発表した1~5月の固定資産投資は前年同期比+9.6%と、1~4月の同+10.5%より伸び率が0.9ポイント縮小しました。前年同期の伸び率が10%を下回るのは2000年以来16年ぶりです。内訳をみると、公共投資は堅調でしたが、民間投資が同+3.9%と低調でした。

■これまで牽引してきた不動産開発投資が前年同期比+7.0%と、1~4月の同+7.2%から鈍化したことも固定資産投資全体が減速した要因です。

【ポイント2】鉱工業生産は安定した推移

個人消費はしっかり

■5月の鉱工業生産は前年同月比+6.0%と、4月の同+6.0%から伸び率が横ばいでした。ブルームバーグ集計の市場予想通りであり、安定した伸び率でした。

■個人消費は引き続きしっかりしています。5月の小売売上高は、前年同月比+10.0%と、4月と比べて伸び率が0.1ポイント縮小しましたが、高水準を維持しています。

【今後の展開】構造改革路線強化で投資鈍化も長期的には安定成長へ

■5月の固定資産投資が減速した背景には、習近平指導部が過剰設備の廃棄など構造改革路線を掲げていることで、政策に敏感な民間企業が投資に慎重になったことが考えられます。また、構造改革により鉄鋼や石炭の生産設備の整理が進めば、生産も先行き減速する可能性があります。

■ただし、中国政府は景気の上振れ・下振れに対して政策対応を行う意向を示しています。短期的な景気減速に目配せしながら、構造改革を押し進めることで長期的に景気が安定する方向が示されれば、中国経済に対する投資家の懸念が後退するものと期待されます。

関連マーケットレポート