ジョコウィ大統領就任(インドネシア)【キーワード】
2014年10月17日
<今日のキーワード>
10月20日に闘争民主党(PDIP)のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)氏が大統領に就任します。ジョコウィ氏は、クリーンで庶民派の政治家として国民から人気が高く、7月の直接選挙で当選しました。副大統領には産業界出身でゴルカル党のユスフ・カラ(カラ、元副大統領)氏が就任し、ジョコウィ=カラ体制は任期5年間の国政を担います。ユドヨノ大統領は2期10年の任期を終え退任します。
【ポイント1】ジョコウィ新大統領はクリーンで庶民派
副大統領には経済に明るいカラ氏が就任
■ジョコウィ氏は、ジャカルタ特別州知事時代に、市民の福祉の向上や行政の簡素化などで高い実績を上げました。7月の選挙は接戦となり、ジョコウィ大統領候補とカラ副大統領候補は僅差でプラボウォ・スビアント(グリンドラ党)=ハッタ・ラジャサ(国民信託党)陣営に勝利しました。議席数では少数派による政権運営となり様々な困難も予想されますが、カラ新副大統領は、企業経営の経験が豊富で経済に明るいと言われ、ジョコウィ=カラ体制での手堅い経済運営などに期待が高まっています。
【ポイント2】燃料補助金削減などを目指す
企業の投資を拡大させる行政改革にも期待
■新大統領は、選挙公約に燃料補助金の削減を掲げていました。燃料補助金は財政支出への負担が大きく、削減により財政負担の軽減や、燃料輸入の抑制を通じた経常収支の改善が見込まれます。燃料補助金の削減は国民生活に痛みをともなうものの、低所得者層への補助や教育や福祉の向上などが目指されていることから、国民の高い支持率は維持されそうです。
■手続きの簡素化などを通じた行政サービスの迅速化や、汚職撲滅などの行政改革も目標とされており、改革の実現により企業による投資の拡大が期待されます。

【今後の展開】新閣僚の人選に注目、経済・行政改革の実現により高い経済成長へ
■新閣僚の人選が注目される
市場では、新閣僚の人選が注目されています。ジョコウィ新大統領は、主要閣僚を専門家から選出する方針を示しており、経済調整相や財務相などの人事が注目されます。一方、対立候補で選挙に敗れたプラボウォ・スビアント氏(グリンドラ党、元軍高官)が、地方の首長選挙制度の変更などを通じて巻き返しを図る動きがあり、足元の政治情勢にはやや不透明感が高まっています。
■経済・行政改革の実現により高い経済成長へ
ジョコウィ新大統領は、議会運営にやや不安が残るものの、ジャカルタ特別州知事時代の政策実現に向けた政治手腕は評価されており、国政でも期待されます。今後は、ジョコウィ=カラ体制で燃料補助金削減、インフラ整備などの経済構造改革や、行政改革の進展を通じて期待される企業による投資の拡大などにより、高い経済成長が期待できそうです。