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『街角景気』は新型コロナ禍前の1月水準まで回復

2020年9月10日

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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。8月の『街角景気』は、新型コロナの感染再拡大が落ち着いてきた下旬にかけての調査であり、現状判断指数(DI)は4カ月連続で改善し、先月悪化した先行き判断指数(DI)も改善となりました。

【ポイント1】現状判断DIは4カ月連続改善し、1月水準を回復

先月悪化した先行き判断DIも改善へ

■8月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比2.8ポイント上昇し43.9と4カ月連続の改善となり、新型コロナの感染が拡大する以前の1月(41.9)を超える水準まで回復しました。項目別では家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てが改善しましたが、出遅れていた雇用関連が特に改善しました。家計動向関連の内訳では、自粛影響を強く受けた飲食関連のみ悪化となりました。

■先行き判断DIも、前月比6.4ポイント上昇し、42.4となりました。項目別では現況判断と同様に、全てが改善しました。現況判断で悪化となった飲食関連も、先行きの判断は大幅な改善となり、新型コロナの感染再拡大に歯止めがかかったことから、あらゆる分野が明るさを取り戻してきていることが伺えます。

【ポイント2】現状はポジティブな単語が減少

先行きは「自粛」が大幅減少と明るさも

■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、ポジティブな単語の使用比率がネガティブな単語を3カ月ぶりに下回りました。「コロナ・肺炎」と「自粛」の減少は限定的で、新型コロナ感染再拡大の影響が残ったようです。

■一方、先行き判断では、ポジティブな単語の使用比率がネガティブな単語を4カ月連続で上回りました。「自粛」が大幅に減少するなど、感染再拡大の一巡で明るさが見られます。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

【今後の展開】新型コロナの感染動向に懸念も、先行きに期待

■内閣府は『街角景気』の基調判断を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる」で据え置きました。一方、先行きについては「持ち直しへの期待がみられるものの、感染症の動向に対する懸念が強まっている」から「感染症の動向を懸念しつつも、持ち直しへの期待がみられる」に変更しました。政府は、感染抑制と経済再開のバランスを保った政策運営の先行きに期待を示しました。

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