ホームマーケット日々のマーケットレポート割安感強まる日本株、内需復活で整う反騰の条件 内需株、中でも政策効果で動意づくシニア関連に注目

割安感強まる日本株、内需復活で整う反騰の条件
内需株、中でも政策効果で動意づくシニア関連に注目

2021年12月3日

1.割安感強まる日本株

2.内需回復で整う反騰の条件

3.復調する内需株、中でもシニア関連は政策効果が後押し

   


1.もたつく雇用回復と賃金上昇の同時発生

■日本株の割安感が強まっています。企業業績は製造業を中心に順調に回復し、東証株価指数(TOPIX)の一株当たり利益は史上最高を更新する状況にあります。一方で株価は、新型コロナウイルスのデルタ型の感染急拡大による夏場の景気失速、菅内閣の支持率急落、半導体不足や部品の供給遅延による自動車業界の減産、そして中国市場の変調などが重しとなり、その戻りは限定的なものにとどまっています。業績の回復にもかかわらず株価が伸び悩んだため、バリュエーション指標から見た日本株の投資妙味は大きく改善しています。

■こうした日本株の割安感について、バリュートラップを懸念する声も散見されます。しかし、日本企業のファンダメンタルズに目を向けると、株主資本利益率(ROE)は一応の合格点とされる8%を再びクリアする水準まで回復してきています。


■更に、来年度についても堅調な業績拡大が期待される状況にあって、こうした懸念は杞憂に終わる可能性が高いように思われます。

2.内需回復で整う反騰の条件

■これまで日本株の頭を押さえてきた悪材料は、ここへ来て概ね解消しつつあります。日本の基幹産業である自動車業界は、一部メーカーを除き今後の本格的な挽回生産が見込める状況になってきました。内閣支持率低下による政局不安定化リスクも、先の衆院選での自民党の勝利・絶対安定多数確保で大きく後退しています。また、最近の中国株式市場の値動きを見る限り、不動産市況の低迷や一部社債のデフォルトリスクについては、かなり市場に織り込まれたように見受けられます。

■そして今夏に失速した国内景気は、コロナの新規感染者数の急減や、予想を超える規模となった政府の経済対策もあり、年度後半以降の本格的な回復が見込める状況になってきました。こうした株式市場を取り巻く環境の改善に加え、諸外国とは異なり政府・日銀による緩和的な金融政策が当面続く可能性が高いことから、日本株式市場の反騰の条件は整いつつあるように思われます。

3.復調する内需株、中でもシニア関連は政策効果が後押し

■世界的な金利上昇を伴う経済回復を前提に、今後の日本株の本格反騰を展望すると、投資スタイルではグロース株よりもバリュー株、業種では金利上昇の恩恵を受ける金融株、そして今後の業績の変化率の観点からは内需関連株への期待が高まるものと思われます。


■そんな内需関連株の中にあって注目されるのが、政府の経済対策による押し上げ効果が期待されるシニア消費関連銘柄です。コロナ禍にあって健康リスクの高さから経済活動を自重してきたシニア層ですが、年代別の消費者態度指数(消費意欲調査)を見ると、60代や70代の消費意欲は既にコロナ禍前の水準を回復しており、戻りの鈍い若年層と比べてその強さは際立っています。今後予想される行動制限の本格解除をきっかけに、シニア層の消費活動が大きく上振れする可能性があります。


■こうしたシニア層の消費意欲を更に刺激するのが、政府の経済対策、中でも来年早々に再開予定の「Go Toトラベル事業」です。各種アンケートの結果でも旅行はシニア層の最大の関心事の一つですが、「Go Toトラベル事業」自体が関連消費のすそ野が広く、乗数効果も大きいことから、シニア層の消費拡大の起爆剤としてその動向に注目が集まりそうです。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

    

      

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