ホームマーケット経済指標解説2021年11月分景気動向指数(速報値)

2021年11月分景気動向指数(速報値)

2022年1月11日

-先行CI前月差+1.5の2カ月連続の上昇、一致CI+3.8と2カ月連続の上昇-
-基調判断は「足踏みを示している」が継続。「改善」に戻るのは早くても1月分-

●11月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+1.5と2カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差プラス寄与度に、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストックの4系列が前月差マイナス寄与度になった。


●11月分の一致CIは前月差+3.8と2カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の全系列が前月差プラス寄与度になった。


●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年1月分で「上方への局面変化」に上方修正され、2月分では判断が据え置かれた。3月分で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正され、4月分~8月分と「改善」の判断は据え置きになっていたが、9月分では「足踏みを示している」に下方修正され、前回10月分では「足踏みを示している」の判断が継続となった。


●今回11月分では「足踏みを示している」の判断が継続となった。11月分は一致CIの前月差が上昇し、11月分の3カ月後方移動平均・前月差が+0.87の上昇幅になった。「改善」に戻るためには、「3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が上昇」という条件があるため、11月分で3カ月後方移動平均・前月差が上昇に転じたものの、3カ月連続になるのは早くて3月8日発表の1月分である。楽観的に予測したとしても、来月は「足踏み」の判断が継続することになろう。

●11月分の先行DIは55.6%と2カ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の5系列がプラス符号に、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの4系列がマイナス符号になった。


●11月分の一致DIは87.5%と5カ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の7系列がプラス符号に、投資財出荷指数1系列がマイナス符号になった。


●1月26日発表予定の11月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は1月17日である。また在庫率関連データが1月18日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。


●11月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数が加わる。労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られている。内訳をみると、雇用者数(非農林業)は労働力調査のデータで前月比▲0.2%の減少であることが判明している。一方、総実労働時間指数(調査産業計)は毎月勤労統計・速報値の前月比は0.0%の横這いであることが判明している。11月分確報値は1月25日に発表される。また、生産指数関連データが1月18日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが同じく1月18日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。


●12月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列が前月差プラス、消費者態度指数、東証株価指数の2系列が前月差マイナスである。


●また、12月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がプラス符号に、東証株価指数1系列がマイナス符号になることが判明している。12月分速報値段階の先行DIは33.3%以上88.9%以下になることが確定している。