ホームマーケット経済指標解説2020年4月分景気動向指数(速報値)

2020年4月分景気動向指数(速報値)

2020年6月5日

-先行CI前月差▲8.9と2カ月連続、一致CI前月差▲7.3と3カ月連続下降-
-先行CI、一致CIとも前月差下降幅は85年からあるデータで史上最大の大きさ-
-4月分の機械的な基調判断は「悪化を示している」で据え置き-

●4月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲8.9と2カ月連続の下降になった。下降幅は20年3月分の▲6.4を上回り、85年からあるデータの中で最大である。指数は76.2と09年3月(74.2)以来の11年1カ月ぶりの低水準となった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの全系列は前月差マイナス寄与度になった。

●なお、前回3月分の新設住宅着工床面積、マネーストックの2系列に続き、4月分ではマネーストック、東証株価指数の2系列が前月差で改善していたが、「共通循環変動」部分が大幅に下降したため「系列固有変動」部分が大幅に上乗せされたことになり、外れ値処理の対象である「系列固有変動」部分が大幅に刈り込まれ、前月差寄与度がマイナスになるという珍しいことが生じている。4月分では一致系列でも投資財出荷指数、1系列の前月差はプラスであったが、同じ理由で前月差寄与度はマイナスになった。

●4月分の一致CIは前月差▲7.3と3カ月連続下降になった。下降幅は09年1月分の▲6.4を上回り、85年からあるデータの中で最大である。指数は81.5で09年10月(80.1)以来10年6カ月ぶりの低い水準になった。速報値からデータが利用可能な7系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の全系列が前月差寄与度マイナスになった。

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差▲4.27ポイントと、7カ月連続の下降になった。7カ月後方移動平均は前月差▲2.58ポイント下降し、18カ月連続の下降になった。

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、5月分・6月分・7月分と「下げ止まり」の判断だったが、8月分で「悪化」に下方修正された。9月分・10月分・11月分・12月分・1月分・2月分・3月分に続き、4月分も「悪化」継続になった。9カ月連続の「悪化」は、08年6月からの11か月連続以来の長さである。

●4月分の先行DIは22.2%と4カ月連続で景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、新設住宅着工床面積、マネーストックの2系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列がマイナス符号になった。

●4月分の一致DIは0.0%と2カ月連続で景気判断の分岐点の50%を下回った。3月分も0.0%だった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の全系列がマイナス符号になった。

●6月24日発表予定の4月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は6月10月日である。また在庫率関連データが6月12日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●4月分景気動向指数・改訂値で、一致CIには所定外労働時間指数が新たに加わる。4月分速報値は6月9日に発表である。また、4月分確報値の発表日は6月23日なので、24日発表の景気動向指数・改訂値では確報値が使われよう。生産指数関連データが6月12日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが6月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●5月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列が前月差プラスに、中小企業売上げ見通しDIの1系列が前月差マイナスになることが判明している。

●また、5月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列で全系列がマイナス符号になることが判明している。5月分速報値段階の先行DIは0.0%以上55.6%以下になることが確定している。