ホームマーケット経済指標解説2020年1~3月期実質GDP(第1次速報値)予測

2020年1~3月期実質GDP(第1次速報値)予測

2020年4月30日

-1~3月期実質GDP第1次速報値・前期比は2四半期連続マイナス成長に-
-個人消費、設備投資など前期比マイナス。外需・前期比寄与度もマイナスに-

●5月18日に発表される1~3月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲0.9%程度、前期比年率▲3.5%程度と2四半期連続のマイナス成長になると予測する。新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、1~3月期の中でも3月分が大きく、マイナスに寄与するとみられる。

●なお、1~3月期実質GDP第1次速報値では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う対応として 供給側推計の3月の補外方法が変更される。基礎統計の3か月目のデータが公表されていない場合には、基礎統計の最初の1か月又は2か月の前年同期比や、基礎統計の前年の3か月目の前月比等を用いて、3カ月目の値を補外していた従来の方法より、今回のやり方の方が、個人消費などが弱く出ることになろう。具体的には、推計時点で利用可能な業界統計などの動きにより3月値を補外する。また、業界統計などへの切り替えが困難な場合には、本年2月の前年同月比を用いて3月値を補外する。なお、閏年の影響が生じていると考えられる基礎統計については、本年の計数に28/29を乗じたものを用いるということだ。

●1~3月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲0.5%程度を予測する。内訳をみると、民間需要の寄与度が▲0.6%程度のマイナス寄与度に、公的需要の寄与は+0.1%程度のプラス寄与度と予測する。

●実質個人消費が消費税増税の影響などの影響で前期の10~12月分が低水準だったこともあって、前期比▲0.5%程度のマイナスを予測する。また、設備投資は前期比▲1.0%程度のマイナスになると予測した。

●外需は、輸出が▲4.9%程度と前期比減少に、控除項目の輸入が前期比▲3.0%程度前期比減少になると予測した。外需の前期比寄与度は▲0.3%程度とマイナスになるとみた。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の1~3月期前期比は▲0.9%の減少になった。一方、非耐久消費財出荷指数は同+0.8%の減少だ。なお、国内家計最終消費支出のうち非耐久財に関してGDPの計算では閏年調整が行われる。GDPの個人消費算出には直接使用されないが、同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の1~3月期前期比は+1.6%の増加だ。また、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1~2月分平均比対10~12月分平均比は▲1.3%の減少である。乗用車販売台数の1~3月期は10~12月期の前期比▲20.1%の大幅減少の反動から、前期比+5.1%の増加になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の1~2月分平均比対10~12月分平均比は▲0.3%の減少である。1~3月期第1次速報値では個人消費の前期比は総合的に判断すると前期比▲0.5%程度の減少になると予測する。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の1~3月期前期比は▲2.5%の減少になった。資本財(除く輸送機械)は同▲0.5%の減少である。一方、建設財は同▲1.9%の減少になった。供給サイドから推計される1~3月期実質設備投資・前期比は▲1.0%程度の減少と予測した。

●民間在庫投資(民間在庫変動)の前期比寄与度は0.0%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+4,840億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+3,117億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、10~12月期は+0.7%だったが、1~3月期は+2.3%になったことなどを考慮した。

●実質輸出入の動向をみると輸出の1~3月期前期比は▲1.7%の減少になった。控除項目の輸入は▲3.8%の減少になっている。モノの外需の1~3月期の前期比寄与度はプラス寄与になるとみられる。インバウンド消費の大幅減少などのサービス面を考慮して、GDPの輸出の1~3月期前期比は▲4.9%の程度の減少、輸入は同▲3.0%程度の減少と予測した。1~3月期の外需の前期比寄与度は▲0.3%程度になると予測する。