2019年6月分鉱工業生産指数・速報値について

2019年7月30日

-6月分鉱工業生産指数前月比▲3.6%、経産省先行き試算値・下限値を下回る伸び率に-
-5/1・2に稼働した企業の影響もあり、基調判断は「生産は一進一退」で据え置き-
-6月分景気動向指数一致CI前月差は下降、基調判断は「下げ止まり」継続に-

(鉱工業生産)

●鉱工業生産指数・6月分速報値・前月比は▲3.6%と3カ月ぶりの減少になった。15年を100とした季節調整値の水準は101.1と、17年1月分(100.9)以来の低い指数水準になった。また、前年同月比は▲4.1%と5カ月連続の減少になった。

●但し、4~6月期は前期比+0.5%の増加となった。このところ四半期ごとにみると増減を繰り返している。経済産業省は基調判断を「総じてみれば、生産は一進一退。」と4月分以降3カ月連続で据え置いた。

●経済産業省の鉱工業生産指数の先行き試算値は過去の修正パターンを機械的に反映させたものだ。6月分の前月比は最頻値で▲1.7%の減少見込み、90%の確率に収まる範囲は▲2.7%~▲0.7%だったが、実績は前月比▲3.6%で、下限値を下回る伸び率となった。なお、今年のGWは10連休と過去のパターンと違う状況で5月1日と2日は統計上、季節調整にあたり休日処理をしてあるが、実際には一部の企業が工場を稼働させたようで、その分5月分が実態より高めの前月比になった反動が6月分で出たようだ。

●6月分鉱工業生産指数では、無機・有機化学工業、石油・石炭製品工業の2業種だけが前月比増加だ。前月比減少の寄与が大きい順に3業種を並べると、自動車工業、生産用機械工業、電気・情報通信機械工業になる。前月比減少の業種は全部で13業種となった。減少への寄与が大きかった上位3業種はいずれも4・5月が連続して増加となった反動が出ている面が大きいようだ。

●6月分速報値の鉱工業出荷指数は、前月比▲3.3%と3カ月ぶりの減少となった。前年同月比は▲4.2%で、7カ月連続の減少になった。指数水準は100.6で19年1月の100.6以来の低い水準である。

●6月分速報値の鉱工業在庫指数は、前月比+0.3%と2カ月連続の増加となった。前年同月比は+2.9%と8カ月連続の増加となった。指数水準は104.6と15年基準で過去最高水準になった。

●6月分速報値の鉱工業在庫率指数は、前月比+2.8%で2カ月連続の前月比上昇となった。指数水準は109.4と15年基準で過去最高水準になった。

●大きな動きをチェックするために、鉱工業全体で縦軸に在庫の前年比を、横軸に出荷の前年比をとった在庫サイクル図をつくると、17年10~12月期で「在庫積み上がり局面」に入った。18年1~3月期から7~9月期まで「在庫積み上がり局面」であった。18年10~12月期は、10~11月分までは出荷の前年同月比が在庫の前年同月比を上回り「在庫積み増し局面」に戻ることが一時的に期待されたものの、最終的には10~12月期全体では出荷の前年同期比が+1.1%、在庫が同+1.7%となり、「在庫積み上がり局面」のままであった。19年1~3月期は出荷の前年同期比が▲1.6%、在庫が同+0.2%で、続く19年4~6月期は出荷の前年同月比が▲2.5%、在庫が同+2.9%となり、依然として「在庫積み上がり局面」の状態にあることが確認された。

●鉱工業生産指数の先行きを製造工業予測指数でみると7月分は前月比+2.7%、8月分は同+0.6%の増加見込みである。但し、過去のパターン等で修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、7月分の前月比は最頻値で▲0.3%の減少見込みになる。90%の確率に収まる範囲は▲1.3%~+0.7%になっている。

●先行きの鉱工業生産指数を、7月分は先行き試算値最頻値前月比(▲0.3%)、8月分は前月比(+0.6%:製造工業予測指数)、9月分を前月比0.0%で延長すると、7~9月期の前期比は、1.6%になる。また、先行きの鉱工業生産指数を、7月分・8月分を製造工業予測指数の前月比(+2.7%、+0.6%)、9月分を前月比0.0%で延長した場合は、7~9月期の前期比は+1.3%になる。7~9月期はまだ減少になるか増加になるかは不透明だ。 

(6月分景気動向指数、先行CI、一致CIとも前月差下降だが、基調判断は「下げ止まり」継続。)

●6月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲2.1程度の下降になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列で、7月30日時点で数値が判明しているのは、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの8系列で、全てが前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、新設住宅着工床面積1系列は、前月差マイナス寄与になると予測した。

●6月分の一致CIは前月差▲2.7程度と3カ月ぶりの下降になると予測する。速報値からデータが利用可能な、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列全てが前月差マイナス寄与になると予測した。

●一致CIを使った6月分の景気の基調判断は、一致CIの前月差がマイナスになるので、上方修正はない。予測通り一致CIが、▲2.7程度の前月差下降であれば、3カ月後方移動平均の前期差は3カ月ぶりの下降になる。「悪化」へ下方修正されるためには、3カ月後方移動平均の前期差が3カ月連続下降になることが必要なため、7月分までは判断が下方修正されることはない。「景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す」意味を持つ「下げ止まり」と言う判断が少なくとも足元は続く可能性が大きい。

●6月分の先行DIは11.1%程度と2カ月連続して景気判断の分岐点の50%割れになると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列中、7月30日時点で数値が判明している8系列で、新規求人数1系列がプラス符号、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列がマイナス符号になることが判明している。先行DIは11.1%以上22.2%以下になることが確定している。残る、新設住宅着工床面積1系列がマイナス符号になると予測した。

●6月分の一致DIは7.1%程度と3カ月ぶりに景気判断の分岐点の50%割れとなると予測する。速報値からデータが利用可能な7系列中、投資財出荷指数1系列が保合いに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の6系列がマイナス符号になると予測した。