2019年4月分鉱工業生産指数・速報値について

2019年5月31日

-4月分鉱工業生産指数前月比+0.6%とプラスに、経産省先行き試算値・上限値を上回る-
-経済産業省の基調判断は、「総じてみれば、生産は一進一退」に上方修正-
-4月分景気動向指数一致CI前月差は上昇に、但し、基調判断は「悪化」が継続-

(鉱工業生産)

●鉱工業生産指数・4月分速報値・前月比は+0.6%と2カ月ぶりの増加になった。2015年を100とした季節調整値の水準は102.8と、2015年基準(2013年1月以降)の最高水準であった18年10月分の105.6から2.8ポイント低い水準だが、18年12月の104.7以来の指数水準(19年2月と同水準)になった。また、前年同月比は▲1.1%と3カ月連続の減少になった。

●鉱工業生産指数は、中国景気の減速、情報関連財の在庫調整等のマイナスの影響がある一方で、内需関連等は底堅い動きとなっている。

●経済産業省の鉱工業生産指数の先行き試算値では、4月分の前月比は最頻値で▲0.5%の減少見込み、90%の確率に収まる範囲は▲1.5%~+0.5%と弱めの数字になっていたが、前月比+0.6%は、上限値を上回るしっかりした伸び率となった。今年のGWは10連休と過去のパターンと違う状況で、どう企業が工場の稼働を対応させたか等不透明な部分がある。

●4月分鉱工業生産指数で、自動車工業、生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)等の10業種が前月比増加で、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、無機・有機化学工業等の5業種が前月比減少となった。

●4月分速報値の鉱工業出荷指数は、前月比+1.7%と2カ月ぶりに増加となった。前年同月比は▲1.5%で、5カ月連続の減少になった。

●4月分速報値の鉱工業在庫指数は、前月比0.0%と横這いになった。鉱工業在庫指数の前年同月比は+1.2%と6カ月連続の増加となった。

●4月分速報値の鉱工業在庫率指数は、前月比▲2.5%で3カ月ぶりの前月比低下となった。

●大きな動きをチェックするために、鉱工業全体で縦軸に在庫の前年比を、横軸に出荷の前年比をとった在庫サイクル図をつくると、17年10~12月期で「在庫積み上がり局面」に入った。18年1~3月期から7~9月期まで「在庫積み上がり局面」であった。18年10~12月期は、10~11月分までは出荷の前年同月比が在庫の前年同月比を上回り「在庫積み増し局面」に戻ることが一時的に期待されたものの、最終的には10~12月期全体では出荷の前年同期比が+1.1%、在庫が同+1.7%となり、「在庫積み上がり局面」のままであった。19年1~3月期は出荷の前年同期比が▲1.6%、在庫が同+0.2%で、続く19年4月は出荷の前年同月比が▲1.5%、在庫が同+1.2%で、依然として「在庫積み上がり局面」の状態にあることが確認された。

●鉱工業生産指数の先行きを製造工業予測指数でみると5月分は前月比+5.6%の増加、6月分は同▲4.2%の減少の見込みである。但し、過去のパターン等で修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、5月分の前月比は最頻値で+1.5%の増加見込みと低めになるが、90%の確率に収まる範囲は+0.5%~+2.5%とプラスの伸び率になっている。

●先行きの鉱工業生産指数を、5月分は先行き試算値最頻値前月比(+1.5%)、6月分は前月比(▲4.2%:製造工業予測指数)で延長すると、4~6月期の前期比は▲0.1%になる。また、先行きの鉱工業生産指数を、5月分・6月分を製造工業予測指数前月比(+5.6%、▲4.2%)で延長した場合は、4~6月期の前期比は+2.6%の増加になる。6月分製造工業予測指数前月比の▲4.2%は5月分が+5.6%と大幅な伸び率の反動が出た面が大きく、5月分の伸び率が低ければ反動も小さくなることを考慮すれば、4~6月期は前期比増加に転じる可能性が大きそうだ。

●経済産業省の基調判断は、18年1月分では「生産は緩やかに持ち直している」に判断が17年12月分までの「生産は持ち直している」から下方修正された。基調判断の引き下げは、15年8月に前月の「一進一退」から「弱含み」に判断が下方修正されて以来、2年5カ月ぶりのことだった。

●18年2月分以降6月分までは、「生産は緩やかに持ち直している」という判断が継続となっていたが、7月分で「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に6カ月ぶりに下方修正された。8月分・9月分でも「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」と同じ判断だった。

●18年10月分では「生産は緩やかに持ち直している」という18年6月分以来の判断に上方修正された。11月分も、12月分でも同じ判断継続となった。

●19年1月分では「生産は足踏みをしている」に下方修正となった。2月分では判断据え置きになった。

●前回19年3月分では「生産はこのところ弱含み」に下方修正となったが、今回19年4月分では「生産は一進一退」に上方修正された。

(4月分景気動向指数予測)

●4月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+0.2程度と2カ月ぶりの上昇に転じると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列で、5月31日午前9時現在で数値が判明しているのは、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの8系列で、そのうち最終需要財在庫率指数、新規求人数、マネーストック、東証株価指数の4系列が前月差プラス寄与、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、新設住宅着工床面積は微妙だが前月差マイナス寄与になると予測した。

●4月分の一致CIは前月差+0.8程度と2カ月ぶりの上昇に転じると予測する。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業の4系列が前月差プラス寄与に、鉱工業生産財出荷指数が前月差寄与ゼロに、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率の2系列が前月差マイナス寄与になろう。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、16年10月分でそれまでの「足踏みを示している」から「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~18年8月分まで23カ月連続して同じ最高の基調判断で推移してきていたが、18年9月分・10月分・11月分・12月分と4カ月連続「足踏みを示している」となった。19年1月分では、「下方への局面変化」に下方修正された。2月分も同じ判断になった。3月分では景気後退の可能性が高いことを意味する「悪化」にさらに下方修正された。

●19年4月分では一致CIの7カ月後方移動平均は前月差マイナスだが、3カ月後方移動平均は前月差+0.17程度のプラスに転じると予測する。当月の一致CIの前月差がプラスになるので、「悪化」への下方修正の条件が満たすが、「下げ止まり」になるもうひとつの条件である一致CIの3カ月後方移動平均の前月差の符号がプラスに変化し、プラス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分(+0.90)以上を満たさない。4月分の基調判断は「悪化」継続となろう。

●4月分の先行DIは55.6%程度と景気判断の分岐点の50%を上回ると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列中、5月31日午前9時現在で数値が判明している8系列で、最終需要財在庫率指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の4系列がプラス符号に、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列がマイナス符号になることが判明している。先行DIは44.4%以上55.6%以下となることが確定している。残る、新設住宅着工床面積1系列はプラス符号になると予測した。

●4月分の一致DIは64.3%程度と景気判断の分岐点の50%を上回ると予測する。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業の4系列がプラス符号に、有効求人倍率1系列が保合い、鉱工業生産財出荷指数、商業販売額指数・小売業の2系列がマイナス符号になろう。