ホームマーケット経済指標解説2019年3月分機械受注

2019年3月分機械受注

2019年5月22日

―3月分機械受注(除船電民需)は前月比+3.8%と2カ月連続の増加―
―3月分内訳、製造業は前月比▲11.4%の減少、非製造業は前月比+13.4%の増加―
―1~3月期前期比▲3.2%の減少。4~6月期同+15.7%の増加見通し。非製造業が強い―
―3カ月移動平均▲0.01%。内閣府の基調判断は4カ月連続で「足踏みがみられる」―

●3月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+3.8%と2カ月連続の増加になった。3カ月移動平均は前月比▲0.01%と3カ月連続の減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲0.7%で3カ月連続の減少になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回2月分の1件に対し、今回3月分は2件になった。建設業の建設機械と、金融業・保険業の電子計算機等が該当した。建設業の前月比は+40.0%の増加になった。また、金融業・保険業の前月比は+0.9%だが、3カ月連続の増加になった。

●3月分の製造業の前月比は▲11.4%と2カ月ぶりの減少。製造業17業種中、4業種で増加し、減少は13業種だった。大幅マイナスだが、中国景気の減速など世界経済の先行き不透明さに対し企業が慎重な行動をとっていることが影響しているようだ。

●3月分の実質機械受注・製造業の前月比が減少になったことから前月差寄与度は▲0.44程度になり、景気動向指数3月分・改訂値での先行CI前月差の下方修正要因になると予測する。3月分の先行DIは、実質機械受注・製造業はマイナス符号で新たに加わることになるので、他の系列の符号が変わらなければ速報値の50.0%から45.0%に下方修正されるとみられる。

●3月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+13.4%と3カ月ぶりの増加になった。電力業の3月分で2月分の2件より多い4件の大型案件があったが、前月比は▲6.0%減少した。電力業を含む、非製造業全体では前月比▲0.2%とこちらは2カ月連続の減少になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。

●大型案件は、前回2月分では合計8件であった。内訳をみると、民需は、造船業の1件(内燃機関)、電力業の2件(火水力原動機、運搬機械)、運輸・郵便業の1件(船舶)の合計4件。官公需は防衛省の1件(通信機1件)、地方公務の1件(化学機械1件)の合計2件。外需は2件(化学機械、航空機)であった。今回3月分では合計15件であった。内訳をみると、民需は、建設業の1件(建設機械)、金融業・保険業の1件(電子計算機等)、電力業の4件(火水力原動機)の合計6件。官公需は国家公務の1件(通信機1件)。外需は8件(鉄道車両2件、航空機3件、火水力原動機1件、化学機械2件)であった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は3月分で前月比+7.6%と3カ月連続の増加となった。前年同月比は▲3.6%と2カ月連続の減少になった。

●外需は3月分で前月比+9.0%で2カ月連続の増加になった。前年同月比は+8.6%と3カ月ぶりの増加になった。

●内閣府の基調判断の推移をみると、18年10月分と11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断だったが、12月分では3カ月移動平均が4カ月ぶりに上昇したものの、2カ月連続前月比が微減になったことなどから、17年7月以来の「足踏みがみられる」に下方修正された。今回3月分では1月分・2月分に引き続き、4カ月連続して「足踏みがみられる」という判断になった。3カ月移動平均が▲0.01%だが、それでも3カ月連続減少したことが判断に影響したようだ。

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは▲0.9%だったが、実績は▲3.2%と下振れた。4~6月期の前期比見通しは+15.7%としっかりしている。3期平均達成率98.1%を掛けてこの数字だ。非製造業が+18.8%と高い伸び率を見込んでいる。人手不足対応の省力化投資やIT関連投資など出るのだろう。最も機械受注(除船電民需)の見通し達成には各月+5.2%の高い前月比が必要で、米中貿易戦争の行方によっては、実績は見通しよりも下振れする可能性もありそうだ。但し、4~6月期の前期比がゼロになるには各月の前月比が▲1.5%とマイナスでよいことからみて、4~6月期の前期比は3四半期ぶりにプラスに転じる可能性が期待される。

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きを紹介しよう。18年11月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同10人)、設備投資関連・先行き判断DIが47.2(同9人)である。12月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同5人)、設備投資関連・先行き判断DIが50.0(同9人)。18年のうちは底堅い動きだった。

●しかし、19年に入ると変調をきたし、1月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは44.2(同9人)、設備投資関連・先行き判断DIが58.3(同12人)、2月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは46.4(同7人)、設備投資関連・先行き判断DIが41.7(同9人)である。3月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは38.5(同13人)、設備投資関連・先行き判断DIが41.7(同12人)である。4月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは38.5(同13人)、設備投資関連・先行き判断DIが47.9(同12人)である。4月分では先行き判断が3月分より改善し、やや持ち直しの動きがみられたかたちになった。

●機械受注以外の受注の動きの中で、建設工事受注(国内民間分)の前月比が+66.3%と大幅増加になっていることが注目される。機械受注(除船電民需)4~6月期の前期比見通しは+15.7%と並んで、先行きの設備投資が期待できそうな先行指標の動きと言えよう。