2019年3月分景気動向指数(速報値)

2019年5月13日

-先行CI前月差2カ月ぶりに、一致CI前月差も2カ月ぶりに、ともに下降に転じる-
-一致CIを使った景気の基調判断は、「下方への局面変化」から「悪化」に転じる-
-4月分の基調判断も、「悪化」にとどまる可能性が大きいが、6月頃までに変化も-

●3月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲0.8と2カ月ぶりの下降に転じた。鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の5系列が前月差プラス寄与、最終需要財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列が前月差マイナス寄与になった。

●3月分の一致CIは前月差▲0.9と2カ月ぶりの下降に転じた。鉱工業生産財出荷指数、商業販売額指数・小売業の2系列が前月差プラス寄与に、生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の5系列が前月差マイナス寄与になった。

●3月分の一致CIの指数水準は2015年=100として99.6になった。なお、直近のピークは17年12月分の105.3で、足元の水準は、5.7ポイント低い。18年では最も高かった4月分の104.1に比べて4.5ポイント低い水準になった。

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差▲0.50ポイント下降し、5カ月連続の下降になった。7カ月後方移動平均は前月差▲0.47ポイントの下降で、5カ月連続の下降になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、16年10月分~18年8月分まで23カ月連続して「改善を示している」という最高の基調判断で推移してきていた。しかし、18年9月分で「足踏みを示している」へ24カ月ぶりに基調判断が下方修正され、18年12月分まで4カ月連続して同じ判断だった。19年1月分では、一致CI前月差は下降、かつ一致CIの7カ月後方移動平均の前月差の2カ月の累計と3カ月の累計が振幅目安の▲0.77(当時)を超えるマイナス幅となり、「下方への局面変化」に下方修正された。「下方への局面変化」は事後的に判定される景気の山が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す判断である。1月分の基調判断下方修正後に、「戦後最長の景気拡張は幻で、昨年秋から景気後退局面に入っている可能性がある」という見方がにわかに強まった。

●前回2月分の一致CIを使った景気の基調判断は「下方への局面変化」が維持されたが、今回3月分では「景気後退の可能性が高いことを示す」という「悪化」に下方修正された。「3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が下降、かつ当月の前月差の符号がマイナスであること」の条件を満たしたからだ。

●「悪化」から「下げ止まり」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの3カ月後方移動平均の前月差がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累計)が振幅目安の+0.90以上になることが必要だ。

●4月分で「下げ止まり」になるには、一致CIの3カ月後方移動平均の前月差が、3月分まで5カ月連続して下降なので、1カ月分で+0.90にならなければならない。現状では、一致CIの前月差が+2.8になれば条件を満たすが、厳しそうだ。但し、米中貿易戦争が激化しなければ、6月頃までにはチャンスがありそうだ。

●「悪化」から一気に「上方へ局面変化」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの7カ月後方移動平均の前月差がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累計)が振幅目安の+0.76以上になることが必要だ。

●4月分で「上方へ局面変化」に上方修正されるには、一致CIの7カ月後方移動平均の前月差が、3月分まで5カ月連続して下降なので、1カ月分で+0.76にならなければならない。現状では、一致CIの前月差が+7.5になれば条件を満たすが、不可能な数字であろう。総合的に判断し、4月分も「悪化」の可能性が大きい。

●3月分の先行DIは50.0%と景気判断の分岐点の50%になった。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、東証株価指数の4系列がプラス符号に、マネーストック1系列が保合いに、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列がマイナス符号になった。

●一方、3月分の一致DIは7.1%と景気判断の分岐点の50%割れになった。速報値からデータが利用可能な7系列中、有効求人倍率1系列が保合い、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列がマイナス符号になった。

●3月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は5月22日である。また在庫率関連データが5月20日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●3月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値は95.3で2月分97.8から大きく低下している。このままだと所定外労働時間指数は下方修正要因になりそうだ。5月24日発表の確報値が5月27日発表予定の景気動向指数・3月分改定値では使用される。また、生産指数関連データなどが過去分を含め5月20日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●4月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。この3系列の中で、東証株価指数の1系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。

●また、4月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は、日経商品指数、東証株価指数の2系列がプラス符号に、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDI1系列がマイナス符号になることが判明している。4月分速報値段階の先行DIは22.2%以上77.8%以下が確定している。