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2019年1月分全国消費者物価指数について

2019年2月22日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.8%に上昇、25カ月連続で上昇―
―生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合前月比はともに+0.2%の上昇―
―生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比+0.4%に上昇、19カ月連続上昇―

●1月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として101.5となり、前年同月比は+0.2%と12月分より0.1ポイント鈍化したものの、28カ月連続の上昇となった。一方、前月比(季節調整値)は+0.3%の上昇となった。

●1月分で前年同月比の下落に寄与したのは生鮮食品だ。18年1月は17年10月下旬と遅い時期に上陸した台風の影響と、寒波・大雪の影響が大きかった。19年1月分に、その反動が出ている。生鮮食品の前年同月比は18年12月分の▲9.4%から1月分は▲11.1%と下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.12%だった。 

●1月分では生鮮食品を除く食料の前年同月比は+0.6%と12月分の+0.7%から伸び率が僅かに鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。 

●1月分のエネルギー全体の前月比は▲0.7%下落した。前年同月比は+4.9%と12月分の+6.0%から鈍化した。総合指数の前年同月比に対するエネルギーの寄与度差は▲0.08%と前年同月比下落要因になった。 

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差の動きはまちまちだった。原油市況や為替動向が遅れて反映される電気代の前年同月比は+7.2%と12月分の+6.4%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%となった。都市ガス代の前年同月比は+7.8%と、12月分の+6.2%から上昇率が高まり、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。一方、石油製品をみると、前回12月分で+2.5%だったプロパンガスの前年同月比は今回1月分では+2.0%と伸び率がやや鈍化したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差が下落したのは、灯油とガソリンだ。灯油の前年同月比は、12月分では+12.2%だったが、1月分では+6.3%に鈍化した。前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。ガソリンの前年同月比は、12月分では+5.0%だったが、今回1月分では+0.6%の上昇率に鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%になった。 

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は1月分では前年同月比▲1.6%と、12月分の前年同月比▲0.3%から下落率が拡大し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。また、家庭用耐久財は前年同月比+0.2%で、こちらは12月分の+0.5%から上昇率が低下したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。 

●1月分の宿泊料は前年同月比+5.8%で、12月分の前年同月比+2.0%から伸び率が高まり、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.04%と上昇要因になった。一方、12月分は前年同月比+15.2%の上昇率だった外国パック旅行費は、1月分では同+13.7%に鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%の下落要因になった。

●1月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は▲0.1%と12月分の同+0.2%の上昇から下落に転じ、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.17%と物価下落要因になった。生鮮食品を除く財でみると前年同月比+1.1%と12月分の+1.2%から上昇率が鈍化し、12月分から1月分への総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.06%だった。 

●1月分のサービスの前年同月比は+0.5%と12月分の同+0.3%から上昇率が高まり、12月分から1月分にかけて総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.10%と物価上昇要因になった。内訳は公共サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差が+0.06%で、一般サービスの寄与度差が+0.04%である。 

●一般サービスのうち、外食の前年同月比は+1.1%で12月分と同じ上昇率になり、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。また、家事関連サービスの前年同月比は+0.6%で12月分と同じ上昇率で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。通信・教養娯楽関連サービスの前年同月比は+0.7%で12月分の+0.2%から上昇し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.04%と物価上昇要因になった。 

●また、実質賃金等の計算に使用する1月分の全国消費者物価指数・持家の帰属家賃を除く総合指数・前年同月比は+0.2%と12月分の+0.3%からやや伸び率が低下した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.08%だった。1月分の実質賃金や実質消費支出の前年同月比を僅かに押し上げる要因になる。なお、1月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.1%で12月分同▲0.1%と同じ減少率だった。持家の帰属家賃の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。 

●1月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数で101.2、前年同月比は+0.8%で、12月分の+0.7%から0.1ポイント上昇した。前年同月比は17年1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、25カ月連続の上昇になった。 

●1月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数・前月比(季節調整値)は+0.2%だった。上昇は10月分の+0.1%以来3カ月ぶりだ。 

●1月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は101.1で、前年同月比は12月分の+0.3%を0.1ポイント上回る、+0.4%になった。前年同月比は17年7月分で+0.1%と5カ月ぶりの上昇に転じ、17年8月分以降は+0.2%~+0.5%の間で推移し、19カ月連続の上昇になった。前月比(季節調整値)は+0.2%だった。上昇は8月分の+0.1%以来5カ月ぶりだ。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算では17年4~6月期は+0.3%、7~9月期は+0.7%、10~12月期は+0.8%、18年1~3月期+0.3%、4~6月期は+0.7%と連続してプラスが続いていたが7~9月期は▲0.2%とマイナスになった。一方、日銀の需給ギャップは16年10~12月期+0.26%、17年1~3月期+0.58%、4~6月期は+0.95%、7~9月期は+0.99%、10~12月期+1.22%、18年1~3月期+1.41%、4~6月期は+1.60、7~9月期は+1.24%と8四半期連続でプラスになっている。 

●内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は18年6月分で86.2%と16年9月の調査開始以来当時の最高になった後、18年7月分で77.1%、8月分で75.7%まで一時鈍化した。しかし、18年9月分で81.1%と3カ月ぶりに80.0%を超え、10月分で87.1%と最高を更新した。11月分では83.1%、12月分では82.0%とやや鈍化したものの4カ月連続80%台となっていたが、19年1月分では、17年8月の72.9%以来の低水準である73.7%へと大幅に鈍化した(2月分は2月22日公表予定)。 

●12月調査の日銀短観の「企業の物価見通し」は全規模・全産業でみると「物価全般見通し」で1年後と5年後が9月調査から0.1ポイントずつ上昇し0.9%と1.2%になった。3年後は9月調査と同じ1.1%と6四半期連続して同じ前年比上昇率になった。また、「販売価格の見通し」では1年後と5年後が9月調査と同じで各々0.8%と1.5%になった。また3年後は9月調査から0.1ポイント鈍化し1.2%になった。総じてみると企業の予想物価上昇率は9月調査と概ね同じという感じになっている。 

●ESPフォーキャスト調査・2月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、19年1~3月期+0.80%、4~6月期+0.65%、7~9月期は+0.58%と緩やかに鈍化する見込みだ。しかし、19年10~12月期は消費増税を受けて+1.27%に上昇(消費増税と教育無償化の影響除くと+0.58%)となっている。20年1~3月期は+1.34%に上昇(消費増税と教育無償化の影響除くと+0.63%)である。19年度は+0.97%(1月調査+1.15)%と2月調査は1月調査より予測値が下振れている。19年度(消費増税と教育無償化の影響除く)は+0.62%である。原油価格の影響、携帯電話料金の大幅引き下げが見込まれることなどが、当面の前年同月比の抑制要因として考えられよう。