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2018年12月分機械受注

2019年2月18日

―12月分機械受注(除船電民需)は前月比▲0.1%と2カ月連続僅かな減少―
―12月分の内訳、製造業は前月比▲8.5%の減少、非製造業は前月比+6.8%の増加―
―1~3月期は前期比▲1.8%の減少見通しだが、1月~3月前月比各々▲0.8%で達成―
―1~3月期は1月~3月の前月比が各々+0.1%なら前期比+0.0%と増加になる―
―基調判断は17年7月以来の「足踏みがみられる」に下方修正。但し、3カ月移動平均は増加―

●2月18日に公表された、12月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲0.1%と2カ月連続して僅かな減少になった。3カ月移動平均は前月比+2.4%と4カ月ぶりに増加した。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+0.9%で3カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回11月分に続き、今回12月分も0件だった。

●12月分の製造業の前月比は▲8.5%と2カ月連続の減少。製造業17業種中、6業種で増加し、減少は11業種だった。中国景気の減速や、米中貿易戦争など世界経済の先行き不透明さに対し企業が慎重な行動をとっていることが影響していそうだ。

●12月分の実質機械受注・製造業の前月比が大幅な減少になったことや、在庫率関連指数が上昇したことから、景気動向指数12月分・確報値での先行CI前月差は、速報値の▲1.2から▲1.6程度に下方修正されると予測する。12月分の先行DIは、実質機械受注・製造業はマイナス符号で新たに加わることになるので、22.2%から20.0%に下方修正されるとみられる。

●12月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+6.8%と3カ月連続の増加になった。電力業の12月分で1件の大型案件があったものの、前月比は▲7.1%と11月分の▲46.9%の減少に続き下落した。非製造業全体では前月比+13.7%とこちらは2カ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、8業種が増加で4業種が減少となった。

●大型案件は、前回11月分では合計5件だった。内訳をみると、民需は電力業の1件(火水力原動機)だった。外需は4件(化学機械、船舶、鉄道車両、電子計算機等)だった。今回12月分では合計10件であった。内訳をみると、民需は電力業の1件(原子力原動機)と運輸・郵便業の3件(船舶3件)。官公需は防衛省の1件(船舶1件)、外需は5件(火水力原動機2件、電子計算機等1件、航空機2件)であった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は12月分で前月比▲1.0%と2カ月連続の減少となったが、前年同月比は+6.8%と4カ月連続の増加になった。

●外需は12月分で前月比▲21.9%と3カ月ぶりに2ケタの減少となった。前年同月比は+1.7%と3カ月連続の増加となった。

●内閣府の基調判断の推移をみると、18年1月分~3月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きだった。4月分では「機械受注は、持ち直している」に8カ月ぶりに判断が上方修正された。5月分では「機械受注は、持ち直している」で据え置きになった。6月分では3カ月移動平均が6カ月ぶりに下落したことなどから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に13カ月ぶりの下方修正になった。7月分でも「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断据え置きになった。3カ月移動平均が2カ月連続で下落していたためだ。8月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。「機械受注は、持ち直している」よりは弱い表現だが、5カ月前の判断に戻ったかたちだ。

●18年9月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」と変更になった。これは17年11月分の基調判断が「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」であったのに対し、17年12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」と変更になったが、実質的には判断据え置きとなったことと同じであった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」でもみられた。10月分では3カ月移動平均が2カ月連続して下落したことから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正になった。この表現は6月分・7月分以来であった。

●前回11月分では3カ月移動平均が3カ月連続して下落したこともあり、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」で判断継続となったが、今回12月分では3カ月移動平均が4カ月ぶりに上昇したものの、2カ月連続前月比が微減になったことなどから、17年7月以来の「足踏みがみられる」に下方修正された。 

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは▲1.8%である。伸び率を達成するためには1月分~3月分の前月比が各々▲0.8%で良い。また、前期比▲0.0%のためには1月分~3月分の前月比が各々0.0で良い。前期比+0.0%のためには1月分~3月分の前月比が各々+0.1で良い。1~3月期の前期比がプラスに転じるハードルは比較的低い。達成率の計算方法が変更になった10年(平成22年)からの9年間で上振れ6回、下振れ3回となっている。実績は見通しよりも上振れしやすい。今回の見通しを計算した。達成率の3期平均は98.2%であるので、単純集計値なら1~3月期の前期比はほぼ横這いだ。1~3月期の前期比が最終的に増加になるかどうか、予断を持つことなく見守りたいところだ。

●機械受注(除船電民需)の製造業と非製造業の足元の動きの違いは、貿易戦争や中国経済の動向など世界経済の先行き不透明なことから設備投資を手控える企業がある一方、人手不足対応の投資などをやらざるを得ない業種があることを示唆していよう。

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きを紹介しよう。18年11月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同10人)、設備投資関連・先行き判断DIが47.2(同9人)である。12月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同5人)、設備投資関連・先行き判断DIが50.0(同9人)、19年1月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは44.2(同9人)、設備投資関連・先行き判断DIが58.3(同12人)である。足元、現状判断は弱含んだが、先行き判断は改善傾向が出てきている感がある。設備投資は、足踏み状態だが、先行き低下していく状況ではないことを示唆していよう。

                                                                                                                                                                 (2月18日現在)