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2018年11月分機械受注

2019年1月18日

―11月分機械受注(除船電民需)は前月比▲0.0%と僅かな減少に転じる―
―11月分の内訳、製造業は前月比▲6.4%の減少、非製造業は前月比+2.5%の増加―
―10~12月期も前期比+3.6%の増加見込みだが、達成には12月前月比+24.5%必要―
―基調判断は2カ月連続で「持ち直しの動きに足踏みがみられる」。3カ月移動平均低下続く―

●1月16日に公表された、11月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲0.0%と僅かだが2カ月ぶりの減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+0.8%で2カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回10月分に続き、今回11月分も0件だった。

●11月分の製造業の前月比は▲6.4%と2カ月ぶりの減少。製造業17業種中、8業種で増加し、減少は9業種だった。

●11月分の実質機械受注・製造業の前月比が減少になったことから、景気動向指数・確報値での先行CI前月差は、速報値の▲0.3から現状では下方修正される可能性がある。11月分の先行DIは、実質機械受注・製造業はマイナス符号で新たに加わることになりそうだ。他の系列の符号が速報値段階と変わらなければ、55.6%から50.0%に下方修正され、6カ月ぶりの50%超えならずに変更になるとみられる。

●11月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+2.5%と2カ月連続の増加になった。電力業の11月分で1件の大型案件があったが、前月比は10月分が+51.4%の増加だった反動から▲46.9%になった。そのため、非製造業全体では前月比▲15.2%と2ケタの減少率になり、こちらは2カ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。

●大型案件は、前回10月分では合計4件だった。内訳をみると、民需は2件。内訳は電力業の1件(発電機)と建設業の1件(船舶)だった。官公需は1件。内訳は、防衛省1件(船舶)。外需は1件(化学機械)だった。今回11月分では合計5件だった。内訳をみると、民需は電力業の1件(火水力原動機)だった。外需は4件(化学機械、船舶、鉄道車両、電子計算機等)であった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は11月分で前月比▲4.0%と3カ月ぶりの減少となった。前年同月比は+4.2%と3カ月連続の増加になった。

●外需は11月分で前月比+18.5%と2カ月連続2ケタの増加となった。大型案件が4件と10月の1件から増えたこともあって、海外環境が不透明さを増す中でも足元の伸び率はしっかりしていた。前年同月比は+18.6%と2カ月連続の増加となった。

●内閣府の基調判断は、18年1月分~3月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。4月分では「機械受注は、持ち直している」に8カ月ぶりに判断が上方修正された。5月分では「機械受注は、持ち直している」で据え置きになった。6月分では3カ月移動平均が6カ月ぶりに下落したことなどから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に13カ月ぶりの下方修正になった。7月分でも「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断据え置きになった。3カ月移動平均が2カ月連続で下落していたためだ。8月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。「機械受注は、持ち直している」よりは弱い表現だが、5カ月前の判断に戻ったかたちだ。

●18年9月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」と変更になった。これは17年11月分の基調判断が「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」であったのに対し、17年12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」と変更になったが、実質的には判断据え置きとなったことと同じであった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」でもみられた。

●前回10月分では3カ月移動平均が2カ月連続して下落したことから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正になった。この表現は6月分・7月分以来であった。今回11月分では3カ月移動平均が3カ月連続して下落したこともあり、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」で継続となった。

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは+3.6%である。伸び率を達成するためには12月の前月比+24.5%が必要だ。また、前期比ゼロのためには12月の前月比が+13.1%が必要だ。いずれも2ケタの高い伸び率が必要である。09年(平成21年)からの9年間で上振れ7回、下振れ2回となっているが、関連データの工作機械受注・内需は12月分速報値で前年同月比▲9.2%で11月分の同+6.0%の増加から減少に転じている。12月分の機械受注(除船電民需)前月比が2ケタのプラスの伸び率になることは難しそうだ。10~12月期は前期比実績が見通しより上振れる可能性が大きい四半期ではあるものの、今回は下振れそうだ。

●機械受注(除船電民需)は、貿易戦争や中国経済の先行きが不透明なことから設備投資を手控える企業があるものの、企業収益が足元堅調な中、AI化に対応した投資など今やらないと将来に禍根を残す分野もあり、人手不足対応の投資もやらざるを得ない業種があることも示唆している。特定サービス産業動態統計からみると、10月分・11月分のソフトウエア投資の前年同月比は堅調のようだ。設備投資全体でみると底堅い分野もある。11月分の機械受注統計でも、運輸業・郵便業の前月比が+34.1%で2カ月連続増加になるなど、人手不足対応の投資が出ていそうな業種もある。

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きを紹介しよう。10月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(回答したウォッチャー:10人)、設備投資関連・先行き判断DIが42.5(同10人)である。11月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同10人)、設備投資関連・先行き判断DIが47.2(同9人)である。12月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同5人)、設備投資関連・先行き判断DIが50.0(同9人)である。現状判断は50という景気判断の分岐点を上回っているが、先行き判断は3カ月連続して50を上回っていない。先行きにやや慎重な見方が出てきている感がある。

 (1月16日現在)