ホームマーケット経済指標解説2018年11月分景気動向指数(速報値)

2018年11月分景気動向指数(速報値)

2019年1月10日

-先行CI前月差▲0.3と2カ月ぶり下降、一致CI前月差▲1.9と2カ月ぶり下降-
-先行DI・55.6%、一致DI・64.3%でともに景気分岐点50%超に-
-一致CI3カ月後方移動平均前月差2カ月連続上昇、判断「改善」は12月分前月差上昇で-

●11月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲0.3と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの9系列中、最終需要財在庫率指数、新設住宅着工床面積、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差プラス寄与、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の6系列が前月差マイナス寄与になった。

●11月分の一致CIは前月差▲1.9と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列が前月差マイナス寄与に、有効求人倍率1系列が前月差寄与ゼロ(▲0.00)になった。 

●11月分の一致CIの指数水準は2015年=100として103.0になった。なお、直近のピークは17年12月分の105.1で、足元の水準は、2.1ポイント低い。10月分の104.9が18年では最も高い水準である。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差+0.10ポイントで、2カ月連続の上昇になった。夏場の自然災害などによるもたつきが解消されつつある感がする。一方、夏場の自然災害の影響が反映される7カ月後方移動平均は前月差▲0.17ポイントの下降で、2カ月ぶりの下降になった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、16年10月分~18年8月分まで23カ月連続して「改善を示している」という最高の基調判断で推移してきていた。しかし、18年9月分で「足踏みを示している」へ24カ月ぶりに基調判断が下方修正された。

●景気動向指数の基調判断が「改善を示している」という最上位の景況判断に戻るには、3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラスであることが必要だ。10月分・11月分と2カ月連続して3カ月後方移動平均は上昇している。12月分の前月差が0.1ポイント上昇すれば、10~12月分で3カ月連続3カ月後方移動平均が上昇という条件を満たすことになり「改善を示している」に戻る。12月分速報値が公表されるのは19年2月7日である。戦後最長の景気拡張期間タイとなる12月分で「改善を示している」という判断に戻ることになる。 

●今回11月分の先行DIは55.6%と6カ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を上回った。一方、一致DIは64.3%と2カ月連続して景気判断の分岐点の50%を上回った。 

●11月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は1月16日である。また在庫率関連データが1月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●11月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値段階の所定外労働時間指数は98.2で10月分の99.8から1.6ポイント低い数字であり、前月差はマイナス寄与になると言える。また、DIの符号はプラスである。他の系列の符号が変わらなければ一致DIは68.8%程度と速報値の64.3%から上方修正されると予測される。改定値では確報値の数字が使われるが、確報値の発表日は1月23日であるので、どう修正されるか注目される。また、生産指数関連データなどが1月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●12月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。この4系列は各々前月差マイナス寄与になることが判明している。 

●また、12月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は、中小企業売上げ見通しDI1系列がプラス符号に、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がマイナス符号になることが判明している。12月分速報値段階の先行DIは11.1%以上66.7%以下が確定している。