ホームマーケット経済指標解説2019年1~3月期実質GDP(第1次速報値)予測

2019年1~3月期実質GDP(第1次速報値)予測

2019年4月26日

-1~3月期実質GDP第1次速報値・前期比は2四半期ぶりのマイナス成長に-
-輸出の前期比はマイナスだが、輸入の前期比がそれを上回り外需は寄与ゼロに-
-10~12月期の反動もあり、個人消費、設備投資が前期比マイナス寄与に-

●5月20日に発表される1~3月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲0.1%程度、前期比年率▲0.5%程度と2四半期ぶりのマイナス成長になると予測する。

●1~3月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲0.2%程度を予測する。公的需要の寄与は+0.1%程度のプラス寄与度と予測するが、実質個人消費が▲0.2%程度、設備投資は前期比▲1.5%程度とともに前期の反動もあり減少になると予測した。

●外需は、輸出が▲0.8%程度と前期比減少になるものの、控除項目の輸入が前期比▲1.0%程度と輸出を上回る減少率になるため、外需の前期比寄与度は0.0%程度になるとみた。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の1~3月期前期比は▲0.9%の減少になった。一方、非耐久消費財出荷指数は同+4.0%の増加だ。GDPの個人消費算出には直接使用されないが、同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の10~12月期前期比は▲1.3%の減少だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1~2月分平均比対10~12月分平均比は▲0.2%程度の減少とみられる(変動調整値を考慮)。1~3月期はニューモデルの発売があまりなかったため乗用車販売台数の前期比は▲3.5%の減少になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の1~2月分平均比対10~12月分平均比は▲0.2%の減少である。1~3月期第1次速報値では個人消費の前期比は総合的に判断すると▲0.2%程度と予測する。10~12月期は自然災害の影響で落ち込んだ7~9月期の反動もあって2四半期ぶりにプラスの伸び率になったが、1~3月期には10~12月期の反動が出る形になりそうだ。

●住宅投資は前期比+0.2%程度とみた。先行指数である新設住宅着工戸数・前年同月比が消費税率引上げを意識した駆け込み需要が若干出ているようで、昨年12月分~直近2月分までプラスで推移していたことなどを参考にした。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の1~3月期前期比は▲5.7%の減少になった。資本財(除く輸送機械)は同▲7.6%の減少である。一方、建設財は同▲1.8%の減少になった。ソフトウエアなどの設備投資は底堅いとみられるものの、機械の設備投資はかなり弱そうだ。供給サイドから推計される1~3月期実質設備投資・前期比は▲1.5%程度の減少に転じると予測した。

●在庫投資の前期比寄与度は0.0%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が10~12月期第2次速報値時点での情報を使って算出・公表した、10~12月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲763億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲5,023億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、10~12月期は+0.9%だったが、1~3月期は+1.1%と伸び率が高まったことなどを考慮した。

●公共投資は前期比+1.5%程度の増加とみた。関連データの公共工事出来高・前年同月比は1月分▲2.3%、2月分▲1.4%で、10~12月期の前年同期比▲5.0%よりマイナス幅が縮小した。10~12月期の公共投資は名目ベースそして実質ベースとも10~12月期より前年同期比の減少率が縮小すると考えた。

●実質輸出入の動向をみると輸出の1~3月期前期比は▲1.8%の減少になったが、控除項目の輸入は同▲2.5%の減少になっている。モノの外需の1~3月期の動向はプラス寄与になるとみられる。サービス面を考慮して、GDPの輸出の1~3月期前期比は▲0.8%の減少、輸入は同▲1.0%の減少と予測した。1~3月期の外需の前期比寄与度は0.0%程度になると予測する。