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2018年9月分機械受注

2018年11月8日

―9月分機械受注(除船電民需)前月比▲18.3%と、大幅増の反動で3カ月ぶり減少―
―9月分内訳、製造業前月比▲17.3%、非製造業前月比▲17.1%と両方とも減少―
―7~9月期前期比+0.9%、見通し▲0.3%上回る。10~12月期も前期比増加見込み―
―基調判断「持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少」で実質的に変わらず―

●9月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲18.3%と過去最大の減少率になった。2カ月連続で大幅増加になった反動が出たと言える。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲7.0%で6カ月ぶりの減少になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回8月分に続き、今回9月分も0件だった。 

●9月分の製造業の前月比は▲17.3%と3カ月ぶりの減少。製造業17業種中、4業種で増加し、減少は13業種だった。 

●9月分の実質機械受注・製造業の前月比が2ケタの減少になったことから、景気動向指数・確報値での先行CI前月差は、速報値の▲0.6から現状では下方修正される可能性が大きくなった。9月分の先行DIは、実質機械受注・製造業はマイナス符号で新たに加わる。他の系列の符号が速報値段階と変わらなければ、11.1%から10.0%に下方修正されるとみられる。 

●9月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲17.1%と3カ月ぶりの減少になった。電力業の8月分は、3件の大型案件があったが、前月比は▲36.4%の減少になった。そのため、非製造業全体では前月比▲23.5%と大幅な減少率になり、こちらも3カ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。 

●大型案件は、前回8月分では合計7件だった。内訳をみると、民需は電力業の2件(化学機械1件、発電機1件)。外需は5件(航空機2件、船舶1件、化学機械1件、電子計算機等1件)であった。今回9月分では合計13件だった。内訳をみると、民需は4件。内訳は電力業の3件(原子力原動機1件、火水力原動機1件、その他重電機1件)と運輸業・郵便業の1件(船舶)だった。官公需は5件。内訳は、防衛省2件(航空機)、国家公務1件(電子計算機等)、地方公務1件(その他産業機械)、その他官公需1件(その他産業機械)だった。外需は4件(航空機3件、鉄道車両1件)であった。 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は9月分で前月比+2.4%と2カ月ぶりの増加となった。前年同月比も+2.9%と2カ月ぶりの増加になった。 

●外需は9月分で前月比▲12.5%と3カ月ぶりの減少となった。前年同月比は▲10.2%と2カ月連続の減少となった。 

●内閣府の基調判断は、18年1月分~3月分では基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。4月分では基調判断は「機械受注は、持ち直している」に8カ月ぶりに判断が上方修正された。5月分では基調判断は「機械受注は、持ち直している」で据え置きになった。7月分では3カ月移動平均が6カ月ぶりに下落したことなどから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に13カ月ぶりの下方修正になった。7月分でも「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断据え置きになった。3カ月移動平均が2カ月連続で下落していたためだ。

●前回8月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。「機械受注は、持ち直している」よりは弱い表現だが、5カ月前の判断に戻ったかたちだ。今回9月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」と変更になった。これは17年11月分の基調判断が「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」であったのに対し、17年12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」と変更になったが、実質的には判断据え置きとなったことと同じであった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」でもみられた。

●機械受注(除船電民需)7~9月期の前期比見通しは▲0.3%だったが、実績は見通しを上回る+0.9%になった。5四半期連続の増加である。これで、7~9月期の前期比は、見通しの計算に使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの10年間で上振れ8回、下振れ2回と7~9月期の前期比実績は見通しより上振れしやすい傾向は強まった。 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは+3.6%である。達成するためには各前月比+7.8%が必要だ。また前期比ゼロのためには各前月比が+6.0%必要だ。見通しに使う達成率が102.0であることを考慮しても企業から報告された10~12月期の見通し数字はしっかりしたものだったことがわかる。また、09年(平成21年)からの9年間で上振れ7回、下振れ2回となっている。10~12月期は前期比実績は見通しより上振れる可能性が大きい四半期と言えそうだ。 

●機械受注(除船電民需)は、貿易戦争や中国経済の先行きが不透明なことから設備投資を手控える企業もあるとみられるが、企業収益が足元堅調な中、AI化に対応した投資など今やらないと将来に禍根を残す分野もある。また雇用環境がしっかりしているため人手不足対応の投資もやらざるを得ないだろう。 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの動きを紹介しよう。5月分設備投資関連・現状判断DIは53.3(回答したウォッチャー:15人)、設備投資関連・先行き判断DIが61.4(同11人)。6月分景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは50.0(同12人)、設備投資関連・先行き判断DIが65.6(同8人)。7月分景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは50.0(同9人)、設備投資関連・先行き判断DIが67.9(同7人)となった。8月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは52.5(同10人)、設備投資関連・先行き判断DIが59.6(同13人)となった。9月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは46.4(同70人)、設備投資関連・先行き判断DIが54.2(同12人)である。10月分はまだ発表されていない(本日午後公表)。9月分は若干鈍化した感があるが、総じて、足元、景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの動向は先行き判断を中心にしっかりしている。