ホームマーケット経済指標解説2018年9月分景気動向指数(速報値)

2018年9月分景気動向指数(速報値)

2018年11月7日

-先行CI前月差▲0.6と2カ月ぶり下降、一致CI前月差▲2.1と2カ月ぶり下降-
-先行DI・11.1%、一致DI・42.9%でともに景気分岐点50%割れ-
-一致CI3カ月後方移動平均3カ月累積▲1.37、基調判断24カ月ぶり「足踏み」-

●9月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差▲0.6と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数が前月差ゼロに、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積、マネーストックの4系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差▲2.1程度と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の全7系列が前月差マイナス寄与になった。 

●9月分の一致CIの指数水準は114.6になった。なお、直近のピークは17年12月分の119.0で、足元の水準は、4.4ポイント低い。114.6は16年12月の114.4以来の低めの水準である。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差▲0.77ポイントで、3カ月連続の下降になった。7カ月後方移動平均は前月差▲0.17ポイントの下降で、2カ月ぶりの下降になった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月の間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~18年8月分まで同じ基調判断だった。9月分一致CIが下降で、3カ月後方移動平均前月差の3カ月合計が▲1.37と1標準偏差の▲1.02を上回る下落幅になったので「足踏みを示している」へ24カ月ぶりに基調判断が下方修正された。

●「改善を示している」という最上位の景況判断に戻るには、原則として3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が上昇、当月の前月差の符号がプラスであることが必要だ。9月分の悪化は一時的だと見て、10月分以降上方修正の条件を満たすとすれば、最短で12月分速報値が公表される2月7日になる。10月分が9月分の反動である程度戻せば、11月分・12月分は緩やかな上昇で条件を満たせるので、ハードルは高くないだろう。 

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.86)以上」であることが必要だ。10月分で万一「下方への局面変化」になるための条件は、過去の数字が不変だとして、10月分が▲3.4以上の下降幅になると、2カ月の累積が▲0.87よりも大きな下降幅となり、1標準偏差分(▲0.86)の条件を満たす。 

●今回9月分速報値では、先行DIは11.1%程度と3カ月連続して50%を下回った。一方、一致DIは42.9%で、こちらは景気判断の分岐点の50%を2カ月ぶりに下回った。

●9月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は11月8日である。また今回基準改定も行われる在庫率関連データなどが11月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●9月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値段階の前月差寄与度は+0.19程度で上方修正要因である。また、DIの符号はマイナスである。他の系列の符号が変わらなければ一致DIは37.5%程度と速報値の42.9%から下方修正されると予測されるが、景気判断の分岐点である50%割れは変わらないだろう。改定値では確報値の数字が使われるが、確報値の発表日は11月22日であるので、どう修正されるか注目される。また、生産指数関連データなどが11月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●10月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。全系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。他の系列が中立ならば前月差は下降になる可能性が大きいだろう。 

●また、10月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は、日経商品指数1系列がプラス符号に、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がマイナス符号になることが判明している。10月分速報値段階の先行DIは11.1%以上66.7%以下が確定している。