2018年8月分機械受注

2018年10月10日

―8月分機械受注(除船電民需)前月比+6.8%と2カ月連続の増加に―
―8月分内訳、製造業前月比+6.6%、非製造業前月比+6.0%と両方増加―
―9月分が前月比▲20.6%でも7~9月期前期比ゼロ。見通し▲0.3%を上回る―
―基調判断「持ち直しの動きがみられる」に上方修正。設備投資は足元しっかり―

●8月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+6.6%と、筆者の予測通り2カ月連続の増加になった。各種の堅調な設備投資計画調査に見合った動きと言える。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+12.6%で5カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)は、貿易戦争や中国経済の先行きが不透明なことから設備投資を手控える企業もあるとみられるが、企業収益が足元堅調な中、AI化に対応した投資など今やらないと将来に禍根を残す分野もある。また雇用環境がしっかりしているため人手不足対応の投資もやらざるを得ないだろう。 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回7月分に続き、今回8月分も0件だった。 

●8月分の製造業の前月比は+6.6%と2カ月連続の増加。製造業17業種中、11業種で増加し、減少は6業種だった。増加業種は7月分の12業種に続き2カ月連続2ケタである。 

●8月分の実質機械受注・製造業の前月比が2ケタの増加になったことから、景気動向指数・確報値での先行CI前月差は、速報値の+0.5から現状では+0.8程度に上方修正される可能性が大きくなった。8月分の先行DIは、実質機械受注・製造業はプラス符号で新たに加わる。他の系列の符号が速報値段階と変わらなければ、22.2%から30.0%に上方修正されるとみられる。 

●8月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+6.0%と2カ月連続の増加になった。8月分前年同月比は+11.6%でこちらも2カ月連続の増加になった。電力業の8月分は、化学機械1件と発電機1件、合わせて2件の大型案件があったが、前月比は▲14.6%の減少になった。そのため、非製造業全体では前月比+3.9%と低めの伸び率になったものの、こちらも2カ月連続の増加になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。人手不足対応の投資が必要とみられる、運輸業・郵便業の前月比は+64.2%と4カ月連続の増加になった。 

●大型案件は、前回7月分では合計8件だった。内訳をみると、民需は電力業の3件(火水力原動機2件、化学機械1件)。官公需は防衛省の1件(航空機)、地方公務の1件(その他産業機械)、その他官公需の2件(その他産業機械2件)の計4件。外需は1件(化学機械)であった。今回8月分では合計7件だった。内訳をみると、民需は電力業の2件(化学機械1件、発電機1件)。外需は5件(航空機2件、船舶1件、化学機械1件、電子計算機等1件)であった。海外のIT関連投資の強さが継続していることが窺われよう。 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は8月分で前月比▲5.2%と2カ月ぶりの減少となった。前年同月比は▲2.3%と2カ月ぶりの減少になった。機械受注(除船電民需)に比べ、弱めの動きである。景気は良くても、経営者が高齢化して後継ぎがいない企業などの構造的な問題があるのかもしれない。 

●外需は8月分で前月比+7.8%と2カ月連続の増加となった。前年同月比は▲2.7%と2カ月ぶりの減少となった。

●内閣府の基調判断は、17年8月分で「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に4カ月ぶりに判断が上方修正された。「足踏み」という言葉が入らない表現は16年8月分以来、1年ぶりだった。9月分・10月分に続き、11月分でも基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」で実質的に判断据え置きとなった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」以来であった。

●18年1月分~3月分では基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。4月分では基調判断は「機械受注は、持ち直している」に8カ月ぶりに判断が上方修正された。5月分では基調判断は「機械受注は、持ち直している」で据え置きになった。7月分では3カ月移動平均が6カ月ぶりに下落したことなどから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に13カ月ぶりの下方修正になった。前回7月分でも「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断据え置きになった。3カ月移動平均が2カ月連続で下落していたためだ。今回8月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。「機械受注は、持ち直している」よりは弱い表現だが、5カ月前の判断に戻ったかたちだ。 

●機械受注(除船電民需)7~9月期の前期比見通しは▲0.3%。7~9月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの9年間で上振れ7回、下振れ2回となっている。18年(平成30年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率101.6をかけたものである。9月の前月比が▲20.6%で7~9月期の前期比0.0%が達成できるので、7~9月期の前期比実績は見通しより上振れる可能性が大きい。9月分の前月比は反動減の可能性が大きいが、もし前月比ゼロなら7~9月期の前期比は+7.6%になる。 

●10月1日に発表した日銀短観9月調査で、GDPの設備投資の概念に近い「ソフトウェア・研究開発を含み土地投資額を除くベースの全産業・全規模の設備投資」の2018年度計画・前年度比は、大企業・全産業で+10.3%。一方、18年度の中小企業・全産業で▲1.4%。18年度の全規模・全産業では+9.2%になった。かなりしっかりした数字である。また、日本政策投資銀行が8月1日に発表した18年度の設備投資計画調査で全産業の国内投資が17年度の実績比+21.6%の増加で19兆7,468億円。伸び率としては80年度以来38年ぶりの高さで、増加は7年連続としっかりした内容になった。7~9月期の法人企業景気予測調査によると、2018年度の設備投資計画(ソフトウエアを含む)は全産業で前年度比+9.9%の増加となる見通しだ。7~9月としては05年度以来、13年ぶりの高水準となっている。このように計画調査はしっかりしている。 

●5月分景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは53.3(同15人)、設備投資関連・先行き判断DIが61.4(同11人)。6月分景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは50.0(同12人)、設備投資関連・先行き判断DIが65.6(同8人)。7月分景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは50.0(同9人)、設備投資関連・先行き判断DIが67.9(同7人)となった。8月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは52.5(同10人)、設備投資関連・先行き判断DIが59.6(同13人)となった。9月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは46.4(同70人)、設備投資関連・先行き判断DIが54.2(同12人)である。9月分は若干鈍化した感があるが、総じて、足元、景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの動向は先行き判断中心にしっかりしている。人手不足対応の他に、最先端の技術を競う業種では生き残りをかけた設備投資の必要に迫られているものも多い。今夏の相次ぐ自然災害で被災した企業では復興関連の投資も出よう。幸い企業収益は過去最高水準にある。

●設備投資の先行指標である機械受注8月分は市場予測の平均の前月比マイナス予想を上回るかなりしっかりした内容になった。今後、各種設備投資計画や、景気ウォッチャー調査の設備投資関連DIに見合って、秋以降の機械受注統計が底堅い動きを続けるかどうかが注目される。特に9月分発表時の10~12月期の見通しに注目したいところだ。