2018年7~9月期実質GDP(第1次速報値)について

2018年11月14日

―実質GDP成長率は前期比年率▲1.2%、2四半期ぶりのマイナス成長―
―実質個人消費:前期比▲0.1%、設備投資:同▲0.2%、輸出:同▲1.8%―
―自然災害の影響大、実質サービス消費:前期比▲0.7%、実質インバウンド消費:同▲9.0%―
―18年度内閣府年央試算+1.5%は残り各前期比年率+4.4%必要。下振れ必至―

●18年7~9月期実質GDP成長率・第1次速報値は前期比▲0.3%、前期比年率▲1.2%となった。豪雨、台風、地震など自然災害の影響で、実質個人消費がマイナスになった。また、輸出が減少したが、非居住者家計の国内での直接購入(インバウンド消費)にも自然災害の影響が大きく反映された。実質設備投資は8四半期ぶりに前期比マイナスに転じたが、供給サイドのデータだけからの推計であり、需要サイドの法人企業統計次第では上方修正される可能性がある。 

●先行きについては、消費者マインドが10月に低下し、暖冬をもたらすエルニーニョ現象が発生する中、10月以降の個人消費がどう出てくるか、雇用や所得環境の改善が続く中で過度に悲観的になることがないかが注目される。一方、保護主義が台頭する中、通商問題の動向が世界経済に与える影響が懸念される。海外発の景気下振れ要因の動向を注視する必要がある状況が続きそうだ。 

●7~9月期の名目GDP成長率は前期比▲0.3%、前期比年率▲1.1%と、2四半期ぶりにマイナス成長になった。

●7~9月期の実質個人消費・前期比は▲0.1%と2四半期ぶりのマイナスになった。実質家計最終消費支出の前期比も▲0.1%とマイナスの伸び率である。実質国内家計最終消費支出は前期比▲0.2%で、内訳をみると、耐久財の前期比は+0.4%と2四半期連続の増加になった。半耐久財の前期比は+0.6%と2四半期連続の増加、非耐久財の前期比は+0.4%と5四半期ぶりの増加としっかりした動きだったが、自然災害の影響からレジャーなどが落ち込んだとみられるサービスの前期比は▲0.7%と4四半期ぶりの減少になった。 

●7~9月期では、実質雇用者報酬の前期比が▲0.5%と3四半期ぶりの減少になった。 

●7~9月期の実質設備投資・前期比は▲0.2%と8四半期ぶりの減少になった。名目の前期比(季節調整済み)は+0.3%とこちらは8四半期連続の増加になった。 

●供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+7.4%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+13.4%であると公表された。法人企業統計が出た時に比較することで、7~9月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となる数字だ。 

●7~9月期実質住宅投資は前期比+0.6%と、5四半期ぶりの増加になった。 

●7~9月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.1%だった。民間在庫投資の内訳をみると、流通在庫は前期比寄与度▲0.2%、製品在庫が前期比寄与度+0.1%、また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は▲0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同0.0%だった。は前期比▲1.9%の減少になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%であった。 

●7~9月期外需(純輸出)の前期比寄与度は▲0.1%と2四半期連続のマイナス寄与になった。実質輸出は前期比▲1.8%と5四半期ぶりの減少になった。財は前期比▲1.3%、サービスは前期比▲3.8%の減少になった。実質輸入の前期比は▲1.4%と4四半期ぶりの減少になった。財に関しては前期比+0.4%と増加、サービスは前期比▲8.2%の減少になった。 

●7~9月期のGDPデフレーターの前年同期比は▲0.3%のマイナスの伸び率になった。控除項目の輸入のデフレーター・前年同期比が+7.6%と4~6月期の+4.9%から伸び率を高めた。国内需要デフレーターの前年同期比は+0.7%とプラスの伸び率になった。一方、7~9月期の季調済み前期比をみると、GDPデフレーターは0.0%で、国内需要デフレーターの前期比は+0.3%になった。

●内閣府年央試算の18年度実質GDP成長率見通し+1.5%を達成するには残り2四半期の前期比年率が各々+4.4%程度と高めの伸び率になることが必要でハードルが高い。ESPフォーキャスト調査(11月調査)では18年度実質GDP成長率見通しの平均値は+1.01%、高位8人の平均でも、+1.20%であり、実績は内閣府年央試算の+1.5%を下回りそうだ。ちなみに、17年度から18年度へのゲタは+0.1%だ。

●12月10日に発表される7~9月期第2次速報値では、12月3日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心に改定される。また、7~9月期第2次速報値では、16年度が第2次年次推計値に、17年度が第1次年次推計値に各々改訂される。これに伴い、過去の数字が変動する可能性がある。 

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、マイナス寄与の大きい順に原材料在庫、流通在庫で、製品在庫、仕掛品在庫はプラス寄与となっている模様だ。