2018年5月分全国消費者物価指数について

2018年6月22日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.7%17カ月連続上昇―
―生鮮食品を除く総合・前月比0.0%となり、連続低下は止まる―
―生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比11カ月連続上昇だが、+0.3%に鈍化―
―6月分では、生鮮食品を除く総合・前年同月比が鈍化する可能性―

●5月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として101.0となり、前年同月比は+0.7%と生鮮食品の寄与度差が+0.04%になったことなどから4月分の+0.6%から伸び率が若干高まり20カ月連続の上昇となった。一方、前月比(季節調整値)は+0.1%と3カ月ぶりに上昇に転じた。

●総合指数の前年同月比が上昇した主因である生鮮食品の前年同月比は、4月分の▲1.5%から5月分は▲0.7%と下落率が縮小した。 

●「生鮮食品を除く食料」の5月分の前年同月比は+1.1%で、小数点第1位では4月分と同じになったが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%と僅かな物価下落要因になった。 

●5月分のエネルギー全体の前月比は+1.4%上昇した。前年同月の前月比を上回り、前年同月比は+5.6%と4月分の+5.3%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%と若干の物価上昇要因になった。 

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差はまちまちだった。原油市況動向が遅れて反映される電気代の前年同月比は+3.3%と4月分の+4.4%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%とマイナスになった。都市ガス代の前年同月比は+3.1%と、4月分の+3.4%から上昇率がやや鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。プロパンガスの前年同月比は、前回4月分では+1.4%だったが、今回5月分では+1.3%だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%になった。一方、寄与度差がプラスに働いたのは、灯油とガソリンだ。灯油の前年同月比は、4月分では+13.6%だったが、5月分では+14.3%に上昇した。小幅な上昇なので、前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。ガソリンの前年同月比は、4月分では+7.5%だったが、今回5月分でも+10.5%の上昇率になり、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.06%になった。 

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は5月分では前年同月比▲3.8%と、4月分の前年同月比▲5.0%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。また、家庭用耐久財は前年同月比▲3.5%で、こちらも4月分の前年同月比▲3.8%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。

●5月分の宿泊料は前年同月比▲1.8%で、4月分の前年同月比▲2.3%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。一方、4月分は前年同月比+9.8%の上昇だった外国パック旅行費は、5月分では同+5.6%へと伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。

●5月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+1.1%と4月分の同+1.0%の上昇率から伸び率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は、+0.03%と物価上昇要因になった。生鮮食品を除く財でみると前年同月比+1.2%と4月分の+1.3%から上昇率がやや鈍化したが、4月分から5月分への寄与度差は0.00%だった。また、サービスの前年同月比は+0.2%と4月分の同+0.3%から上昇率がやや鈍化し、4月分から5月分への寄与度差は▲0.01%だった。なお、そのうち一般サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%である。外食の総合指数・前年同月比に対する寄与度差が+0.01%と僅かにプラスに寄与したものの、通信・教養娯楽関連サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差が▲0.01%と相殺する動きになった。 

●また、実質賃金等の計算に使用する5月分の全国消費者物価指数・持家の帰属家賃を除く総合指数・前年同月比は+0.8%と4月分とほぼ同じになった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。なお5月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.2%で4月分同▲0.2%と同じだった。詳細にみると持家の帰属家賃(木造)前年同月比が5月分▲0.2%で4月分の同▲0.3%から下落率がやや縮小したこのこともあってか、持家の帰属家賃の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。 

●5月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は101.0で、前年同月比は、4月分と同じ+0.7%の上昇となった。前年同月比は17年1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、17カ月連続の上昇になった。 

●5月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数・前月比(季節調整値)は0.0%だった。前月比は3カ月ぶりにマイナスを脱した。3月の「月例経済報告」で、消費者物価はそれまでの「横這いとなっている」から「このところ緩やかに上昇している」に変更された。消費者物価の判断に関しては、15年5月に「横這い」から「緩やかに上昇」と変更して以来の上方への変更であった。「月例経済報告」では季節調整値を中心に判断しているようだ。4月の「月例経済報告」でも同じ表現だった。全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数・前月比(季節調整値)は3月分・4月分で前月比が16年1月分・2月分以来の、2カ月連続マイナスになっても5月の「月例経済報告」の消費者物価の基調判断は変わらなかった。今回の5月分の前月比が0.0%と横ばいになったことから、6月の「月例経済報告」での消費者物価の判断は「このところ緩やかに上昇している」で変わらないと思われる。 

●5月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は101.1で、前年同月比は4月分の+0.4%から鈍化し、+0.3%になった。前年同月比は17年7月分で+0.1%と5カ月ぶりの上昇に転じ、8~10月分で+0.2%、11~12月分で+0.3%、18年1月分+0.4%、2~3月分+0.5%、4月分+0.4%に続き、11カ月連続の上昇になった。前月比(季節調整値)は0.0%と3カ月ぶりにマイナスにならなかった。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算では16年10~12月期▲0.3%の後、17年1~3月期は+0.1%とプラスに転じ、4~6月期は+0.4%、7~9月期は+0.7%、10~12月期は+0.7%、18年1~3月期+0.3%と5四半期連続のプラスになった。一方、日銀の需給ギャップは16年10~12月期+0.26%、17年1~3月期+0.67%、4~6月期は+1.05%、7~9月期は+1.14%、10~12月期+1.50%まで5四半期連続でプラスになっている。需給ギャップ(GDPギャップ)の改善基調は18年1~3月期でやや鈍化となったと思われる。 

●内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は18年1月分で83.8%と16年9月の調査開始以来初の80%台になった。2月分では78.4%とやや減少したが3月分で81.0%、4月分で81.1%と80%台に戻ったが5月分で78.4%と再び鈍化した。一方、3月調査の日銀短観の「企業の物価見通し」は全規模・全産業でみると「物価全般見通し」が12月調査と全期間とも同じで下げ止まり感がでている。また、「販売価格の見通し」では12月調査に続き全期間とも上昇率がやや高まり底打ち感が感じられる内容になっていたが、6月調査で変化がみられるか要注視だろう。 

●ESPフォーキャスト調査・6月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、18年4~6月期+0.83%、7~9月期+0.98%、10~12月期は+0.97%、19年1~3月期は+0.98%、4~6月期+0.94%、7~9月期は+0.90%と+0.8から+1.0%程度で推移し、19年10~12月期は消費増税を受けて1.82%に上昇(消費増税の影響除くと+0.89%)となっている。当面+0.9%台を中心とした伸び率が続くという予測だ。なお、18年4月分・5月分がともに+0.7%となったことで、18年4~6月期の実績は平均予測値+0.83%よりも下振れる可能性が大きくなったように思われる。 

●今年6月に納豆、チーズなどの値上げが実施された。しかし、前年6月に、はがき、バター、タイヤ、ビール類の値上げが実施された効果が一巡してしまった影響の方が大きいだろう。6月に入ってからの、日経CPINowT指数の動向は概ね前年比マイナス基調が続いている。スーパーの価格は前年比下落基調だ。再びデフレ的な動きになってしまっているようだ。日経CPINowS指数の前年同月比は5月分+0.86%から6月分は+0.45%に鈍化している。6月分の5月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数・前年同月比は5月分より鈍化しそうだ。来週発表される東京都区部、大阪市の6月分消費者物価指数は要注目だろう。