2018年4月分鉱工業生産指数・速報値について

2018年5月31日

-4月分鉱工業生産指数前月比+0.3%、3カ月連続増加。前年比18カ月連続増加-
-但し、前月比+0.3%は、先行き試算値90%の確率に収まる範囲の下限+0.4%未満-
-1~3月期生産は8四半期ぶり前期比減少、4~6月期・前期比は増加に転じるか-
-4月分景気動向指数一致CI前月差上昇になり、判断は19カ月連続「改善」に-

(鉱工業生産)

●鉱工業生産指数・4月分速報値・前月比は+0.3%と3カ月連続の増加になった。季節調整値の水準は104.4と、17年12月分の105.4以来の水準である。一方、前年同月比は+2.5%で18カ月連続の増加になった。

●但し、鉱工業生産指数の先行き試算値では、4月分の前月比は最頻値で+1.4%、90%の確率に収まる範囲で+0.4%~+2.4%となっていた。前月比+0.3%は、先行き試算値90%の確率に収まる範囲の下限+0.4%未満であり、かなり弱い数字と言える。

●4月分速報値の生産指数をみると、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業、金属製品工業等の8業種が前月比増加、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、化学工業(除.医薬品)等の7業種が前月比減少となった。

●4月分速報値の鉱工業出荷指数は、前月比+1.8%と3カ月連続で増加した。生産指数よりもしっかりした伸び率だった。指数水準は103.3で17年12月分と並び、東日本大震災発生直前の11年2月分の104.4以来の水準になった。前年同月比は+3.8%になり、18カ月連続で増加した。

●4月分速報値の鉱工業在庫指数は、前月比▲0.4%で3カ月ぶりに前月比減少となった。鉱工業在庫指数の前年同月比は+1.9%と7カ月連続の増加となった。

●大きな動きをチェックするために、鉱工業全体で縦軸に在庫の前年比を、横軸に出荷の前年比をとった在庫サイクル図をみると、17年1~3月期では出荷の前年比が+3.6%、在庫が同▲4.0%と、1~3月期まで生産が増加しやすい「意図せざる在庫減局面」に入っていた。17年4~6月期では出荷の前年比が+5.2%、在庫が同▲2.8%になり、在庫サイクル図からみて、「在庫積み増し局面」に入った。17年7~9月期では出荷の前年比が+3.8%、在庫が同▲2.5%だった。17年10~12月期では出荷の前年比が+3.1%、在庫が同+1.9%と「在庫積み増し局面」だった。

●18年1~3月期では出荷の前年比が+1.5%、在庫が同+3.9%と「在庫積み上がり局面」に入っていた。18年4月分では出荷の前年比が+3.8%、在庫が同+1.9%と「在庫積み増し局面」に戻った。18年1~3月期で在庫サイクルが「在庫積み上がり局面」に達し、在庫指数が高止まりしていたことから、4月に一部の業種で強気な生産計画が慎重な方向に修正された可能性がありそうだ。

●鉱工業生産指数の先行き試算値では、5月分の前月比は最頻値で▲1.3%、90%の確率に収まる範囲で▲2.3%~▲0.3%となっている。

●先行きの鉱工業生産指数5月分を先行き試算値最頻値前月比(▲1.3%)で、6月分を前月比(▲0.8%:製造工業予測指数の前月比)で延長した場合は、4~6月期の前期比は+0.7%になる。

●先行きの鉱工業生産指数5月分を前月比(+0.3%:製造工業予測指数の前月比)で、6月分を前月比(▲0.8%:製造工業予測指数の前月比)で延長した場合、4~6月期の前期比は+1.8%になる。こちらは先行き生産がしっかりした増加基調に戻ることを示唆する数字だろう。

●1~3月期の鉱工業生産指数は8四半期ぶり前期比減少に転じ、4~6月期は5月分・6月分の前月比がマイナスという不透明な状況だ。大相撲夏場所(5月場所)の懸賞本数1,942本で前年比は▲9.8%と8場所ぶりの減少になった。大関・豪栄道の休場、小結・遠藤の一時休場の影響が大きいものの、企業収益・広告費の影響を受けるデータであるので、最近の生産動向のもたつきを反映している感が強いと思われる。

●新製品のスマホ需要が期待されたほどでないことや、トランプ大統領が保護主義的な政策を打ち出していることなどへの、企業の不安感の高まりなどが影響していそうだ。

●経済産業省の基調判断は16年11月分では前月までの表現から「緩やかな」がとれて「総じてみれば、生産は持ち直しの動きがみられる」という判断に上方修正された。16年12月分~17年10月分でも「総じてみれば、生産は持ち直しの動きがみられる」という同じ判断になっていた。17年11月分では「生産は持ち直している」に12カ月ぶりに判断が上方修正された。17年12月分でも2カ月連続同じ判断だった。

●しかし、18年1月分では「生産は緩やかに持ち直している」に判断が下方修正された。基調判断の引き下げは、15年8月に前月の「一進一退」から「弱含み」に判断が下方修正されて以来、2年5カ月ぶりのことだった。

●2月分以降、今回4月分まで、「生産は緩やかに持ち直している」という判断が継続されることとなった。

(4~6月期のGDP予測)

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4月分の対1~3月分平均比は+10.6%の増加になった。非耐久消費財出荷指数は同+2.1%の増加だ。GDPの個人消費算出には直接使用されないが、同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の4月分の対1~3月分平均比は+1.2%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1~3月期から4~6月期比へのゲタは▲1.1%だ。乗用車販売台数の4月分の対1~3月分平均比は+9.0%の増加だ。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の1~3月期から4~6月期比へのゲタは▲0.2%だ。まだ5・6月分について予断を持つことなく見る必要はあるが、4月分の好スタートから判断すると、4~6月期第1次速報値では個人消費の前期比はプラスの伸び率になる可能性が大きいだろう。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4月分の対1~3月分平均比は+3.7%の増加になった。資本財(除.輸送機械)は同+4.2%の増加である。また、建設財は同+4.8%の増加になった。供給サイドから推計される4~6月期第1次速報値の実質設備投資・前期比は4月分の好スタートのデータを見る限りプラスの伸び率になる可能性が大きいとみられる。 

●実質輸出入の動向をみると輸出の4月分の対1~3月分平均比は+3.4%の増加になった。輸入は同▲3.8%の減少になっている。モノの4月分の動向だけからみると、4~6月期第1次速報値の外需はプラス寄与になりそうだ。もっとも、輸入は4月下旬と5月上旬の入り繰りがありそうで、割り引いて判断する必要があろう。

●8月13日に発表される4~6月期の実質GDP第1次速報値・前期比はしっかりしたプラスの伸び率になる可能性が出てきた。

(4月分景気動向指数予測)

 ●4月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+0.8程度と2カ月ぶりの上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列で、5月31日時点で数値が判明しているのは、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの8系列で、最終需要財在庫率指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の4系列が前月差プラス寄与に、鉱工業生産財在庫率指数1系列が前月差寄与ゼロに、新規求人数、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、新設住宅着工床面積1系列は前月差プラス寄与になると予測した。

●4月分の一致CIは前月差+1.7程度と3カ月連続の上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列が前月差プラス寄与に、有効求人倍率1系列が前月差マイナス寄与になると予測した。

●景気動向指数を使った基調判断は、16年10月分でそれまでの「足踏みを示している」から「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~18年3月分まで同じ最高の基調判断で推移してきている。4月分の一致CI前月差が上昇とみるので、19カ月連続して「改善を示している」という同じ判断が続くことになろう。4月分の一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は4カ月ぶりの上昇に、7カ月後方移動平均の前月差は2カ月ぶりの上昇になると予測する。

●4月分の先行DIは44.4%程度と3カ月連続して景気判断の分岐点の50%を下回ると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数、新規求人数、日経商品指数の3系列がプラス符号に、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がマイナス符号になることが判明している。先行DIは33.3%以上44.4%以下で50%割れとなることが確定している。残る、新設住宅着工床面積1系列はプラス符号になると予測した。

●4月分の一致DIは78.6%程度と予測する。6月1日に判明する1月分の営業利益がプラス符号になると3カ月ぶりに(そうでない場合は4カ月ぶりに)景気判断の分岐点の50%を上回ることになる。速報値からデータが利用可能な7系列は、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業の5系列がプラス符号に、有効求人倍率1系列が保合いに、商業販売額指数・卸売業1系列がマイナス符号になると予測した。