2018年4月分全国消費者物価指数について

2018年5月18日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.7%に鈍化も16カ月連続上昇―
―生鮮食品を除く総合・前月比▲0.1%、2カ月連続低下は16年1・2月分以来―
―生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比10カ月連続上昇、前月比2カ月連続低下―
―5月の「月例経済報告」消費者物価判断3カ月連続「緩やかな上昇」維持か、下方修正かに注目―

●4月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として100.9となり、前年同月比は+0.6%と3月分の+1.1%から鈍化したものの19カ月連続の上昇となった。一方、前月比(季節調整値)は▲0.4%と2カ月連続の低下になった。これは15年9月分から16年1月分までの5カ月連続以来である。

●総合指数の前年同月比が鈍化した主因は生鮮食品だ。生鮮食品の前年同月比は3月分で+6.3%と、大雪や寒波の影響で2ケタの上昇率だった2月分の+12.4%から上昇率が約半分に鈍化していたが、今回4月分では▲1.5%と下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.33%となった。4月分のじゃがいもの前年同月比は▲25.9%の下落になった。 

●「生鮮食品を除く食料」の4月分の前年同月比は+1.1%で、小数点第1位では3月分と同じになった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。 

●4月分のエネルギー全体の前月比は+0.4%上昇した。しかし、前年同月の前月比を下回ったため、前年同月比は+5.3%と3月分の+5.7%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%と物価低下要因になった。 

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差はマイナスか概ね横這いだった。原油市況動向が遅れて反映される電気代の前年同月比は+4.4%と3月分の+5.2%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%とエネルギー分野の全体の変動を電気代だけで説明できる。都市ガス代の前年同月比は+3.4%と、3月分の+3.7%から上昇率がやや鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。ガソリンの前年同月比は、3月分では+7.5%だったが、今回4月分でも+7.5%と同じ上昇率で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%になった。プロパンガスの前年同月比は、前回3月分では+1.4%だったが、今回4月分でも+1.4%だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%になった。灯油の前年同月比は、3月分では+13.3%だったが、4月分では+13.6%に上昇した。小幅な上昇なので、前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。 

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は4月分では前年同月比▲5.0%と、3月分の前年同月比▲2.5%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。また、家庭用耐久財は前年同月比▲3.8%で、3月分の前年同月比▲3.3%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。

●4月分の宿泊料は前年同月比▲2.3%で、3月分の前年同月比+0.4%の上昇から下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。一方、3月分は前年同月比+5.9%の上昇だった外国パック旅行費は、4月分では同+9.8%へと伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。 

●4月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+1.0%と3月分の同+2.0%の上昇率から鈍化となった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は、▲0.51%と物価下落要因になった。生鮮食品を除く財でみると前年同月比+1.3%と3月分の+1.6%から上昇率がやや鈍化し、3月分から4月分への寄与度差は▲0.17%だった。今年に入って寒波・大雪の影響で生鮮野菜の価格が高騰したことなどで消費者マインドがやや慎重になったことへの対応でこのところスーパーなどの価格も弱含み傾向になっているようだ。スーパーの日々の物価を示す日経CPINOWT指数が最近はゼロ近傍で推移してきていることと整合的な動きと思われる。また、サービスの前年同月比は+0.3%と3月分の同+0.2%から上昇率がやや高まり、3月分から4月分への寄与度差は+0.03%だった。なお、そのうち一般サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%である。外食の総合指数・前年同月比に対する寄与度差が+0.01%と僅かにプラスに寄与したものの、通信・教養娯楽関連サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差が▲0.02%と相殺する動きになった。 

●また、実質賃金等の計算に使用する4月分の全国消費者物価指数・持家の帰属家賃を除く総合指数・前年同月比は+0.8%と3月分の+1.3%から鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.48%だった。なお4月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.2%で3月分同▲0.2%と同じだった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。実質賃金(現金給与総額)は3月分速報値で前年同月比+0.8%と4カ月ぶりのプラスになったが、4月分では物価面から0.5ポイント上昇要因が加わることになるので、実質賃金が2カ月連続プラスになる可能性が大きくなったと思われる。 

●4月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は100.9で、前年同月比は、3月分の+0.9%から鈍化し+0.7%の上昇となった。前年同月比は17年1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、16カ月連続の上昇になった。 

●4月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数・前月比(季節調整値)は▲0.1%だった。前月比のマイナスは2カ月連続である。昨年5月分からの1年間の前月比をみると今年2月分までの10カ月間では、6月分・12月分の2回の横這いを除き8回上昇した。全国消費者物価指数は1月分までのデータが利用できた3月の「月例経済報告」で、消費者物価はそれまでの「横這いとなっている」から「このところ緩やかに上昇している」に変更された。4月の「月例経済報告」でも同じ表現だった。「月例経済報告」では季節調整値を中心に判断しているようだ。消費者物価の判断に関しては、15年5月に「横這い」から「緩やかに上昇」と変更して以来の上方への変更である。「緩やかに上昇」との表現は15年5月から16年5月まで続いた。それ以前には、14年2月から同年9月まで同様の表現が使われた。3月分・4月分で前月比が16年1月分・2月分以来の、2カ月連続マイナスになったことが、3カ月連続「緩やかに上昇」維持か、あるいは下方修正か、次回5月23日の「月例経済報告」の基調判断にどう影響するか要注目だ。

●4月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は101.0で、前年同月比は3月分の+0.5%から鈍化し、+0.4%になった。前年同月比は17年7月分で+0.1%と5カ月ぶりの上昇に転じ、8~10月分で+0.2%、11~12月分で+0.3%、18年1月分+0.4%、2~3月分+0.5%に続き、10カ月連続の上昇になった。一方、前月比(季節調整値)は▲0.1%と2カ月連続のマイナスになった。こちらは16年1月分~3月分の3カ月連続マイナス以来だ。 

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算では17年1~3月期▲0.1%の後、17年4~6月期は+0.2%とプラスに転じ、7~9月期は+0.6%のプラス、10~12月期は+0.7%のプラスになった。一方、日銀の需給ギャップは16年10~12月期+0.26%、17年1~3月期+0.67%、4~6月期は+1.05%、7~9月期は+1.14%、10~12月期+1.50%と5四半期連続でプラスになっている。需給ギャップ(GDPギャップ)の改善基調は消費者物価指数の上昇要因になるものと思われる。 

●内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は18年1月分で83.8%と16年9月の調査開始以来初の80%台になった。2月分では78.4%とやや減少したが3月分で81.0%、4月分で81.1%と80%台に戻った。一方、3月調査の日銀短観の「企業の物価見通し」は全規模・全産業でみると「物価全般見通し」が12月調査と全期間とも同じで下げ止まり感がでている。また、「販売価格の見通し」では12月調査に続き全期間とも上昇率がやや高まり底打ち感が感じられる内容になっている。 

●一進一退の局面はあろうが、息の長い景気拡張が継続する中、需給ギャップや予想物価上昇率は緩やかな上昇が期待される。 

●ESPフォーキャスト調査・5月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、18年4~6月期+0.92%、7~9月期は+1.00%と上昇し、その後10~12月期は+0.94%、19年1~3月期は+0.92%、4~6月期+0.91%、7~9月期は+0.91%と0.9%台前半の上昇率を見込んでいる。19年10~12月期は消費増税を受けて1.84%に上昇(消費増税の影響除くと+0.92%)となっている。当面+0.9%台を中心とした伸び率が続くという予測だ。なお、18年4月分が市場予測平均の+0.8%を下回る+0.7%となったことで、次回調査で18年4~6月期の平均予測値が下振れる可能性が大きくなったように思われる。