ホームマーケット経済指標解説2018年4~6月期実質GDP(第2次速報値)について

2018年4~6月期実質GDP(第2次速報値)について

2018年9月10日

―実質GDP成長率は前期比年率+3.0%、第1次速報値から上方修正―
―名目GDP上方修正552.8兆円、設備投資91.5兆円。各々過去最高更新―
―「平成30年度内閣府年央試算」の30年度(2018年度)見通し+1.5%達成には、残り3四半期、各前期比年率+1.6%程度が必要―

●18年4~6月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.7%、前期比年率+3.0%となった。第1次速報値の前期比+0.5%、前期比年率+1.9%から上方修正された。9月3日発表の法人企業統計を受けて、民間設備投資が第1次速報値の前期比+1.3%から第2次速報値では前期比+3.1%に大幅上方修正されたことが主因だ。 

●4~6月期外需の前期比寄与度は▲0.1%で、第1次速報値と同じで2四半期ぶりの前期比マイナス寄与になった。一方、内需の前期比寄与度は+0.9%でこちらは第1次速報値の同+0.6%から上方修正された。2四半期ぶりの前期比プラス寄与である。 

●4~6月期の名目GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.7%、前期比年率+2.8%と、第1次速報値の前期比+0.4%、前期比年率+1.7%から上方修正になった。2四半期ぶりのプラス成長だ。 

●内訳をみると、第1次速報値から第2次速報値にかけて実質・前期比ベースで変わらなかったのが、個人消費(+0.7%→+0.7%)、民間在庫変動(前期比寄与度:0.0%→0.0%)、政府最終消費(+0.2%→+0.2%)、公的在庫変動(前期比寄与度:0.0%→0.0%)、輸出(+0.2%→+0.2%)だった。

●上方修正された項目は、住宅投資(▲2.7%→▲2.4%)、設備投資(+1.3%→+3.1%)、公共投資(▲0.1%→0.0%)だった。下方修正となったのは輸入(+1.0%→+0.9%)だったが、控除項目なので実質GDPの若干の押し上げ要因になった。 

●4~6月期・第2次速報値では、実質雇用者報酬の前期比が+1.8%と第1次速報値の+1.9%から若干下方修正された。2四半期連続の増加であった。 

●4~6月期の名目設備投資・前期比は第1次速報値の+2.0%から、第2次速報値では同+3.7%へと上方修正された。供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲14.2%で第1次速報値での▲13.5%から下方修正された。法人企業統計等により推計された需要側推計値の名目原系列前期比は▲26.4%であると公表された。第1次速報値での仮置き値の▲30.9%から上方修正された。 

●18年4~6月期の名目設備投資(季節調整値)は第1次速報値の89.7兆円から第2次速報値では91.5兆円に上方修正された。過去最高の97年10~12月期の88.2兆円を超える過去最高水準である。 

●4~6月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%で第1次速報値の0.0%から変わらなかった。民間在庫変動の内訳をみると、前期比寄与度は製品在庫が▲0.1%で第1次速報値の▲0.0%から下方修正された。流通品在庫は前期比寄与度+0.1%で第1次速報値の+0.1%と変わらなかった。また、第1次速報値で原材料在庫の前期比寄与度は+0.1%、仕掛品在庫は同▲0.1%だったが、法人企業統計を受けた第2次速報値でも前期比寄与度は変わらなかった。 

●第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.4%であったが、第2次速報値では+0.3%で下方修正となった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、第1次速報値では全てプラス寄与で、寄与の大きい順に流通品在庫、製品在庫、原材料在庫、仕掛品在庫となっていたが、第2次速報値では3系列がプラス寄与で、大きさの順は、流通品在庫、製品在庫、原材料在庫で変わらなかった。流通品在庫が上方修正になった模様だ。法人企業統計の発表を受けて第2次速報値で、仮置き値でプラス寄与だった仕掛品在庫が下方修正されマイナス寄与になったとみられる。全体の下方修正は仕掛品在庫によるものだ。 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、7~9月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲571億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+1,244億円である。

●「平成30年度内閣府年央試算」の30年度(2018年度)見通し+1.5%達成には、残り3四半期、各前期比年率+1.6%程度(前期比+0.39%)が必要だ。なお、2017年度から18年度へのゲタは+0.1%である。残り3四半期の各前期比が0.0%なら、18年度は+0.9%になる。また、各四半期の前期比が+0.3%(前期比年率+1.2%)なら、18年度は+1.3%になる。

●なお、7月分のデータなどから11月14日に発表される7~9月期の実質GDP第1次速報値を考えると、米国の鉄鋼輸入に対する追加関税の影響や、豪雨・台風・地震などの自然災害の影響などのマイナス要因の影響が大きく、一時的にもたつく内容になる可能性があろう。