ホームマーケット経済指標解説2018年4~6月期実質GDP(第1次速報値)について

2018年4~6月期実質GDP(第1次速報値)について

2018年8月10日

―実質GDP成長率は前期比年率+1.9%、2四半期ぶりのプラス成長―
―個人消費:前期比+0.7%、設備投資:同+1.3%。民需2大項目堅調―
―18年度内閣府年央試算+1.5%は残り各前期比年率+2.4%必要。下振れか―

●18年4~6月期実質GDP成長率・第1次速報値は前期比+0.5%、前期比年率+1.9%となった。1~3月期に寒波・大雪の影響などでマイナスに落ち込んだ実質個人消費が持ち直し、実質設備投資も堅調だったことで2四半期ぶりにプラス成長になった。 

●4~6月期の外需の前期比寄与度は▲0.1%で、2四半期ぶりのマイナス寄与になった。一方、内需は同+0.6%と2四半期ぶりのプラス寄与になった。民間需要の前期比寄与度は+0.7%で、個人消費の前期比寄与度は+0.4%、設備投資は同+0.2%とどちらもプラスになった。在庫投資は同0.0%だった。公的需要の前期比寄与度は0.0%である。 

●4~6月期の名目GDP成長率は前期比+0.4%、前期比年率+1.7%と、2四半期ぶりにプラス成長になった。

●4~6月期の実質個人消費・前期比は+0.7%と2四半期ぶりの増加に戻った。実質家計最終消費支出の前期比も+0.7%と高めの伸び率である。8月9日に公表された4~6月期の消費総合指数の前期比は+0.1%、1~3月期が同▲0.1%だった。実質家計最終消費支出の1~3月期前期比が▲0.2%に下方修正されたことなどからみて、+0.7%と高めの伸び率のなった要因のひとつに季節調整替えの影響があるとみられる。 

●4~6月期の実質個人消費の内訳をみると、耐久財の前期比は+2.6%と2四半期ぶりの増加になった。半耐久財の前期比は+0.1%と2四半期ぶりの増加に、非耐久財の前期比は▲0.1%と4四半期連続の減少になったが、サービスの前期比は+0.8%と3四半期連続の増加になった。 

●4~6月期では、実質雇用者報酬の前期比が+1.9%と2四半期連続の増加になった。 

●4~6月期の実質設備投資・前期比は+1.3%と高い伸び率で、7四半期連続の増加になった。名目の前期比(季節調整済み)は+2.0%とこちらも7四半期連続の増加になった。

●供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲13.5%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲30.9%であると公表された。法人企業統計が出たときに比較することで、4~6月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となる数字だ。 

●4~6月期実質住宅投資は前期比▲2.7%と、4四半期連続の減少になった。 

●4~6月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%だった。民間在庫投資の内訳をみると、流通在庫は前期比寄与度+0.1%、製品在庫が前期比寄与度▲0.0%、また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は+0.1%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.1%だった。同じ+0.1%でも原材料在庫の寄与度の方が大きい。 

●4~6月期実質政府最終消費支出は前期比+0.2%.微増だった1~3月期の同+0.0%を含んで6四半期連続の増加。一方、実質公共投資は前期比▲0.1%で4四半期連続の減少になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%であった。 

●4~6月期外需(純輸出)の前期比寄与度は▲0.1%と2四半期ぶりのマイナス寄与になった。財はプラス寄与だが、サービスがそれを上回るマイナスの寄与になった。実質輸出は前期比+0.2%と8四半期連続の増加になった。財は前期比+1.1%と4四半期連続の増加になったが、サービスは前期比▲3.3%と2四半期連続の減少になった。実質輸入の前期比は+1.0%と3四半期連続の増加になった。財に関しては前期比+0.7%と輸出の伸び率を下回っているが、3四半期連続の増加、サービスは前期比+1.8%とこちらも3四半期連続の増加になった。

●実質GDPに海外からの実質純所得と交易利得を加えた実質GNI(国民総所得)は4~6月期・前期比+0.7%と3四半期ぶりの増加になった。交易利得の前期比寄与度は▲0.0%であった。 

●4~6月期のGDPデフレーターの前年同期比は+0.1%と1~3月期の+0.5%から伸び率は鈍化したものの、4四半期連続のプラスの伸び率になった。控除項目の輸入のデフレーター・前年同期比が+4.8%と1~3月期の+2.7%から伸び率を高めた。国内需要デフレーターの前年同期比は+0.5%と5四半期連続のプラスの伸び率になった。一方、4~6月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは▲0.0%で、2四半期連続してマイナスの伸び率になった。国内需要デフレーターの前期比は▲0.0%で5四半期ぶりにマイナスの伸び率になった。 

●内閣府年央試算の18年度実質GDP成長率見通し+1.5%を達成するには残り3四半期の前期比年率が各々+2.4%程度と高めの伸び率になることが必要でハードルが高い。ESPフォーキャスト調査(8月調査)では18年度実質GDP成長率見通しの平均値は+1.05%、高位8人の平均でも、+1.26%であり、実績は内閣府年央試しの+1.5%を下回りそうだ。ちなみに、17年度から18年度へのゲタは+0.1%だ。

●9月10日に発表される4~6月期第2次速報値では、9月3日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心に改定される。 

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.4%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、全てプラス寄与で、寄与の大きい順に流通在庫、製品在庫、原材料在庫、仕掛品在庫となっている模様だ。