ホームマーケット経済指標解説2018年3月分景気動向指数(速報値)

2018年3月分景気動向指数(速報値)

2018年5月9日

-先行CI前月差▲0.9と2カ月ぶり下降、一致CI前月差+0.4と2カ月連続上昇-
-先行DI・16.7%、一致DI・7.1%と、どちらも2カ月連続しての50%割れに-
-基調判断18カ月連続「改善」、但し一致CI3カ月移動平均3カ月連続下降-

●3月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差▲0.9と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、新規求人数、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差プラス寄与に、マネーストック1系列が前月差寄与ゼロに、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、東証株価指数の5系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+0.4と2カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数の3系列が前月差プラス寄与に、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の4系列が前月差マイナス寄与になった。 

●3月分の一致CIの指数水準は116.4になった。これは17年12月分の119.0以来の水準である。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は▲0.87ポイント低下し、3カ月連続の下降になった。2カ月合計のマイナス幅は▲1.33と振幅目安の▲1.02(1標準偏差分)を上回るマイナス幅になった。一致CIの前月差が上昇なので「足踏み」にはならなかった。7カ月後方移動平均は▲0.12で、2カ月ぶりの下降になった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~18年2月分まで同じ基調判断だった。今回18年3月分も「改善を示している」で、18カ月連続して最高の判断が続いている。 

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」は18年3月分で64カ月となり、戦後最長の「いざなみ景気」の73カ月に次ぐ、戦後2番目の長さの景気拡張局面を続けている。

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が振幅目安の1標準偏差分(▲1.02)以上」であることが必要だ。

 ●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.86)以上」であることが必要だ。 

●4月分で「足踏み」への下方修正になるには、まず4月分一致CIが前月差下降となることが条件だが、4月分の製造工業生産予測指数が前月比+3.1%、経産省の試算値・最頻値が+1.4%の増加なので、その可能性は小さいだろう。過去の数字が変わらないとした場合、4月分一致CIの前月差が▲0.1~▲0.7の下降でも、3カ月後方移動平均の前月差の3カ月累積が振幅目安の1標準偏差分(▲1.02)に届かない。「足踏み」への下方修正には▲0.8より大きい下落が必要になるが、その可能性はまずないとみられる。

●今回3月分速報値では、先行DIは16.7%と景気判断の分岐点の50%を2カ月連続下回った。16.7%は消費税引き上げ直後の14年4月分・5月分の9.1%以来の低水準である。また、一致DIは7.1%で、こちらも景気判断の分岐点の50%を2カ月連続下回った。東日本大震災後の11年5月分の0.0%以来の低水準である。昨年11月分・12月分の水準が高かった反動による、一時的な減少とみられるが、弱い数字となった。 

●3月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は5月17日である。また在庫率関連データなどが5月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●3月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値段階の前月差寄与度は▲0.15程度、DIの符号はマイナスである。改定値では確報値の数字が使われるが確報値の発表日は5月23日であるのでどう修正されるか注目される。また、生産指数関連データなどが5月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●4月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数、東証株価指数の2系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。 

●また、4月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列の中で、日経商品指数1系列がプラス符号に、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がマイナス符号になることが判明している。4月分速報値段階の先行DIは11.1%以上66.7%以下が確定している。