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2018年2月分全国消費者物価指数について

2018年3月23日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+1.0%、14カ月連続上昇―
―生鮮食品を除く総合・前月比+0.1%、昨年5月分から2回の横這い除き8回上昇―
―4月の「月例経済報告」で2カ月連続「緩やかに上昇」の文言が使われると予測―
―生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比は+0.5%、8カ月連続上昇―

●2月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として101.3となり、前年同月比は+1.5%と16カ月連続の上昇。前月比(季節調整値)は+0.1%と4カ月連続の上昇になった。

●生鮮食品の前年同月比は+12.4%と、大雪や寒波の影響で1月分の+12.5%とほぼ同じ高い上昇率だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%となった。キャベツの前年同月比は+82.8%の上昇、みかんの前年同月比は+19.2%の上昇だった。 

●「生鮮食品を除く食料」の2月分の前年同月比は+1.2%で、1月分の前年同月比+1.3%から上昇率がやや鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。 

●2月分のエネルギー全体の前月比は+0.9%と上昇した.前年同月比は+7.0%と1月分の+6.7%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。 

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差はまちまちだった。ガソリンの前年同月比は、前回1月分では+8.8%だったが、今回2月分では+10.9%に上昇率が高まり、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.04%になった。灯油の前年同月比は、1月分では+9.6%だったが、2月分では+12.8%に上昇した。前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。プロパンガスの前年同月比は、前回1月分では+1.2%だったが、今回2月分では+1.4%に上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。一方、原油市況動向が遅れて反映される都市ガス代の前年同月比は+4.5%と、1月分の+5.6%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。電気代の前年同月比は+5.8%と1月分の+6.4%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。 

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は2月分では前年同月比▲1.5%と、1月分の前年同月比▲1.1%から下落率が拡大したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。また、家庭用耐久財は前年同月比▲3.8%で、1月分の前年同月比▲2.0%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。 

●2月分の宿泊料は前年同月比+5.2%で、1月分の前年同月比+1.0%から伸び率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.05%だった。1月分は前年同月比+1.9%の上昇だった外国パック旅行費は、2月分では同+8.8%へと上昇率を高めた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。 

●2月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+2.7%と1月分の同+2.7%と同じ上昇率になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は、+0.01%と僅かに物価上昇要因になった。生鮮食品を除く財でみると前年同月比+1.8%と1月分の+1.7%から上昇率がやや上昇し、1月分から2月分への寄与度差は+0.03%だった。一方、サービスの前年同月比は+0.3%と2月分の同+0.1%から上昇率が高まり、1月分から2月分への寄与度差は+0.11%だった。なお、そのうち一般サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.11%で、外食の総合指数・前年同月比に対する寄与度差が+0.01%と僅かにプラスに寄与したが、通信・教養娯楽関連サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差が+0.11%であることが主因である。

●通信料(携帯電話)の前年同月比は▲3.5%と1月分の同▲4.5%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は、+0.02%と物価上昇要因になった。また、携帯電話機の前年同月比は+8.3%と1月分の同+2.0%から上昇率を高めた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は、+0.04%と物価上昇要因になった。 

●また、実質賃金等の計算に使用する2月分の全国消費者物価指数・総合指数・持家の帰属家賃を除く総合・前年同月比は+1.8%と1月分の+1.7%から上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.12%だった。なお2月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.2%で1月分同▲0.2%と同じだった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。実質賃金は2月分でも前年同月比マイナスになりそうだ。 

●2月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は100.6で、前年同月比は+1.0%の上昇となった。前年同月比は17年1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、14カ月連続の上昇になった。前年同月比の+1.0%は消費税率引き上げの影響(+2.0%)を除くと、14年9月の+1.0%(消費税率引き上げの影響含む+3.0%)以来の上昇率である。 

●2月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数・前月比(季節調整値)は+0.1%だった。昨年5月分からみると、6月分・12月分の2回の横這いを除き8回上昇した。全国消費者物価指数は1月分までのデータが利用できた3月の「月例経済報告」で、消費者物価はそれまでの「横這いとなっている」から「このところ緩やかに上昇している」に変更された。「月例経済報告」では季節調整値を中心に判断しているようだ。消費者物価の判断に関しては、15年5月に「横這い」から「緩やかに上昇」と変更して以来の上方への変更である。「緩やかに上昇」との表現は15年5月から16年5月まで続いた。それ以前には、14年2月から同年9月まで同様の表現が使われた。次回4月の「月例経済報告」でも「緩やかに上昇」が使われると予測する。 

●2月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は100.8で、前年同月比は1月分の+0.4%から0.1ポイント上昇し+0.5%になった。前月比(季節調整値)は+0.1%だった。前年同月比は13年10月分以来17年2月分まで41カ月連続で上昇が続いていたが、そこで途絶えた。17年3月分では▲0.1%と13年7月分の▲0.1%以来44カ月ぶりの下落だったが、4月分・5月分・6月分はともに0.0%で、7月分で+0.1%と5カ月ぶりの上昇に転じ、8~10月分で+0.2%、11~12月分で+0.3%、18年1月分+0.4%に続き、8カ月連続の増加になった。前年同月比の+0.5%は、2016年7月の+0.5%以来の上昇率である。 

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算では17年1~3月期▲0.1%の後、17年4~6月期は+0.2%とプラスに転じ、7~9月期は+0.6%のプラス、10~12月期は+0.7%のプラスになった。一方、日銀の需給ギャップは16年10~12月期+0.36%、17年1~3月期+0.69%、17年4~6月期は+1.18%、7~9月期は+1.35%と4四半期連続でプラスになっている。需給ギャップ(GDPギャップ)の改善基調は消費者物価指数の上昇要因になるものと思われる。

●内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は18年1月分で83.8%と16年9月の調査開始以来初の80%台になった。2月分では78.4%とやや減少したが本日公表の3月分で81.0%と80%台に戻った。一方、12月調査の日銀短観の「企業の物価見通し」は全規模・全産業でみると下げ止まり感、底打ち感が感じられたが、4月3日に発表される3月調査の結果が注目される。 

●一進一退の局面はあろうが、息の長い景気拡張が継続する中、需給ギャップや予想物価上昇率は緩やかな上昇が期待される。 

●ESPフォーキャスト調査・3月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、18年1~3月期+0.88%になった後、4~6月期+0.91%、7~9月期は+0.98%、10~12月期は+0.93%、19年1~3月期は+0.93%と緩やかな上昇を見込んでいる。18年1~3月期の実績は多少上振れしそうだが、当面+0.9%から+1.0%程度の伸び率が続きそうだ。