2018年1月分鉱工業生産指数・速報値について

2018年2月28日

-1月分鉱工業生産指数前月比▲6.6%、4カ月ぶり減少。前年比は増加継続-
-1月分基調判断は「生産は緩やかに持ち直している」で、前月より一段階引下げ-
-1~3月期の生産は8四半期ぶりの前期比マイナスの可能性も-
-1月分景気動向指数一致CI前期差下降でも判断は16カ月連続「改善」に-

(鉱工業生産)

●鉱工業生産指数・1月分速報値・前月比は▲6.6%と4カ月ぶりの減少になった。12月分の生産指数が前月比+2.9%増加した反動的側面も大きいとみられる。季節調整値の水準は99.5と、17年1月分の98.5以来の水準に戻った。一方、前年同月比は+2.7%で15カ月連続の増加になった。

●1月分速報値の生産指数をみると、15業種全てが前月比減少した。減少寄与が特に大きいのは、輸送機械工業、そして、はん用・生産用・業務用機械工業だった。特に、輸送機械工業の寄与が大きく、全体低下寄与の半分近くになっている。輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業の2業種は12月分でそれぞれ前月比が+6.4%、+5.0%の増加だったが、1月分ではその反動が出て、それぞれ前月比が▲14.1%、▲7.8%の減少になった。

●鉱工業生産指数・1月分速報値・前月比の大幅減は、事前に予想されていたことだ。12月下旬に経済産業省がHPに公表した文章によれば「来年1月の生産計画は、この段階で今年10月実績のレベルのものとなっており、12月実績段階で、補正値程度に伸び幅が縮小したとしても、1月の生産計画に大きな上方修正がない限り、来年1月の生産は前月比マイナスになるものと思われます。ここは、12月の輸送機械工業の生産計画が、通常より高くなっていることの反動分などの影響があるようで、この1月の生産計画も、今年1月の実績を上回っています。」ということだった。

●1月分速報値の鉱工業出荷指数は、前月比▲5.6%と3カ月ぶりに減少したが、前年同月比は+2.1%。前年同月比は、生産指数同様に、16年11月分から15カ月連続して増加が続いている。

●1月分速報値の鉱工業在庫指数は、前月比▲0.6%で3カ月連続前月比減少となった。出荷・生産の減少が、需要が予想外に減少し在庫が積み上がる形のものでないことが確認できる数字だ。鉱工業在庫指数の前年同月比は+1.4%と12月分の+2.1%から鈍化した。

●大きな動きをチェックするために、鉱工業全体で縦軸に在庫の前年比を、横軸に出荷の前年比をとった在庫サイクル図をみると、17年1~3月期では出荷の前年比が+3.7%、在庫が同▲4.0%と、1~3月期まで生産が増加しやすい「意図せざる在庫減局面」に入っていた。17年4~6月期では出荷の前年比が+5.2%、在庫が同▲2.9%になり、在庫サイクル図からみて、「在庫積み増し局面」に入った。17年7~9月期では出荷の前年比が+3.7%、在庫が同▲2.4%だった。17年10~12月期では出荷の前年比が+3.0%、在庫が同+2.1%、18年1月分では出荷の前年比が+2.1%、在庫が同+1.4%で、引き続き「在庫積み増し局面」にある状況だ。

●経済産業省が公表している鉱工業生産指数の先行き試算値で、1月分の前月比は最頻値で▲4.3%、90%の確率に収まる範囲で▲5.2%~▲3.3%となっていた。1月分前月比実績の▲6.6%は試算値の予想範囲の下限をさらに下回った。製造工業生産予測指数の算出時点の1月10日ではわからなかった大雪などの悪影響が出た可能性もあろう。

●製造工業生産予測指数2月分・前月比は+9.0%で、3月分・前月比は▲2.7%となっている。3月分については、経済産業省はHPで「3月の生産計画については、補正前の2月計画から前月比マイナス2.7%低下するという結果でした。2月実績が低下することによって、この3月の生産計画の低下幅も緩和されるはずですが、他方、計画の下方修正もあるかと思われますので、やはり、3月の生産計画の勢いも、あまり良くない結果と解釈すべきかと思います」と判断している。

●鉱工業生産指数の先行き試算値では、2月分の前月比は最頻値で+4.7%、90%の確率に収まる範囲で+3.6%~+5.7%となっている。

●先行きの鉱工業生産指数2月分を先行き試算値最頻値前月比(+4.7%)、3月分は前月比(▲2.7%:製造工業予測指数の前月比)で延長した場合延長した場合、は1~3月期の前期比は▲2.5%と8四半期ぶりの減少になる見込みだ。

●先行きの鉱工業生産指数2月分・3月分を製造工業予測指数前月比(+9.0%、▲2.7%)で延長した場合は1~3月期の前期比は+0.2%とかろうじて増加になるが、87年7~9月期から89年4~6月期までの8四半期連続以来28年9カ月ぶりの連続記録達成はハードルが高そうだ。

●経済産業省の基調判断は16年8月分では「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」という判断に2カ月ぶりに上方修正された。15年5月分から1回を除き続いてきた「一進一退」の表現がなくなった。16年9月分、10月分でも「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」という判断は維持された。16年11月分では「緩やかな」がとれて「総じてみれば、生産は持ち直しの動きがみられる」という判断に上方修正された。16年12月分~17年10月分でも「総じてみれば、生産は持ち直しの動きがみられる」という同じ判断になっていた。17年11月分では「生産は持ち直している」に12カ月ぶりに判断が上方修正された。前回17年12月分でも生産は持ち直している」2カ月連続同じ判断だった。

●しかし、今回18年1月分では「生産は緩やかに持ち直している」に判断が下方修正された。基調判断の引き下げは、15年8月に前月の「一進一退」から「弱含み」に判断が下方修正されて以来、2年5カ月ぶりのことだ。

(1月分景気動向指数予測)

●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲0.3程度になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列で、2月28日午前9時時点で数値が判明しているのは、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列で、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、マネーストックの3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、新規求人数、新設住宅着工床面積の2系列は、新設住宅着工床面積が前月差プラス寄与に、新規求人数が前月差マイナス寄与になると判断した。

●1月分の一致CIは前月差▲3.4程度の下降になると予測する。速報値からデータが利用可能な7系列中、2月28日午前9時時点で数値が判明しているのは、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列で、商業販売額指数・卸売業1系列が前月差寄与ゼロ、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業の5系列が前月差マイナス寄与である。残る有効求人倍率は前月差マイナス寄与になると予測した。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~17年12月分まで同じ最高の基調判断だった。予測通りだと、1月分の一致CIの前月差は大幅下降だが、3カ月後方移動平均の前月差は+0.13程度のプラスになるとみられ、16カ月連続して「改善を示している」という同じ判断が続くことになろう。

●1月分の先行DIは77.8%程度と景気判断の分岐点の50%を上回ると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列中、2月28日午前9時時点で数値が判明しているのは最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列で、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、マネーストックの2系列がマイナス符号になることが判明している。先行DIは55.6%以上77.8%以下と50%を上回ることが確定している。残る2系列の新規求人数、新設住宅着工床面積はプラス符号になると予測した。

●1月分の一致DIは57.1%程度と景気判断の分岐点の50%を6カ月連続上回ると予測する。速報値からデータが利用可能な7系列中、2月28日午前9時時点で数値が判明しているのは、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列で、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の3系列がプラス符号に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数の3系列がマイナス符号になることが判明している。一致DIは42.9%以上57.1%以下となることが確定している。有効求人倍率はプラス符号になると予測する。