2018年1月分景気動向指数(速報値)

2018年3月7日

-先行CI前月差▲1.8と2カ月連続下降、一致CI前月差▲5.7と4カ月ぶり下降-
-一致CI指数水準114.0は、17年1月の113.3以来1年ぶりの低い水準-
-基調判断16カ月連続「改善」継続だが、3月分で「足踏み」になる可能性も-

●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差▲1.8と2カ月連続の下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、マネーストックの5系列が前月差マイナス寄与になった。 

●一致CIは前月差▲5.7と4カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列全てが前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差▲5.7と大幅下降だが、これは85年からある統計史上、東日本大震災発生時の11年3月の同▲7.0以来の下降幅で、リーマンショック時の08年11月▲6.0、08年12月▲5.9、09年1月▲7.1、09年2月▲6.0に次ぐ、史上6番目の下降幅である。輸送機械工業などの予想された生産減とは言え、消費税率引き上げの駆け込み需要の反動が出た14年4月▲3.6よりも大きく下降した。実感に合わないものの、1月分の経済指標の単月の動きは前月に比べ大きく悪化してしまった。 

●17年に入ってからの鉱工業生産指数・季節調整値の前月比は奇数月が減少、偶数月が増加になることが多かった。現時点では、いつ実施するか未定のようだが、今年は2015年基準への改定が実施される。季節調整替えを含む年間補正も同時に行われる。東日本大震災が起こった11年以前の生産パターンの影響は昨年より小さくなるものと思われる。生産関連データの15年基準への移行と季節調整替えの景気動向指数への影響をしっかり見極める必要があろう。 

●1月分の一致CIの指数水準は114.0になった。これは17年1月分の113.3以来、1年ぶりの低い水準だ。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は▲0.80ポイント低下し、4カ月ぶりの下降になった。7カ月後方移動平均は▲0.36ポイント低下し、19カ月ぶりの下降になった。但し、マイナス幅は、ともに振幅目安の1標準偏差分には届かなかった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~17年12月分まで同じ基調判断だった。今回18年1月分も「改善を示している」で、16カ月連続して最高の判断が続いている。 

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が振幅目安の1標準偏差分(▲1.04)以上」であることが必要だ。 

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.87)以上」であることが必要だ。 

●一致CI2月分は反動で前月差上昇になるので、「足踏み」への下方修正は回避されよう。 

●3月分で「足踏み」への下方修正になるには、まず一致CIの3月分が前月差下降となることが条件だが、3月分の製造工業生産予測指数が前月比▲2.7%の減少なので、その可能性は大きい。さらに3カ月後方移動平均の前月差・3カ月の累積が▲1.04以上になる必要がある。

●例えば過去の数字が変わらないとして一致CI2月分が前月差+5.0、同3月分が前月差▲1.5の前月差下降になると、3カ月後方移動平均の前月差・3カ月の累積が▲1.10と条件を満たす。3月分で基調判断が「足踏み」に下方修正される可能性は、足元の経済指標の動きから見てそれなりにあると思われる。但し、7カ月後方移動平均の前月差は2月分・3月分とも上昇なので「下方への局面変化」に悪化する可能性は乏しいとみられる。予断を持つことなく採用系列の発表を待ちたい。 

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」は18年1月分で62カ月となり、戦後最長の「いざなみ景気」の73カ月に次ぐ、戦後2番目の長さの景気拡張局面を続けている。 

●今回1月分速報値では、先行DIは55.6%と景気判断の分岐点の50%を2カ月ぶりに上回った。また、一致DIは57.1%で、こちらは景気判断の分岐点の50%を6カ月連続で上回り、DIからも景気拡張局面を示唆する状況になっている。 

●1月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は3月14日である。また在庫率関連データなどが3月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●1月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値の発表日は3月9日である。通常、一致DIの計算では所定外労働時間指数は確報値段階のデータで行われるが、1月分の所定外労働時間指数の確報値発表日は4月6日であるので、今回は速報値が採用されよう。また、生産指数関連データなどの3月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●2月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数1系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。 

●また、2月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列の中で、日経商品指数1系列がプラス符号に、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がマイナス符号になることが判明している。2月分速報値段階の先行DIは11.1%以上66.7%以下が確定している。