ホームマーケット経済指標解説2018年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

2018年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

2018年6月8日

―実質GDP成長率は前期比年率▲0.6%で第1次速報値と同じ―
―名目設備投資・季節調整値87.7兆円に上方修正、97年10~12月期以来の水準―
―2017年度実質GDP前年度比は+1.5%→+1.6%に上方修正―
―政府「平成30年度の経済見通し」の30年度(2018年度)見通し+1.8%達成には、各四半期前期比年率+2.6%程度が必要―

●18年1~3月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比▲0.2%、前期比年率▲0.6%となった。6月1日法人企業統計の発表後の筆者の予想通り、民間設備投資は上方修正、公共投資は下方修正、民間在庫変動のうち仕掛品在庫は上方修正となり、実質GDP成長率は第1次速報値と同じ伸び率になった。マイナス成長は9四半期ぶりだ。冬場の寒波・大雪で個人消費が鈍るなど、季節的要因が大きく影響した。 

●1~3月期外需の前期比寄与度は+0.1%で、第1次速報値と同じ2四半期ぶりのプラス寄与になった。一方、内需は同▲0.2%とこちらも第1次速報値と同じ2四半期ぶりのマイナス寄与になった。 

●1~3月期の名目GDP成長率は前期比▲0.4%、前期比年率▲1.6%と、第1次速報値の前期比▲0.4%、前期比年率▲1.5%から僅かに下方修正になった。6四半期ぶりのマイナス成長だ。 

●17年度のGDP成長率は、実質が+1.5%から+1.6%へ、名目が+1.6%から+1.7%へとそれぞれ上方修正された。

●内訳をみると、第1次速報値から第2次速報値にかけて実質・前期比ベースで変わらなかったのが、公的在庫変動(前期比寄与度:▲0.0%)、輸出(+0.6%)、輸入(+0.3%)だった。住宅投資(▲2.1%→▲1.8%)、設備投資(▲0.1%→+0.3%)、政府最終消費(0.0%→+0.1%)の各項目が上方修正となった。また、個人消費(▲0.0%→▲0.1%)、民間在庫変動(前期比寄与度:▲0.1%→▲0.2%)公共投資(0.0%→▲0.1%)の各項目が下方修正となった。 

●1~3月期では、実質雇用者報酬の前期比が+0.7%と2四半期ぶりの増加になった。この前期比は第1次速報値、第2次速報値とも同じであった。 

●1~3月期の名目設備投資・前期比は第1次速報値の▲0.0%から、第2次速報値では同+0.4%へと上方修正された。供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+11.8%で第1次速報値での+11.4%から上方修正された。法人企業統計等により推計された需要側推計値の名目原系列前期比は+26.9%であると公表された。第1次速報値での仮置き値の+26.4%より強かったことがわかる。 

●18年1~3月期の名目設備投資(季節調整値)は第1次速報値の87.3兆円から第2次速報値では87.7兆円に上方修正された。94年以降で最高の97年10~12月期の88.2兆円に次ぐ水準に戻った。 

●1~3月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.2%と第1次速報値の▲0.1%から下方修正された。民間在庫変動の内訳をみると、前期比寄与度は製品在庫が▲0.9%で第1次速報値の+0.0%から符号が変わった。流通品在庫は前期比寄与度+0.1%で第1次速報値と変わらなかった。一方、法人企業統計を受けて仮置き値で▲0.1%だった原材料在庫の前期比寄与度は▲0.2%に下方修正されたが、同▲0.1%だった仕掛品在庫は同0.0%に上方修正された。

●第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.3%であったが、第2次速報値でも+0.3%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、第1次速報値ではプラス寄与は2系列で大きい順に原材料在庫、製品在庫。マイナス寄与は大きい順に流通品在庫、仕掛品在庫であったが、第2次速報値では3系列がプラス寄与で、大きさの順は、仕掛品在庫、原材料在庫製品在庫となり、流通在庫のみマイナス寄与になった模様だ。法人企業統計の発表を受けて第2次速報値で、仮置き値でマイナス寄与だった仕掛品在庫が上方修正されたとみられる。 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は6,300億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲5,460億円である。

●政府の「平成30年度の経済見通し」の30年度(2018年度)見通し+1.8%達成には、各四半期前期比+0.63%(前期比年率+2.6%)が必要だ。なお、2017年度から18年度へのゲタは+0.2%である。つまり、各四半期前期比0.0%(前期比年率0.0%)なら、18年度は+0.2%になる。また、各四半期前期比+0.5%(前期比年率+2.0%)なら、18年度は+1.4%になる。