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2017年11月分機械受注

2018年1月17日

―11月分の機械受注(除船電民需)前月比は+5.7%と2カ月連続の増加―
―内閣府の基調判断は4カ月連続で「持ち直しの動きがみられる」―
―機械受注(除船電民需)12月前月比0.0%で10~12月期の実績は+4.1%―
―10~12月期は過去7年中、6回実績が見通しを上回るが、今年もこのパターン踏襲か―

●11月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+5.7%と事前の反動減予想を覆し、2カ月連続の増加になった。内訳をみると、製造業の前月比は▲0.2%と2カ月ぶりの減少となったが、10月分が+7.4%の大幅な伸び率だった反動の影響が大きそうだ。その証拠に仮に12月分の前月比をゼロにすると、10~12月期の製造業は前期比+8.8%と2カ月ぶりの増加となる。非製造業(除船電民需)の前月比は+9.8%と2カ月連続の増加となった。機械受注(除船電民需)の前年同月比は+4.1%と2カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分・5月分・6月分・7月分と0件で、企業行動の慎重さが窺えるような状況であったが、8月分は「その他非製造業」の火水力原動機1件、9月分は「非鉄金属」の原子力原動機1件、前回10月分では「化学工業」の化学機械1件があった。 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、今回11月分は「卸売業・小売業」の運搬機械1件があった。「卸売業・小売業」の前月比は2カ月連続の増加で、10月分の+10.0%の後、11月分は+59.6%の大幅な伸び率になった。 

●11月分の製造業の前月比は▲0.2%と2カ月ぶりの減少。製造業17業種中、7業種で増加した。減少は10業種だった。10月分で2ケタの伸び率だった9業種が全て反動で減少に転じた。製造業の10~12月期の見通し・前期比は▲9.4%の大幅減少となっているが、10~11月分平均値の7~9月期平均比は+8.8%で、10~12月期の前期比は7~9月期と同様に減少の見通しを覆し、実績は増加に転じそうだ。製造業の機械受注の基調はしっかりした状況にあると言えよう。 

●11月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+9.8%と大幅に増加した。2カ月連続の増加である。前年同月比でみると、11月分は▲3.9%で8カ月連続の減少と弱めの基調が続いている。但し10月分の▲13.9%からは減少率がかなり縮小した。一方、原子力原動機3件、火水力原動機1件の合計4件の大型案件があった電力業(10月分の大型案件は1件)は前月比+68.0%と4カ月連続の増加で、非製造業全体では前月比+17.5%と2カ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。 

●大型案件は、前回10月分では「化学工業」1件(化学機械)、非製造業の電力業1件(化学機械)、外需1件(航空機)の合計3件にとどまった。今回11月分では合計10件あった。内訳は「卸売業・小売業」1件、非製造業の電力業4件、「運輸業・郵便業」の船舶1件、官公需1件(防衛省・航空機)、外需3件(火水力原動機、電子計算機等、航空機)である。 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は11月分で前月比+4.7%%と5カ月ぶりの増加になった。11月分の前年同月比は+5.0%と2カ月連続の増加になった。 

●内閣府の基調判断は、17年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正となり、6月分・7月分と同じ判断となった。8月分で「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に4カ月ぶりに判断が上方修正された。「足踏み」という言葉が入らない表現は16年8月分以来、1年ぶりだった。9月分・10月分に続き、今回11月分でも基調判断は「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。

●内閣府の基調判断で、今回の4カ月連続のように「持ち直しの動き」が連続して使われているのは、16年7月分・8月分の2カ月連続以来だ。なお、最近で実質的に「持ち直しの動き」が連続して長く使われたのは15年10月分~16年4月分までの7カ月間だ。

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲3.5%の減少である。10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは、10年(平成22年)からの7年間で12年(平成24年)の1回だけ下振れで、残り6回は上振れた。 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比の実績が、見通しの▲3.5%を達成するには、12月の前月比は▲21.4%で十分だ。12月の前月比が▲11.5%で10~12月期の前期比は横這い。12月の前月比が0%なら、10~12月期の前期比実績は+4.1%の増加になる。今年も実績が見通しを上回るパターンを踏襲しそうだ。 

●1月調査のESPフォーキャスト調査で17年度の実質設備投資の前年度比見通しは平均+3.39%、高位8人の平均は+3.81%、低位8人の平均は+3.00%で、18年度見通しは平均+2.66%、高位8人の平均は+4.28%、低位8人の平均は+1.03%となっている。今回11月分の機械受注の堅調な傾向が、今後も続くと判断されれば、18年度に伸び率が3%台から2%台に鈍化するとされる平均的な見通しが今後上方修正されていく可能性も出てこよう。