ホームマーケット経済指標解説2017年11月分景気動向指数(速報値)

2017年11月分景気動向指数(速報値)

2018年1月11日

-先行CI前月差+2.1と3カ月ぶり上昇、一致CI同+1.7で2カ月連続上昇-
-一致CI3カ月後方移動平均は+0.17と2カ月連続上昇-
-基調判断14カ月連続「改善を示している」継続、景気拡張局面は60カ月に-

●11月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+2.1と3カ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、マネーストックの3系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+1.7と2カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列が前月差プラス寄与に、有効求人倍率1系列が前月差マイナス寄与になった。 

●11月分の一致CIの指数水準は118.1になった。これはリーマンショック前の07年10月分の118.7以来の水準だ。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は+0.17ポイント上昇し、2カ月連続の上昇になった。7カ月後方移動平均は0.20ポイント上昇し、16カ月連続の上昇になった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~17年10月分まで同じ基調判断だった。今回11月分も「改善を示している」で、14カ月連続して最高の判断が続いている。 

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が振幅目安の1標準偏差分(▲1.04)以上」であることが必要だ。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.87)以上」であることが必要だ。 

●12月分で、「足踏み」になるには、3カ月後方移動平均の前月差が▲1.04以上になる必要がある。そのためには▲5.1ポイント以上の前月差大幅な下落幅になることが必要だ。また、「下方への局面変化」になるには、▲8.5ポイント以上の前月差大幅な下落幅になることが必要だ。12月分の製造工業生産予測指数の前月比が+3.4%であることから、第1系列の生産指数(鉱工業)前月比が大幅な減少になることは考えにくく、にわかに基調判断が下方修正される可能性はないとみられる。12月分も「改善」の判断が続こう。 

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」はこの11月分で60カ月となり、戦後最長の「いざなみ景気」の73カ月に次ぐ、戦後2番目の長さの景気拡張局面を続けている。 

●今回11月分速報値では、先行DIは72.2%と景気判断の分岐点の50%を5カ月連続で上回った。また、一致DIは57.1%で、こちらは景気判断の分岐点の50%を4カ月連続で上回り、DIからも景気拡張局面を示唆する状況になっている。

●11月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は1月17日である。また在庫率関連データなどが1月18日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 ●11月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値の前月比寄与度は+0.22程度である。また一致DIの計算では所定外労働時間指数は速報値の段階だとプラス符号で加わることになる。一致CI、一致DIとも現時点では上方修正が予想される。所定外労働時間指数の確報値発表日は1月23日である。また、生産指数関連データなどの1月18日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。但し、「改善」の基調判断は変わらないとみられる。 

●12月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数、東証株価指数の2系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数1系列が前月差寄与度ゼロに、中小企業売上げ見通しDI1系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。 

●また、12月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列の中で、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がプラス符号に、中小企業売上げ見通しDI1系列がマイナス符号になることが判明している。11月分速報値段階の先行DIは33.3%以上88.9%以下が確定している。