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2017年10~12月期法人企業統計・設備投資などについて

2018年3月1日

―設備投資(除くソフトウェア)前期比+3.1%、前年同期比+4.7%―
―10~12月期実質GDP第2次速報値は第1次から上方修正か―

●17年10~12月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+4.7%と7~9月期の前年同期比+4.3%からは0.4ポイント改善、5四半期連続の増加になった。前期比は+3.1%で2四半期連続の増加になった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは10~12月期の全産業の前年同期比は+4.3%だった。7~9月期の前年同期比+4.2%からは0.1ポイント改善した。 

●資本金1000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+0.0%で、7~9月期の前年同期比+7.7%からは7.7ポイント鈍化した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+12.8%で、7~9月期の前年同期比▲1.4%から14.2ポイント改善した。資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+3.7%と、7~9月期の前年同期比+4.6%からは0.9ポイント鈍化した。

●供給サイドのデータに基づいて算出した17年10~12月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+3.9%で7~9月期の+4.9%から増加率が1.0ポイント鈍化していたが、今回の法人企業統計は増加率が小幅ながら拡大している。17年10~12月期GDP第1次速報値の名目設備投資の前期比(季節調整済み)は+0.5%と5四半期連続の増加である。 

●10~12月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+0.7%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+3.3%であると公表されている。10~12月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の名目原系列前期比は単純に計算すると、+5.8%で2.5ポイント増加率が大きくなった。 

●その他のデータをみると、個人企業の設備投資は業種により動きはまちまちだが総じてみると上方修正要因になりそうだ。一方、12月分の低めの前年同月比が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は下方修正要因になりそうだ。 

●なお、GDPベースの設備投資の算出には固定資産の当期末・前期末の関係などを考慮する断層補正が加味されるが、若干改善幅を小幅にする要因として働きそうだ。

(在庫投資)

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると17年10~12月期は3兆634億円で16年10~12月期の3兆1,332億円から698億円の減少となった。原材料在庫は17年10~12月期は8,502億円で16年10~12月期の7,363億円から1,138億円の増加となった。合わせて440億円、前年同期に比べ増加した。 

●一方、17年10~12月期GDP第1次速報値の名目在庫投資・原数値は9,090億円で16年10~12月期の6,235億円から2,855億円の増加であった。17年10~12月期GDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.2%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、全系列がプラス寄与で、大きさの順は、製品在庫、原材料在庫、仕掛品在庫、流通在庫である模様だ。今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫は下方修正要因になる可能性があるとみられる。 

●17年10~12月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.1%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期比寄与度+0.1%、流通在庫は前期比寄与度▲0.0%、また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は▲0.1%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.0%だった。

(17年10~12月期GDP・第2次速報値)

●17年10~12月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比+1.5%程度と第1次速報値の同+0.7%から上方修正になるとみた。また、実質在庫投資の前期比寄与度は▲0.1%程度で第1次速報値の同▲0.1%と同程度になるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は10月分+2.2%、11月分+2.5%だったが、12月分の伸び率は+4.6%と増加率が拡大した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は▲0.2%程度と第1次速報値の同▲0.5%から上方修正されるとみた。 

●17年10~12月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.3%程度、前期比年率+1.1%程度と予測する。第1次速報値の前期比+0.1%、前期比年率+0.5%から上方修正されると予測する。 

●17年10~12月期の名目設備投資(季節調整値)は第1次速報値の87.2兆円から第2次速報値では87.9兆円程度に増加し、94年以降で最高の97年10~12月期の88.2兆円に一段と接近するものと予測する。