ホームマーケット経済指標解説2018年7~9月期実質GDP(第1次速報値)予測

2018年7~9月期実質GDP(第1次速報値)予測

2018年10月31日

-7~9月期実質GDP第1次速報値・前期比は2四半期ぶりのマイナス成長に-
-実質個人消費、輸出などが前期比マイナス寄与に-

●11月14日に発表される7~9月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲0.2%程度、前期比年率▲0.9%程度と2四半期ぶりのマイナス成長になると予測する。 

●7~9月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は0.0%程度を予測する。実質の個人消費は▲0.2%程度を予測する。設備投資は前期比+0.3%程度の増加になりそうだ。 

●外需は、輸出が▲1.4%程度と前期比減少に転じるとみた。外需の前期比寄与度は▲0.3%程度のマイナス寄与になるとみた。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の7~9月期前期比は▲5.6%の減少になった。非耐久消費財出荷指数は同▲0.4%の減少だ。GDPの個人消費算出には直接使用されないが、同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の7~9月期前期比は+1.0%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の7~8月分平均比対4~6月分平均比は+1.5%の増加だ。乗用車販売台数の7~9月期前期比は▲0.7%の減少になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の7~8月分平均比対4~6月分平均比は▲0.5%の減少である。7~9月期第1次速報値では個人消費の前期比は総合的に判断すると▲0.2%程度と、2四半期ぶりにマイナスの伸び率になるとみた。 

●住宅投資は前期比+1.2%程度とみた。先行指数である最近の新設住宅着工戸数・季節調整値が1月分を底に5月分まで持ち直していたことなどを参考にした。 

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の7~9月期前期比は▲2.5%の減少になった。資本財(除.輸送機械)は同▲1.0%の減少である。また、建設財は同▲1.5%の減少になった。供給サイドから推計される7~9月期実質設備投資・前期比はあまり大きな伸び率は期待できず+0.3%程度の増加になると予測した。

●在庫投資の前期比寄与度は+0.1%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が4~6月期GDP第2次速報値時点での情報を使って算出・公表した、7~9月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲571億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+1,244億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、4~6月期は▲1.9%のマイナスだったが、7~9月期は+1.7%のプラスになったことなどを考慮した。 

●公共投資は前期比▲3.0%程度の減少と見た。関連データの公共工事出来高・前年同月比は7月分▲1.8%、8月分▲4.1%で4~6月期の前年同期比▲1.6%より弱い。7~9月期の公共投資は名目ベースそして実質ベースとも4~6月期より前年同期比が低下すると考えた。 

●実質輸出入の動向をみると輸出の7~9月期前期比は▲1.9%の減少になった。輸入は同+1.2%の増加になっている。モノの外需の7~9月期の動向はマイナス寄与になるとみられる。サービス面を考慮して、GDPの輸出の7~9月期前期比は▲1.4%の減少、同輸入は同+0.1%の増加と予測した。7~9月期の外需の前期比寄与度は▲0.3%程度のマイナスになると予測する。 

●10月のESPフォーキャスト調査によると、前期比年率の予測総平均+0.37%と4~6月期の+3.0%成長に比べ弱含みそうで、低位8人の平均は▲0.44%だ。ESPフォーキャスト調査でもマイナス成長になる可能性を示唆している状況だ。