ホームマーケット経済指標解説2017年11月分全国消費者物価指数について

2017年11月分全国消費者物価指数について

2017年12月26日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.9%、11カ月連続上昇―
―同・生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比は+0.3%、5カ月連続上昇―
―11月分東京都区部消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.8%上昇―

●11月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として100.9となり、前年同月比は+0.6%と14カ月連続の上昇。前月比(季節調整値)は+0.7%上昇になった。

●生鮮食品の前年同月比は▲6.1%の下落だった。10月分は▲12.1%の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.28%となった。キャベツの前年同月比は▲44.4%の下落だった。 

●11月分のエネルギー全体の前年同月比は+8.5%と10月分の+8.6%から上昇率が僅かに鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.00%だった。

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差はプラスのものとゼロのものとまちまちに働いた。ガソリンの前年同月比は、前回10月分では+9.9%だったが、今回11月分では+10.5%と上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。灯油の前年同月比は、10月分では+24.5%だったが、今回の11月分では+26.0%になった。前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。一方、原油市況動向が遅れて反映される都市ガス代の前年同月比は+7.5%と、10月分の+8.3%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。電気代の前年同月比は+7.3%と10月分との+7.9%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は11月分では前年同月比▲0.8%と、10月分の前年同月比▲1.1%からやや下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.00%だった。また、家庭用耐久財は前年同月比+0.3で、10月分の前年同月比+0.8%からやや上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。11月分の通信料(携帯電話)は前年同月比▲5.2%の下落で10月分と同じだった。携帯電話の通信料を含む通信の11月分・前年同月比は▲2.4%と、10月分の前年同月比▲2.5%から下落率が僅かに縮小した。総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.00%だった。

●11月分の宿泊料は前年同月比+1.5%で、10月分の前年同月比+1.0からやや伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。10月分は前年同月比▲2.9%の下落だった外国パック旅行費は、11月分では同+3.6%の上昇になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。 

●診療代などの保健医療サービスの11月分は+3.1%の上昇で前回10月分と同じ上昇率だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●11月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+1.1%と10月分の同+0.4%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は、+0.33%と物価上昇要因になった。但し、生鮮食品を除く財でみると前年同月比+1.8%と10月分の+1.7%から僅かに上昇した。10月分から11月分への寄与度差は、+0.04%だった。一方、サービスの前年同月比は+0.1%と10月分の同0.0%から上昇し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.05%になった。なお、一般サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.04%だが、通信・教養娯楽関連サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差の+0.03%が主因である。 

●また、11月分の全国消費者物価指数・総合指数・持家の帰属家賃を除く総合・前年同月比は+0.7%と10月分の+0.3%から上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.37%だった。なお11月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.2%で10月分と同じだった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。 

●11月分の生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は100.7で、前年同月比は+0.9%の上昇となった。前月比(季節調整値)は+0.2%だった。前年同月比は1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、11カ月連続の上昇になった。前年同月比の+0.9%は消費税率引き上げの影響(+2.0%)を除くと、2014年10月の+0.9%(消費税率引き上げの影響含む+2.9%)以来3年1カ月ぶりの上昇率である。 

●11月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は101.0で、前年同月比は+0.3%になった。前月比(季節調整値)は+0.1%だった。前年同月比は13年10月分以来17年2月分まで41カ月連続で上昇が続いていたが、そこで途絶えた。17年3月分では▲0.1%と13年7月分の▲0.1%以来44カ月ぶりの下落だったが、4月分・5月分・6月分はともに0.0%で、7月分で+0.1%と5カ月ぶりの上昇に転じ、8~10月分で+0.2%、11月分で+0.3%になり5カ月連続の増加になった。 

●ESPフォーキャスト調査・12月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、17年10~12月期で+0.78%、18年1~3月期+0.74%、4~6月期+0.78%と足踏み状態になった後、7~9月期は+0.87%、10~12月期は+0.88%、19年1~3月期は+0.90%へと緩やかな上昇を見込んでいる。 

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算では17年1~3月期▲0.1%の後、17年4~6月期は+0.4%とプラスに転じ、7~9月期は+0.7%のプラスになった。一方、日銀の需給ギャップは16年10~12月期+0.45%、17年1~3月期+0.75%、17年4~6月期は+1.22%と3四半期連続でプラスになっている。需給ギャップ(GDPギャップ)は消費者物価指数の上昇要因になるものと思われる。

●12月の内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は77.3%と16年9月の調査開始以来最高になった。4月分以降9カ月連続して70%台になっている。12月の日銀短観の「企業の物価見通し」は全規模・全産業でみると下げ止まり感、底打ち感が感じられる。

(12月分の暫定的予測)

●12月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+1.3%程度と11月分の+0.6%から上昇率を高めよう。15カ月連続上昇になると予測する。 

●12月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+1.0%程度と11月分の+0.9%からやや上昇率を高めると見た。12カ月連続上昇になると予測する。 

●12月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の前年同月比は+0.5%程度と11月分の+0.3%からやや上昇率を高め6カ月連続の上昇と予測する。 

●関連データである12月分の東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+1.0%と11月分の+0.3%から伸び率を高めた。中旬速報値では、生鮮食品の前年同月比は+5.2%で、11月分の▲6.9%の下落から上昇に転じた。10月後半の2つの台風の影響も出てきていよう。生鮮食品の総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.55%だった。 

●エネルギー全体の前年同月比は+8.2%で11月分+9.2%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%で下落要因になった。12月分の家庭用耐久財の前年同月比は+4.2%と、11月分の+1.4%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%になった。また12月分の教養娯楽用耐久財の前年同月比は▲0.9%と、11月分の1.0%の上昇から下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。12月分の宿泊料は前年同月比+0.7%で11月分の+1.5%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%になった。 

●また、大阪市の総合12月分前年同月比は+0.7%で11月分の0.0%から上昇に転じた。3カ月ぶりの上昇だ。生鮮食品の12月分前年同月比は+7.6%だ。

●12月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+0.8%と11月分の+0.6%から上昇率が高まった。6カ月連続の上昇だ。大阪市の生鮮食品を除く総合の12月分前年同月比は+0.3%でこちらは11月分と同じになった。5カ月連続の上昇だ。 

●12月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+0.4%で11月分の+0.2%から上昇率を高めた。また、大阪市の12月分前年同月比は0.0%で11月分の▲0.2%の下落から横ばいになった。