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2017年9月調査 日銀短観 予測

2017年9月15日

―大企業・製造業の業況判断DIは18期連続の「良い」超を予測―
―今回の調査は、景気の底堅さと先行き不透明感を裏付ける内容か―

●9月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが6月調査の+17と同程度と、13年6月調査以降18期連続して「良い」超のプラスになるとみた。2期連続して今回の連続プラスの最高水準の14年3月と並ぶ+17になると予測する。景気の底堅さを示唆する数字となろう。 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+23程度とこちらも6月調査の+23と同程度になると予測する。非製造業は11年9月調査以降25期連続で「良い」超のプラスになろう。なお、今回の連続プラスの最高水準は15年9月調査・12月調査の+25である。この水準に、あと2ポイントに迫る数字となると予測する。 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(9月調査)やロイター短観(9月調査)などを参考にした。 

●9月15日に発表されたQUICK短観6月調査の調査期間は9月1日から9月12日である。製造業の業況判断DIは6月調査の+30から1ポイント上昇の+31となった。また、非製造業DIは6月調査の+41から2ポイント低下の+39となった。

●9月15日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は8月30日から9月12日である。400社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+26から1ポイント低下の+25となった。 

●また、9月調査400社ベースの非製造業DIは6月調査の+33から1ポイント上昇の+34となった。

●大企業・製造業の業況判断DIが+17程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」+15を2ポイント上回ることになる。また大企業・非製造業が+23程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」+18を5ポイント上回ることになる。足元の景況感が事前の予想より製造業、非製造業とも上振れることとなろう。 

●QUICK短観9月調査の製造業の12月までの「先行き見通し」は+29で9月実績の+31より2ポイント低下の予想、非製造業の12月までの「先行き見通し」は+38で9月実績の+39から1ポイントの低下予想である。 

●ロイター短観9月調査の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+21と9月実績の+25より4ポイント低下、非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+28と、9月実績の+34から6ポイントの低下予想である。

●最近の景気ウォッチャー調査の先行き判断で多くみられるキーワードは「不安」である。7月調査・8月調査とも60台であった。北朝鮮問題に代表される国際情勢の緊迫化、最近のAIなどの急速な進歩、高齢化社会の行方、天候不順などに対する様々な「不安」が、先行きの景況感の足枷になっているようだ。ファンダメンタルズはしっかりだが、「不安なメンタル」ズにつながる材料が多い状況だろう。 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観や最近の経済動向などを参考にして、製造業で9月実績比3ポイント悪化の+14程度、非製造業は9月実績比4ポイント悪化の+19程度と予測した。 

●9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が+6程度と予測した。最近では最高だった07年3月調査の+8以来の+7だった6月調査から1ポイント低下とみた。非製造業も6月調査の+7から1ポイント低下し+6程度になるとみた。非製造業の+7は最近では最高だった14年3月調査の+8以来の水準だ。この予測値は、商工中金の中小企業月次景況観測の景気判断指数や、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。 

●なお、中小企業・非製造業の業況判断DIは13年12月調査で92年2月調査以来のプラスにようやく転じた後、14年12月調査を新しい調査対象企業(+1)でみると、この9月調査で16期連続マイナスではない状況が続くことになる。このマイナスではない状況の連続記録は87年9月調査から92年6月調査の20期連続以来でバブル期以来である。雇用吸収力の大きい非製造業の業況判断DIの良さが、最近の好調な雇用状況につながっていよう。 

●参考データの商工中金の中小企業月次景況観測の景気判断指数は直近8月分で製造業が48.0(6月分48.7、7月分49.9、9月予測51.6)で、非製造業は8月分が49.7(6月分49.5、7月分50.0、9月予測49.7)となっている。 

●景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が6月調査52.5、7月調査50.5、8月調査51.2と改善傾向にある。また、非製造業は6月調査52.4、7月調査51.2、8月調査50.8となっている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。 

●中小企業・製造業の業況判断DIが+6程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」と同じになる。また中小企業・非製造業が+6程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」+2を4ポイント上回ることになる。足元の景況感が製造業は事前の予想通り、非製造業は事前の予想から上振れることとなろう。 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、景気は先行き不透明さが依然強い中では慎重な回答が多いように思われる。製造業で9月実績比3ポイント悪化の+3程度、非製造業は9月実績比5ポイント悪化の+1程度と予測した。非製造業では先行きをかなり慎重にみるというクセを考慮した。

●2017年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+8.3%程度と、6月調査の同+8.0%からやや上方修正されると予測した。過去の修正パターンや、最近の設備投資計画調査などを参考にした。 

●2017年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲16.1%程度と、6月調査の同▲20.6%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。

<9月調査日銀短観・予測値>

1)大企業

         9月製造業DI                        +17
         9月非製造業DI                       +23
         12月製造業DI                       +14
         12月非製造業DI                       +19
         2017年度設備投資計画(全産業)前年度比  +8.3%

2)中小企業

        9月製造業DI                         +6
        9月非製造業DI                        +6
        12月製造業DI                        +3
        12月非製造業DI                       +1
        2017年度設備投資計画(全産業)前年度比  ▲16.1%