ホームマーケット経済指標解説2017年7~9月期実質GDP(第2次速報値)について

2017年7~9月期実質GDP(第2次速報値)について

2017年12月8日

   ―実質GDP成長率は前期比年率+2.5%に同+1.4%から上方修正―
     ―99年10~12月期がマイナス成長に転じたため、7四半期連続プラスは最長―
    ―外需前期比寄与度+0.5%に加え、内需も同+0.1%とプラス寄与に―
      ―内閣府年央試算+1.5%は残り各四半期・前期比年率▲1.2%程度で達成―

●17年7~9月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.6%、前期比年率+2.5%となった。第1次速報値の前期比+0.3%、前期比年率+1.4%から上方修正となった。プラス成長は7四半期連続になった。

●需要側推計値と供給側推計値を加重平均する際のウェイト(統合比率)の見直しに伴い、家計最終消費支出、民間企業設備及びこれらを含む項目については、原系列及び季節調整系列の名目、実質ともに94年1~3月期まで遡及して改定が行われた。このため、7四半期連続のプラス成長は第1次速報値時点では99年4~6月期から01年1~3月期の8四半期連続以来16年半ぶりだったが、99年10~12月期が前期比▲0.0%と僅かなマイナス成長に転じたことから、第2次速報値段階では94年1~3月期以降最長の連続プラス成長記録を作ったことになった。

●内需主導の成長になった4~6月期と逆に、7~9月期は外需主導の成長になった。外需の前期比寄与度は+0.5%で、2四半期ぶりのプラス寄与になった。一方、内需は第1次速報値では同▲0.2%と4四半期ぶりのマイナス寄与だったが、同+0.1%に上方修正され4四半期連続プラス寄与になった。内外需ともプラスの良い内容である。

●7~9月期・第2次速報値の名目GDP成長率は前期比+0.8%、前期比年率+3.2%となった。名目GDPの季節調整値は549兆円になった。

●7~9月期の個人消費・前期比は、実質雇用者報酬の前期比が+0.7%と3四半期連続の増加になったにもかかわらず、前期比▲0.5%と5四半期ぶりの減少になった。4~6月期の前期比が+0.9%と高めの伸び率であった反動もあったようだ。新車や新商品の発売時期がずれたスマホの販売鈍化に加え、長雨や台風の天候要因が大きくマイナスに寄与したようだ。個人消費は一時的な減速と言えそうだ。

●7~9月期の実質個人消費の内訳をみると、耐久財の前期比は▲1.2%と7四半期ぶりの減少になった。半耐久財の前期比は+0.3%と2四半期ぶりの増加に、非耐久財の前期比は+0.0%と微増だが2四半期連続の増加になったが、サービスの前期比は天候不順の影響が大きく▲0.7%と5四半期ぶりの減少になった。

●7~9月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の+0.2%から、第2次速報値では同+1.1%へと大きく上方修正された。4四半期連続の増加である。名目の前期比(季節調整済み)は+1.3%と4四半期連続の増加になった。

●供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+10.5%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+15.2%であると公表された。

●7~9月期実質住宅投資は前期比▲1.0%と、7四半期ぶりの減少になった。

●7~9月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は+0.4%と第1次速報値の+0.2%から上方修正された。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期比寄与度+0.1%、流通在庫は前期比寄与度+0.1%と仕掛品在庫の前期比寄与度0.0%は第1次速報値と変わらなかった。一方、仮置き値で0.0%だった原材料在庫の前期比寄与度は+0.2%に法人企業統計を受けて大幅に上方修正された。

●実質政府最終消費支出は前期比0.0%に同▲0.1%から上方修正。16年度補正予算の効果が4~6月期に大きく顕在化した実質公共投資は、7~9月期は反動が出て前期比減少になったが減少率は▲2.5%から▲2.4%にやや縮小した。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%で変わらなかった。

●外需(純輸出)の前期比寄与度は+0.5%と2四半期ぶりのプラス寄与で変わらなかった。実質輸出は前期比+1.5%、実質輸入の前期比は▲1.6%でこちらも変わらなかった。

●実質GDPに海外からの実質純所得と交易利得を加えた実質GNI(国民総所得)は前期比+0.6%から同+0.8%に上方修正となった。

●7~9月期のGDPデフレーターの前年同期比は+0.1%で、5四半期ぶりのプラスの伸び率になった。国内需要デフレーターの前年同期比は+0.5%の伸び率になった。両方の伸び率が揃ってプラスになったのは15年10~12月期以来7四半期ぶりのことだ(第1次速報値では9四半期ぶりだった)。デフレ脱却が窺える数字だ。一方、7~9月期の季節調整済み前期比は第1次速報値より第2次速報値の方が0.1ポイントずつ伸び率は鈍化したが、GDPデフレーターは+0.2%、国内需要デフレーターの前期比は+0.1%とプラスの伸び率になった。両者が揃ってプラスになったのは2四半期連続ということになった。

●15年度の第2次年次推計値で実質GDP成長率は+1.4%と0.1ポイント上方修正された。一方、16年度の第1次年次推計値で実質GDP成長率は+1.2%と0.1ポイント下方修正された。

●大幅に過去のデータが変更されていることもあり、17年度の実質GDP成長率見通し(内閣府年央試算)+1.5%は残り2四半期が各々前期比年率▲1.2%程度(前期比▲0.32%程度)で達成可能になった。ちなみに、16年度から17年度へのゲタは+0.5%と第1次速報値の時の+0.4%より、上方修正となった。残り2四半期が各々前期比ゼロ成長でも、17年度の実質GDP成長率は、+1.7%になる。

●第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.1%であったが、第2次速報値で+0.2%に上方修正された。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、流通在庫のみが前年同期比マイナス寄与で、原材料在庫、仕掛品在庫、製品在庫がこの順に前年同期比プラス寄与だった模様だ。

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、10~12月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲6,176億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲1,066億円である。