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2017年6月調査 日銀短観 予測

2017年6月20日

―大企業・製造業の業況判断DIは3期連続上昇を予測―
―今回の調査は、景気拡張継続を裏付ける内容に―

●6月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが3月調査の+12から3ポイント程度上昇し、直近のピークである15年6月調査と同水準の+15程度になると予測する。17期連続で「良い」超のプラスとなろう。前期から上昇すれば3期連続だ。このところ景気持ち直しの動きが出ていることを示唆する内容になるとみた。

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+25程度と3月調査の+20より5ポイント程度上昇すると予測する。+25は直近のピークである15年9月調査・12月調査と同水準である。非製造業は24期連続で「良い」超のプラスになろう。

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(6月調査)やロイター短観(6月調査)などを参考にした。

●6月15日に発表されたQUICK短観6月調査の調査期間は6月1日から6月12日である。製造業の業況判断DIは3月調査の+22から8ポイント上昇の+30となった。また、非製造業DIは3月調査の+29から12ポイント改善の+41となった。

●6月20日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は6月2日から6月15日である。400社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の+25から1ポイント上昇の+26となった。

●また、3月調査400社ベースの非製造業DIは6月調査の+26から7ポイント上昇の+33となった。

●大企業・製造業の業況判断DIが+15程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」+11を4ポイント上回ることになる。また大企業・非製造業が+25程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」+16を9ポイント上回ることになる。足元の景況感が事前の予想より製造業、非製造業とも上振れることとなろう。

●QUICK短観6月調査の製造業の9月までの「先行き見通し」は+28で6月実績の+30より2ポイント悪化の予想、非製造業の9月までの「先行き見通し」は+37で6月実績の+41から4ポイントの悪化予想である。

●ロイター短観6月調査の9月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+29と6月実績の+26より3ポイント改善、非製造業・400社ベースの9月までの「先行き見通し」は+28と、6月実績の+33から5ポイントの悪化予想である。

●最近の景気ウォッチャー調査の先行き判断で多くみられるキーワードは漠然とした「不安」である。国際情勢の不透明さ、最近のAIなどの急速な進歩、高齢化社会の行方など漠然とした「不安」が先行きの景況感の足かせになっている状況はQUICK短観、ロイター短観にも反映されているようだ。

●日銀短観の大企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観や最近の経済動向などを参考にして、製造業で6月実績比1ポイント悪化の+14程度、非製造業は6月実績比4ポイント悪化の+21程度と予測した。

●6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が3月調査の+5から若干改善し、07年6月調査以来の+6程度という水準になると予測する。非製造業が3月調査の+4から1ポイント上昇し15年12月調査以来の+5程度になるとみた。景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

●景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が3月調査45.2、4月調査47.3、5月調査49.9と改善傾向にある。また、非製造業は3月調査48.3、4月調査48.2、5月調査53.3となっている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●中小企業・製造業の業況判断DIが+6程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」0を6ポイント上回ることになる。また中小企業・非製造業が+5程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」▲1をこちらも6ポイント上回ることになる。足元の景況感が事前の予想よりは製造業、非製造業とも上振れることとなろう。

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、景気は先行き不透明さが依然強い中では慎重な回答が多いように思われる。製造業で6月実績比5ポイント悪化の+1程度、非製造業は6月実績比5ポイント悪化の0程度と予測した。非製造業では先行きを慎重にみるというクセを考慮した。

●2017年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+5.5%程度と、3月調査の同+0.6%から上方修正されると予測した。過去の修正パターンや、最近の設備投資計画調査などを参考にした。

●2017年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲17.2%程度と、3月調査の同▲22.6%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。

<6月調査日銀短観・予測値>

1)大企業

6月製造業DI                        +15
6月非製造業DI                       +25
9月製造業DI                        +14
9月非製造業DI                       +21
2017年度設備投資計画(全産業)前年度比  +5.5%

2)中小企業

6月製造業DI                         +6
6月非製造業DI                        +5
9月製造業DI                         +1
9月非製造業DI                         0
2017年度設備投資計画(全産業)前年度比  ▲17.2%