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2017年6月分全国消費者物価指数について

2017年7月28日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.4%、6カ月連続上昇―
―同・生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比は4月・5月・6月分と3カ月連続0.0%―
―全国消費者物価指数・財の前年同月比は5月分の+0.8%から+0.9%に上昇率が高まる―
―7月分東京都区部消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.2%に上昇―

●6月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として100.2となり、前年同月比は+0.4%と9カ月連続の上昇。前月比(季節調整値)は0.0%と横這いになった。

●生鮮食品の前年同月比は+0.5%の上昇だった。5月分は+0.4%の上昇だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%となった。不漁のいかは前年同月比+25.2%で依然2ケタ上昇だが5月分よりは4ポイント程度低い上昇率になった。6月分のエネルギー全体の前年同月比は+4.9%と5月分の+5.1%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%と僅かな下落要因になった。

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差はまちまちに働いた。ガソリンの前年同月比は、前回5月分では+12.3%だったが、今回6月分では+6.1%と上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.10%と物価押下げ要因になった。灯油の前年同月比は、5月分では+27.8%だったが、今回の6月分では+23.0%と鈍化した。前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。一方、原油市況動向が遅れて反映される電気代の前年同月比は+4.9%と5月分の+2.5%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.08%と物価押上げ要因になった。都市ガス代の前年同月比は+0.1%と、5月分の▲2.4%の下落から上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は5月分では前年同月比▲3.7%と5月分と同じ下落率で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比▲1.0%で、5月分の前年同月比▲2.2%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。6月分の携帯電話機が前年同月比▲10.2%下落したことが主因で6月分の通信の前年同月比は▲3.1%になった。但し、5月分の通信の前年同月比は▲3.7%だったので、6月分の通信の総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.03%と上昇要因になった。

●6月分の宿泊料は前年同月比+0.2%で、5月分の前年同月比+2.6%から伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。5月分は前年同月比+5.7%の上昇だった外国パック旅行費は、6月分では同▲5.3%の下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.05%だった。

●6月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+0.9%と5月分の同+0.8%からやや上昇率が高まった。5月分から6月分への寄与度差は、+0.04%と物価上昇要因になった。また、生鮮食品を除く財は+1.0%と5月分の+0.9%から上昇した。5月分から6月分への寄与度差は、+0.03%と物価上昇要因だった。一方、サービスは▲0.1%の下落と5月分同0.0%から鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.08%と物価下落要因だった。通信・教養娯楽関連サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.07%だった。

●また、6月分の全国消費者物価指数・総合指数・持家の帰属家賃を除く総合・前年同月比は+0.5%と5月分の+0.5%と同程度だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%だった。なお6月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.3%で5月分の▲0.3%と同程度だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●6月分の生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は100.2で、前年同月比は+0.4%の上昇となった。前月比(季節調整値)は0.0%と横這いだった。前年同月比は1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、6カ月連続の上昇になった。

●6月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は100.7で、前年同月比は0.0%になった。前月比(季節調整値)は0.0%だった。前年同月比は13年10月分以来17年2月分まで41カ月連続で上昇が続いていたが、そこで途絶えた。3月分では▲0.1%と13年7月分の▲0.1%以来44カ月ぶりの下落だったが、4月分・5月分・6月分はともに0.0%で、3カ月連続下落は回避された。

●ESPフォーキャスト調査・7月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、16年7~9月期の▲0.50%を底に持ち直し、17年1~3月期に+0.2%とプラスに転じた後、見通しでは緩やかに上昇する見込みだ。17年4~6月期は+0.44%、17年7~9月期は+0.74%、17年10~12月期は+0.82%、そして18年10~12月期は+0.90%だ。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の新しい方法の試算で16年10~12月期・17年1~3月期とともに+0.1%とプラスになった。一方、日銀の需給ギャップは16年7~9月期+0.07%、10~12月期+0.57%、17年1~3月期+0.79%と3四半期連続でプラスになっている。ともにマイナスを脱した。今後、さらに需給ギャップの改善が続けば、消費者物価指数・予想物価上昇率の上昇要因になっていくものと思われる。

●物価指数の前年比は、まず、商品指数が底打ちし、その後、国内企業物価指数、企業向けサービス価格指数が動き、最後に消費者物価指数が底打ちするというパターンが多いが、現局面も同様の展開になっている。

●7月分内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は72.4%と、このところ頭打ちだが、4月分以降4カ月連続して70%台になっている。

(7月分の暫定的予測)

●7月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+0.4%程度と、6月分の+0.4%と同程度の伸び率になるとみた。

●7月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+0.5%程度と、6月分の+0.4%からやや伸び率が高まると予測する。

●また、7月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の前年同月比は4カ月連続横這いの0.0%程度と予測する。

●関連データである7月分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同月比は+0.1%と上方修正された6月分の+0.1%と同じ上昇率になった。3カ月連続の上昇だ。生鮮食品の前年同月比は▲0.6%で、6月分の+2.1%の上昇から下落に転じた。生鮮食品の総合指数・前年同月比に対する寄与度差は▲0.11%だった。エネルギー全体の前年同月比は+5.3%で6月分+3.4%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.09%で上昇要因になった。7月分の家庭用耐久財の前年同月比は+4.1%と、6月分の▲1.8%の下落から上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.05%になった。7月分の教養娯楽用耐久財の前年同月比が▲6.6%と、6月分の▲6.2%から下落率がやや拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。7月分の宿泊料は前年同月比+0.4%で、6月分の+0.2%から上昇率がやや上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%になった。

●また、大阪市の総合7月分前年同月比は▲0.1%と6月分と同じ下落率で、8カ月連続の下落になった。

●7月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+0.2%と6月分の0.0%から上昇に転じた。大阪市の生鮮食品を除く総合の7月分前年同月比は0.0%で5月分の▲0.1%の下落から15カ月ぶりに脱した6月分の0.0%と同じ前年同月比だった。

●7月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は6月分の▲0.2%から▲0.1%の下落幅が縮小した。また、大阪市でも7月分前年同月比は▲0.5%で6月分の▲0.4%から下落率が拡大し、11カ月連続の下落になった。