ホームマーケット経済指標解説2017年4月分機械受注

2017年4月分機械受注

2017年6月12日

―4月分の機械受注(除船電民需)前月比は▲3.1%と3カ月ぶりの減少―
―3月分は6件だった機械受注(除船電民需)大型案件、4月分は0件に―
―基調判断は8カ月連続「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置き―
―機械受注(除船電民需)4~6月期前期比は見通し▲5.9%を上回りそう―

●4月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲3.1%と3カ月ぶりの減少になった。内訳をみると、製造業の前月比は+2.5%の増加だが、非製造業の前月比は▲5.0%だった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前月の3月分は6件と年度末ということもあり多かった。3月分に大型案件があったのは非鉄金属の原子力原動機2件、造船業の内燃機関1件、通信業の通信機1件、「その他非製造業」の航空機2件ということだ。4月分は一転して0件だった。このため3月分に大型案件があった業種の4月分は、反動でマイナスになったものがある。非鉄金属の3月分は前月比+862.5%だったが、4月分は同▲91.8%もの減少だった。「その他非製造業」は3月分も2月分の大型案件の反動があったため4月分の前月比は▲18.5%と2カ月連続2ケタ減少となった。通信業はしっかりした動きで、3月分の同+36.0%と大幅増加に続き、4月分は同+8.2%と2カ月連続の増加になった。

●4月分の製造業の前月比は+2.5%と3カ月連続の増加になった。製造業17業種中、14業種が増加で、減少は反動減の非鉄金属を含み3業種にすぎなかった。4~6月期の見通しは前期比▲1.1%の減少だが、4月分が高めの水準なので、残る5・6月分が前月比0%で、4~6月期の前期比実績は+4.2%の増加になる。

●4月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲5.0%と、2カ月ぶりの減少になった。非製造業全体では前月比▲4.9%と2カ月連続の減少になった。電力業4月分は前月比+5.8%の増加になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。但し、2ケタの大幅減少は、鉱業・採石業・砂利採取業(前月比▲22.2%)、建設業(同▲31.8%)、不動産業(同▲51.3%)、金融業・保険業(同▲38.5%)と一部に限られている。逆に増加は、運輸・郵便業(前月比+10.7%)、通信業(同+8.2%)、3カ月連続増加の卸売業・小売業(同+0.4%)、リース業(同+14.5%)となっている。人手不足対応の設備投資増などの影響がありそうだ。4~6月期の非製造業(除船電民需)の前期比見通しは▲9.6%と大幅マイナスになっていたが、残る5・6月分が前月比0%で、4~6月期の前期比実績は▲7.0%の減少と幾分減少率は縮小になる。

●3月分の機械受注全体の大型案件は23件だったが、4月分の機械受注全体の大型案件は官公需1件(国家公務・電子計算機1件)にとどまった。

●3月分の外需の大型案件は、火水力原動機1件、航空機2件、発電機1件と、半導体製造装置1件、計5件だったが、今回は0件だった。但し、今回4月分・外需の前月比は+17.4%の大幅増加だった。4~6月期の外需の前期比見通しは+1.1%の増加になっているが、残る5・6月分が前月比0%で、4~6月期の前期比実績は+14.7%の増加と、増加率は拡大しそうだ。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は4月分で前月比+0.8%と2カ月ぶりの増加になった。4月分の前年同月比は+10.3%と3カ月連続の増加で底堅さを示唆した。4~6月期の代理店受注の前期比見通しは▲4.0%になっているが、残る5・6月分が前月比0%で、4~6月期の前期比実績は+4.3%の増加になりそうだ。

●内閣府の基調判断は、16年9月分で「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正となった。その後16年10月分・11月分・12月分・17年1月分・2月分・3月分に続き今回4月分でも、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に8カ月連続据え置きになった。

●4~6月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲5.9%の減少である。過去3四半期の達成率平均は100.9%で単純集計値を膨らませても減少になった。3月末時点では企業の先行き不透明感が強かったことが背景にありそうだ。4~6月期の機械受注(除船電民需)の見通しは達成率の計算方法を変更するまでは見通しを実績が上回った。しかし、季節調整値を使用するようになってからは下振れる年も出てきた。最近5年間は下振れ、上振れを交互に繰り返してきており、パターン通りだと今年は実績が見通しを上回る番だ。
機械受注(除船電民需)の残る5・6月分が前月比+1.7%程度になれば、4~6月期の前期比実績は横這いになる。残る5・6月分が前月比0%なら、4~6月期の前期比実績は▲1.7%の減少と減少率は縮小になる。

●4月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる4月分実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+1.00程度とほぼ横ばいになるとみた。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は速報値の▲1.1程度と速報値の▲1.2から上方修正となろう。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がマイナスになるとみて、45.0%程度と速報値の38.9%から上方修正になると予測する。