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2017年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて

2017年9月1日

―設備投資(除くソフトウェア)前期比▲2.8%、前年同期比+0.6%―
―4~6月期GDP第2次QEは第1次QEから下方修正か―

●17年4~6月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+0.6%と1~3月期の前年同期比+5.2%からは4.6ポイント低下したが、3四半期連続の増加にはなった。前期比は▲2.8%で3四半期ぶりの減少になった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは4~6月期の全産業の前年同期比は+1.5%だった。1~3月期の前年同期比+4.5%からは3.0ポイント低下した。

●資本金1000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+1.9%で、1~3月期の前年同期比+4.5%からは2.6ポイント鈍化した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+7.6%で、1~3月期の前年同期比+16.8%から9.2ポイント鈍化した。一方、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は▲0.8%と、1~3月期の前年同期比+1.2%の増加からは2.0ポイント鈍化し3四半期ぶりの減少に転じた。

●供給サイドのデータに基づいて算出した17年4~6月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+6.4%で1~3月期の+3.5%から増加率が上昇している。今回の法人企業統計とは逆の動きだ。名目設備投資4~6月期の前期比(季節調整済み)は+2.9%と3四半期連続の増加である。

●4~6月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲14.6%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲28.6%であると公表されている。4~6月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の名目原系列前期比は単純に計算すると、5.3ポイント減少率が大きい▲33.9%である。

●その他のデータをみると、個人企業の設備投資は業種により動きはまちまちだが総じてみて上方修正要因になりそうだ。また、6月分が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成も上方修正要因になりそうだ。

●なお、GDPベースの設備投資の算出には固定資産の当期末・前期末の関係などを考慮する断層補正が加味されるが、4~6月期の法人企業統計の1~3月期からの落ち込みを大きく緩和することはできそうもない。

●以上、総合的に判断して、第2次速報値での名目ベースの設備投資の前期比は第1次速報値の+2.9%から+1.0%程度へ、実質ベースの設備投資の前期比も第1次速報値の+2.4%から+0.5%程度へとプラス幅が大きく縮小すると予測する。

(在庫投資)

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると17年4~6月期は2兆0417億円で16年4~6月期の1兆2278億円から8139億円の増加となった。原材料在庫は17年4~6月期は5992億円で16年4~6月期の1190億円から4801億円の増加となった。合わせて1兆2940億円、前年同期に比べ増加した。

●一方、17年4~6月期GDP第1次速報値の名目在庫投資・原数値は1兆4163億円で16年4~6月期の2兆2562億円から▲8399億円の減少であった。17年4~6月期GDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.6%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、全系列が前年同期比マイナス寄与であるということだ。マイナス寄与が大きい順に流通在庫、製品在庫、仕掛品在庫、原材料在庫だった模様だ。今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫、原材料在庫は上方修正要因になる可能性があるとみられる。

●17年4~6月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期比寄与度▲0.2%、流通在庫は前期比寄与度▲0.1%、一方、1~3月期の反動が出てプラス寄与になる仮置き値の原材料在庫は前期比寄与度+0.3%だった。同じく仮置き値の仕掛品在庫は0.0%だった。第2次速報値段階で仕掛品在庫、原材料在庫は上方修正されよう。製品在庫も若干上方修正の可能性があろう。総合的に見て、実質在庫投資の前期比寄与度は+0.2%程度になるとみた。

(17年4~6月期GDP・第2次速報値)

●17年4~6月期GDP第2次速報値では、設備投資は前期比+0.5%程度と第1次速報値の同+2.4%から下方修正になるとみた。また、在庫投資は上方修正され前期比寄与度は+0.2%程度になるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は4月分+6.4%、5月分+10.3%だったが、6月分の伸び率は+7.7%で4~5月分平均より増加率がやや縮小した。このことからみて第2次速報値での公共投資の前期比は+4.8%程度と第1次速報値から下方修正されるとみた。

●総合的に判断すると17年4~6月期GDP第2次速報値は前期比+0.8%程度、前期比年率+3.2%程度と予測する。季節調整替えの影響などもあるが第1次速報値の前期比+1.0%、前期比年率+4.0%から下方修正されると予測する。