2017年3月分鉱工業生産指数・速報値について

2017年4月28日

-3月分鉱工業生産指数・前月比▲2.1%と2カ月ぶりの減少-
-昨年の熊本地震などの影響残り季節調整値は月々の振れが出やすい状況か-
-生産指数は予測指数で延長すると4~6月期にかけ5四半期連続前期比増加に-
-基調判断は5カ月連続して「生産は持ち直しの動きがみられる」-
-3月分一致CIは前月差下降でも、景気判断は6カ月連続で「改善」に-

(鉱工業生産)

●鉱工業生産指数・3月分速報値前月比は▲2.1%と2カ月ぶりの減少になった。昨年の愛知製鋼の爆発事故、熊本地震などの影響が残り、季節調整値は月々の振れが出やすい状況のようだ。加えて中華圏の春節の時期が昨年比でズレたため、2月分の前月比は+3.2%の大幅増加だった。3月分速報値前年同月比は+3.3%と5カ月連続の増加になり、生産の増加基調が続いていることを示唆している。

●3月分の生産をみると、15業種のうちパルプ・紙・紙加工品工業、情報通信機械工業、非鉄金属工業等など4業種が増加し、はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、金属製品工業等など11業種が前月比減少だった。

●経済産業省が公表している鉱工業生産指数の先行き試算値で、3月分の前月比は最頻値で▲0.3%、90%の確率に収まる範囲で▲1.3%~+0.7%だった。3月分前月比実績の▲2.1%は試算値の予想範囲内の下限を下回り、製造工業生産予測指数前月比(▲2.0%)より下振れた。

●但し季節調整替えの後、3月分の製造工業生産予測指数は前月比▲2.5%に更新されたので、▲2.1%はこの数字よりは幾分小幅な減少率だ。なお、製造工業生産予測指数ベースの3月分実績は前月比▲1.9%だったので、実現率は+0.6%で12カ月ぶりのプラスになった。

●製造工業生産予測指数4月分前月比は+8.9%、5月分前月比は▲3.7%で、振幅を伴いつつしっかりと増加する見込みである。4月分では運搬用や建設機械などのはん用・生産用・業務用機械工業(+22.0%)、スマホ関連の生産増加が見込まれる電子部品・デバイス工業(+12.2%)、輸送機械工業(+11.7%)、情報通信機械工業(+10.9%)の4業種は前月比2ケタと生産が大幅に増加する見込みである。

●鉱工業生産指数の先行き試算値では、4月分の前月比は最頻値で+5.3%、90%の確率に収まる範囲で+4.3%~+6.4%と高い伸び率となっている。製造工業生産予測指数前月比+8.9%よりは下振れるものの、高い伸び率が予測されている。

●先行きの鉱工業生産指数4月分・5月分を製造工業予測指数前月比(+8.9%、▲3.7%)で延長し、6月分を横這いとした場合、4~6月期の前期比は+5.9%の増加になる見込みだ。一方、4月分を先行き試算値最頻値前月比(+5.3%)、5月分は予測指数の前月比で延長し、6月分を横這いとした場合は4~6月期の前期比は+2.4%の増加になる見込みだ。17年1~3月期の前期比は+0.1%と若干のプラスだが、3月分確報値が0.2ポイントの低下・前月比▲2.3%までの下方修正にとどまれば前期比+0.1%のプラスを維持できる。16年4~6月期以降17年4~6月期にかけ前期比プラスは5四半期連続になりそうだ。

●経済産業省の基調判断は16年8月分では「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」という判断に2カ月ぶりに上方修正された。15年5月分から1回を除き続いてきた「一進一退」の表現がなくなった。16年9月分、10月分でも「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」という判断は維持された。16年11月分では「緩やかな」がとれて「総じてみれば、生産は持ち直しの動きがみられる」という判断に上方修正された。16年12月分・17年1月分・2月分に続き今回17年3月分でも「総じてみれば、生産は持ち直しの動きがみられる」という同じ判断になった。この判断は5カ月連続だ。

●大きな動きをチェックするために、鉱工業全体で縦軸に在庫の前年比を、横軸に出荷の前年比をとった在庫サイクル図をみると、16年4~6月分(出荷の前年比が▲1.9%、在庫が同▲0.5%)までは45度線を上回ったままだった。16年7~9月期で出荷の前年比が▲0.5%、在庫が同▲2.7%と45度線を下回った。10~12月期では出荷の前年比が+1.8%、在庫が同▲5.3%とさらに右下に動いた。17年1~3月期では出荷の前年比が+3.6%、在庫が同▲3.3%となった。現在、在庫循環図からみて、生産が増加しやすい「意図せざる在庫減局面」に入っていると言えよう。

(3月分景気動向指数予測)

●3月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+0.6程度と2カ月連続で前月差上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列で、4月28日午前9時現在でデータがわかっているのは8系列だ。そのうち、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、中小企業売上げ見通しの6系列が前月差プラス寄与に、東証株価指数1系列が前月差寄与ゼロに、最終需要財在庫率指数1系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、新設住宅着工床面積1系列は前月差マイナス寄与になるとみた。

●3月分の一致CIは前月差▲0.6程度と、2月分の上昇から下降に転じると予測する。速報値からデータが利用可能な7系列中、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の3系列が前月差プラス寄与に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数の4系列が前月差マイナス寄与になると予測した。

●一致CIを使った景気の基調判断は16年10月分から基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」になっている。予測通りなら、3月分では3カ月後方移動平均は前月差横這い、7カ月後方移動平均は上昇とみる。「足踏み」や「下方への局面変化」にはならず、6カ月連続して「改善」が続くことになろう。

●3月分の先行DIは77.8%程度と景気判断の分岐点の50%を5カ月連続して上回ると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列で、4月28日午前9時でデータがわかっているのは8系列。そのうち、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しの6系列はプラス符号に、最終需要財在庫率指数、新規求人数の2系列はマイナス符号になることが判明している。先行DIは66.7%以上77.8%以下と50%超が確定している。残る、新設住宅着工床面積1系列は微妙だが、プラス符号になると予測する。

●3月分の一致DIは42.9%程度と景気判断の分岐点の50%を下回る数字になると予測する。商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の3系列がプラス符号、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数の4系列がマイナス符号だと予測した。予測通りなら景気判断の分岐点の50%を2カ月ぶりに下回ることになろう。但し、生産関連指標の月々の振れの影響で基調は悪くないと判断できる。4月分は100%近くの数字が期待される。