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2017年3月分機械受注

2017年5月17日

―3月分の機械受注(除船電民需)前月比は+1.4%と2カ月連続の増加―
―2月分は1件だった機械受注(除船電民需)大型案件、3月分は6件に―
―基調判断は7カ月連続「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置き―
―機械受注(除船電民需)1~3月期前期比実績は見通し下回る▲1.4%―
―機械受注(除船電民需)4~6月期前期比見通しは▲5.9%だが・・・―

●3月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+1.4%と2カ月連続の増加になった。内訳をみると、製造業の前月比+0.6%、非製造業の前月比▲3.9%であり、内訳の数字よりは全体が強めである。内訳の数字よりは全体の前月比が弱かった2月分の反動もあり、幅を持って解釈することが大切だろう。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、3月分は6件と1月分・2月分の1件より年度末ということもあり増加した。3月分に大型案件があったのは非鉄金属の原子力原動機2件、造船業の内燃機関1件、通信業の通信機1件、「その他非製造業」の航空機2件ということだ。3月分の大型案件のあった業種をみると、まちまちで、非鉄金属の3月分は前月比+862.5%、通信業は同+36.0%と大幅増加になったが、造船業は前月比▲26.3%、「その他非製造業」は同▲30.6%と減少になった。「その他非製造業」は2月分にも大型案件があり前月比+69.0%と大幅に増加した反動が出たようだ。

●3月分の製造業の前月比は+0.6%と2月分の+6.0%の反動もあり緩やかではあるが、2カ月連続の増加になった。製造業17業種中、7業種が増加で10業種が減少だった。但し、1月分の落ち込みを完全に埋めることができていない。前期比増加見通しだった1~3月期の実績は前期比▲4.2%の減少になった。

●3月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲3.9%と、4カ月ぶりの減少になった。非製造業全体では前月比▲15.9%と2カ月ぶりの減少になった。電力業3月分は前月比▲22.4%の減少になった。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。前期比減少見通しだった1~3月期の非製造業(除船電民需)前期比は0.0%と横這いとなった。人手不足対応の設備投資増などの影響がありそうだ。

●3月分の機械受注全体の大型案件は23件で、2月分の機械受注全体の大型案件の3件を20件上回った。残りは民需の電力業で6件(火水力原動機2件、原子力原動機4件)、官公需6件(防衛省・航空機4件、国家公務・船舶1件、地方公務・化学機械1件)、外需で5件だったということだ。

●2月分の外需は、航空機1件だった。3月分の外需は、火水力原動機1件、航空機2件、発電機1件と、半導体製造装置1件だった。半導体製造装置は珍しい大型案件だが、世界的な半導体需要の高まりを象徴するような案件であろう。大型案件数は増えたものの、3月分・外需の前月比は▲2.8%の減少だった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は2月分で前月比+18.9%と2カ月ぶりの増加になった反動が出て3月分の前月比は▲3.1%の減少になった。3月分の前年同月比は+5.8%と2カ月連続の増加で底堅さを示唆した。

●内閣府の基調判断は、16年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」へと8カ月ぶりに下方修正となった。6月分も「機械受注は、足踏みがみられる」で判断据え置きになった。しかし、7月分では内容がしっかりしていることを受けて「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」になった。3カ月ぶりに「持ち直し」の表現が使われた。基調判断の上方修正は15年10月分以来9カ月ぶりであった。8月分でも基調判断は据え置かれ「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に据え置かれていたが、9月分では2カ月連続減少になったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に2カ月ぶりに判断修正、4カ月ぶりの下方修正となった。

●16年10月分・11月分・12月分・17年1月分・2月分に続き今回3月分でも、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に7カ月連続据え置きになった。

●4~6月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲5.9%の減少である。過去3四半期の達成率平均は100.9%で単純集計値を膨らませても減少になった。3月末時点では企業の先行き不透明感が強かったことが背景にありそうだ。4~6月期の機械受注(除船電民需)の見通しは達成率の計算方法を変更するまでは見通しを実績が上回った。しかし、季節調整値を使用するようになってからは下振れる年も出てきた。最近5年間は下振れ、上振れを交互に繰り返してきており、パターン通りだと今年は実績が見通しを上回る番だ。本日8時30分発表の5月調査QUICK短観では製造業の設備投資判断が▲6と今年初めて不足超に転じた。非製造業は不足超が続いていて5月は▲6だ。設備投資の不足感が受注につながるかどうかが4~6月期の注目点だろう。

●3月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる2月分実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+0.01程度とほぼ横ばいになるとみた。在庫率関連データなどが本日午後発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は速報値の+0.8と概ね同程度になろう。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がマイナスになるとみて、70.0%程度と速報値の77.8%から下方修正になると予測する。